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コラム

社員に渡す AI の学習資料に、当社が書いた 8 つの章

この記事の要点

社員向けの AI の学習資料は、全員が読む「仕組みと決まり」と、道具を使う人が読む「操作」の 2 つに分けて作りました。全員向けには、得意と苦手、頼み方の 4 つの要素、事実の確かめ方、入れてよい情報、成果物の扱い、限界などの 8 章を書き、最後に 3 つの原則にまとめています。

2026 年 6 月 26 日、社内のスタッフ向けに AI の学習資料を 2 つ書きました。1 つは全員が読む「AI の仕組みと決まり」の資料で、8 章あります。もう 1 つは、Claude Code を使う人が読む操作の資料で、7 章です。社内のシステムを AI から操作するための手引きも、同じ日に添えました。

全員向けの資料は、技術者でなくても分かることを目標にしました。専門の言葉を避け、仕組み・使い方・限界・社内の決まりに絞っています。

2 つの資料の目次

全員が読む資料と、道具を使う人が読む資料

全員向け(AI の仕組みと決まり)

  • 1. 生成 AI とは(得意なこと・苦手なこと)
  • 2. うまく使うための頼み方の型
  • 3. 事実を確かめる習慣
  • 4. 情報の取り扱い
  • 5. 成果物の扱い
  • 6. 当社での使いどころ
  • 7. AI の限界
  • 8. 3 つの原則

使う人向け(Claude Code の操作)

  • 1. Claude Code とは
  • 2. 起動と基本の操作
  • 3. うまく使う 3 つのコツ
  • 4. 当社での使いどころ
  • 5. やってはいけないこと
  • 6. 困ったとき
  • 7. もっと知りたい人へ

2 つの資料は、互いの章からリンクでつないでいます。全員向けの資料で AI の仕組みが分かった人が、操作の資料に進めるようにするためです。

1 章目は「賢い新人だと思って使う」から始めました

生成 AI は、大量の文章を学び、次に来る言葉を確率で予測して文章を作ります。最初の章では、その仕組みを 1 段落で書き、得意なことと苦手なことを並べました。

得意なこと 苦手なこと・注意すること
文章の作成、要約、言い換え 最新の情報
下書きづくり、調べものの整理 正確な事実、専門的な数値の根拠
翻訳、アイデア出し 計算

そのうえで、「賢い新人」だと思って使うのが近道だと書きました。下書きは速いが、事実の確認と最後の判断は人がする、という意味です。もっともらしい間違い(ハルシネーション)の言葉も、この章で初めて出します。

頼み方は、4 つの要素で書くことにしました

2 章目では、良い頼み方に入れる要素を 4 つにしています。資料に載せた例と一緒に並べます。

要素 例
役割・状況 「あなたは当社の営業担当として」
してほしいこと 「この議事録から、お客様への報告のメールを作って」
制約 「丁寧語で、300 字以内、専門の言葉は避けて」
完成の条件・見本 「次回の打ち合わせの日程の確認で締めて」

うまくいかないときは、こういう文体、こういう構成という見本を見せると、結果が近づきます。

操作の資料の方では、Claude Code に頼むときのコツを 3 つ書きました。「いい感じにして」ではなく、対象・してほしいこと・どうなれば完成かを書くこと。大きな作業は、調べる、計画を見せる、実行する、と段階に分けること。削除・送信・本番への反映は、内容を読んでから許可すること。悪い例と良い例も 1 組載せています。

  • 悪い例: 「提案書を直して」
  • 良い例: 「提案書のフォルダの見積もりの節を、金額の根拠が分かる箇条書きに直して。1 枚に収めて」

事実の確かめ方と情報の扱いは、表と箇条書きで短く書きました

3 章目の事実の確かめ方は、確かめる対象を具体的に書きました。AI が出した数字、固有名詞、法令、補助金の条件です。「自信ありげに書いてある」ことと「正しい」ことは別なので、出典を聞き、元の資料に当たります。補助金・契約・金額にかかわる内容は、AI の答えをそのまま使いません。確かめ方の手順は、AI の間違いをお客様に届く前に止める記事に詳しく書いています。

