2026 年 4 月に組んだ 2 時間の Claude Code の勉強会では、始めの 5 分で今日のゴールを話したあと、45 分は Claude Code に触りません。その 45 分で、Markdown、Git、データベースの基本を教えます。エンジニアとそうでない人が混ざる場を想定した組み立てです。
Claude Code は、手元のフォルダの中で動き、ファイルを書き換え、コマンドを実行する AI です。何をしたかは、ファイルの変更として残ります。その変更を読めなければ、AI の作業が正しいかを確かめられません。間違えたときに、前の状態へ戻すこともできません。操作の手順だけを覚えても応用がきかないので、先に土台を教えます。
Claude Code は、チャットの AI と違い、手元のファイルを直接読み書きします
Claude Code は、Anthropic が 2025 年 2 月に試験公開し、同じ年の 5 月に一般に提供を始めた道具です。ターミナル(文字だけで操作する黒い画面)から使うのが基本で、エディタやブラウザから使う方法もあります。
チャットの AI
- 画面の中で質問に答える
- 資料はコピーして貼り付ける
- 結果は文章で返ってくる
- ファイルを直すのは人
Claude Code
- 指定したフォルダの中のファイルを読む
- ファイルを書き換え、コマンドを実行する
- 変更はファイルの差分として残る
- 書き換えの前に許可を求める
チャットの AI なら、出てきた文章を人が読んで、使うかどうかを決めます。Claude Code は、人が許可すればファイルそのものを直します。だから、ファイルの形と、変更の記録の読み方を知っておく必要があります。
2 時間の時間割
| 時間 | 内容 | 進め方 |
|---|---|---|
| 0:00〜0:05 | 今日のゴール(自分のパソコンで 1 つの作業を終える) | 講義 |
| 0:05〜0:20 | Markdown | 講義と演習 |
| 0:20〜0:35 | Git と GitHub | 講義と演習 |
| 0:35〜0:50 | データベース | 講義 |
| 0:50〜1:00 | Claude Code とは何か、準備ができているかの確認 | 講義 |
| 1:00〜1:35 | 基本の操作と、1 回目の練習 | 講義と練習 |
| 1:35〜1:55 | 計画モードや決まりのファイルなどの機能と、2 回目の練習 | 講義と練習 |
| 1:55〜2:00 | 使うときの約束と質問 | 講義 |
講義と練習を交互に置き、最後に「自分のパソコンで 1 つの作業を終えた」状態で帰ってもらうのが目標です。
Markdown で、AI への指示も AI が返す文書も、見出しと箇条書きで書きます
Markdown は、記号を使って文書に見出しや箇条書きを付ける書き方です。「#」を行の頭に付けると見出しになり、「-」を付けると箇条書きになります。人にも AI にも読みやすい形なので、AI への指示書も、AI が作る説明書も、この形で書くことが多くなります。
演習では、メモを 5 行、Markdown で書いてもらいます。たとえば次のような形です。
# 来週の打ち合わせの準備
- 相手: 部品加工の会社様
- 目的: 見積もりの前提を確かめる
- 持っていくもの: 前回の議事録
- 聞くこと: 数量と納期
見出しと箇条書きで構造が分かる指示は、AI にも意図が伝わりやすくなります。長い文章を続けて書くより、何がどこに書いてあるかが分かる形にします。
Git で、誰がいつ何を変えたかが残り、前の状態に戻せます
Git は、ファイルに加えた変更を記録し、あとで前の状態を呼び出せるようにする仕組みです。Claude Code はこの仕組みの上で動き、AI が書き換えた箇所は「差分」として見えます。当社でも、作業の記録と設定は Git に置き、AI がした変更を差分で確かめています。
演習では、次の 3 つを自分のフォルダで試してもらいます。
- 今の状態を見る(
git status) - 直近 5 回の記録を見る(
git log --oneline -5) - 小さな変更をして、記録する(コミット)
コマンドを覚えるより、「変更は記録され、戻せる」ことを手で確かめてもらうのが目的です。戻せると分かっていれば、AI にファイルを任せるかどうかの判断もしやすくなります。
データベースは、読めれば十分です
業務で使うソフトの多くは、データベースで動いています。AI に集計や検索を頼むときも、データは表の形で扱います。勉強会では次の言葉だけを教えます。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| テーブル | 表。顧客の表、案件の表のように、種類ごとに分かれる |
| レコード | 表の 1 行。顧客 1 人、案件 1 件 |
| カラム | 表の列。名前、電話番号、金額など |
| 主キー | 1 行を見分けるための番号 |
| 1 対多 | 1 人の顧客に、たくさんの案件がつながる関係 |
データを取り出す・足す・直す・消す命令(SQL)も 4 つだけ紹介しますが、読めれば十分としています。自分で書く必要はありません。
練習は、目次を付ける課題から始めます
基本の操作の講義で伝えるのは、指示の書き方です。「何を」「どこで」「どうする」を分けて書きます。特定のファイルを渡すときは「@」の後にファイルの場所を書きます。Claude Code がファイルを読む・直す・コマンドを動かすときは、そのたびに許可を求める画面が出ます。
1 回目の練習は 3 つの課題から選んでもらいます。
| 課題 | 指示の例 |
|---|---|
| 初級 | 「この説明書に目次を付けて」 |
| 中級 | 「このファイルを読んで、直した方がよいところを 3 つ挙げて」 |
| 上級 | 「この不具合を直す計画を作って、そのあと実行して」 |
2 回目の練習では、2 つの機能を試します。1 つは計画モードです。変更の前に計画だけを出させ、人が確かめてから実行に進みます。Shift と Tab のキーで切り替えられます。もう 1 つは、Claude Code が作業の始めに読み込む決まりのファイル(CLAUDE.md)です。「このフォルダは何のためのものか」「答えは日本語で」のように書いておくと、毎回伝えなくて済みます。
ただし、決まりのファイルに書いたことは、AI への指示です。AI が何をできるかそのものは、許可の設定で決まります。消されたくない・送られたくない操作は、許可の設定でも止めておきます。
最後に、使うときの約束を 3 つ伝えます
- API キーやパスワードを AI に渡さない。設定ファイルにも書かない
- メールやほかのサービスへの送信は、人が内容を見て承認してから
- ファイルやデータを消す操作は、実行の前に人が確かめる
当社が自社の AI に守らせている決まりも、ほぼ同じです。外への送信、ファイルやデータの削除、本番のサイトへの反映、金額や契約にかかわる内容の 4 つは、人が承認してから行います。決まりの作り方は社内の AI の使い方の決まりを A4 1 枚にまとめる記事に書きました。
会話が長くなると、AI は前の方の内容を覚えきれなくなります。そのときは会話を要約させるか、大事な決定をファイルに残してから、会話を始めからやり直します。
参加する前に、そろえておいてもらうもの
| 用意するもの | 中身 |
|---|---|
| パソコン | 自分が普段使っているもの |
| Claude のアカウント | Claude Code を使える契約。どの契約にするかはAI の選び方と契約の記事を参照 |
| Claude Code | 公式の手順で入れておく |
| Git | 入れて、名前とメールアドレスの初期設定をしておく |
| エディタ | テキストを書けるもの |
| 練習用のフォルダ | 自分の作業のフォルダか、配布する練習用のもの |
時間割の 0:50 からの 10 分は、全員のパソコンで Claude Code が起動