4 章目は、入れてよい情報と、入れてはいけない情報の表です。

入れてよい 入れてはいけない
公開している情報、一般的な相談、社内の機密でない文書 API キー、パスワード、認証の情報
自分で書いた下書き お客様の個人情報(必要のないものを大量に)
名前を伏せた事例 契約で秘密を守る義務がある情報

機密や個人情報を使う必要があるときは、名前を伏せ、要る分だけにしてから入れます。伏せ方は、名前と金額を伏せる手順の記事に書きました。業務では会社が認めた道具とアカウントを使い、個人のアカウントに会社の情報をためない、とも書いています。

5 章目の成果物の扱いでは、AI の出力はそのまま納品しないと書きました。社外に出す文書は、抽象的な宣伝の言葉や絵文字を使わず、業務の動詞と数字で書く、という社内の文章の決まりもここに置いています。

AI の限界は、4 つに絞って書きました

資料に書いた AI の限界と、そのときにすること
  • 最新ではない。学んだ時点より後の出来事を知らないことがある。新しい情報は自分で確かめる
  • 計算が苦手。金額の計算や集計を間違える。検算する
  • 文脈を忘れる。長い会話では前の内容が要約される。大事な前提は、そのつど書く
  • 偏りがある。学んだデータの偏りを引き継ぐ。うのみにしない

限界を並べるだけでは、読んだ人が何をすればよいか分かりません。そこで、それぞれに「そのときにすること」を 1 つずつ付けました。

社内のシステムを AI から操作する人には、できないことも書きました

当社の社内のシステムは、Claude から検索したり、タスクを作ったりできるようにしてあります。操作の手引きには、できることの一覧と一緒に、意図してできなくしてあることを書きました。

できること できないこと(意図して外してある)
担当者や取引先を探す、タスクや勤怠の一覧を見る、問い合わせの一覧を見る データを消す
タスクを新しく作る 社外にメールを送る
開発の予定の進み具合を見る 本番に公開する

重要な操作は、人が画面で確かめてから行います。AI からの操作は、すべて記録に残ります。社内のシステムを AI と作った経緯は、当社の事例に書いています。

最後の章は、3 つの原則にまとめました

8 章の最後には、資料全体を 3 つの原則にまとめています。

  1. 下書きは AI、判断は人(事実の確認と最後の責任は人が持つ)
  2. 秘密は入れない(鍵、個人情報、契約上の秘密)
  3. 具体的に頼み、出典を確かめる

社員の方に AI の基礎とセキュリティの基礎を聞いていただく場として、1〜2 時間の AI基礎研修を行っています。社員全員の学び直しを計画的に進めるなら、リスキリング研修もあります。

よくあるご質問

社員向けの AI の資料は、どのくらいの分量にすればよいですか?
当社の資料は、全員向けが 8 章、操作の資料が 7 章で、どちらも 1 回で読み通せる長さに収めました。細かい操作は、資料に書き込むより、困ったときに AI 本人に「何をしようとしているか説明して」と聞く方法を書いておく方が、資料が古くなりません。
パートの社員にも同じ資料を渡しますか?
全員向けの資料は、技術者でない人が読んで分かることを目標に書き、社内のスタッフ全員に向けています。Claude Code の操作の資料は、実際にその道具を使う人だけが読めば足ります。
学習資料と、社内の AI の決まりは別に作るのですか?
当社では、決まりは決まりとして別にあり、学習資料の中では「情報の取り扱い」と「成果物の扱い」の章で、その要点を使い方とあわせて説明しています。決まりの作り方は、A4 1 枚の決まりの記事に書きました。

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この記事を書いた人

小野 隆士ドットシンク株式会社 代表取締役

システム開発会社の会社員、Web 制作の個人事業主、不動産営業、Web 制作会社の役員を経て、CRM 事業を軸にドットシンク株式会社を起業。自社の営業と事務の仕事に AI を使い、そのやり方を AI研修と AI伴走支援でお客様の会社に持ち込んでいます。デジタル庁 デジタル推進委員(2024 年 7 月任命)。

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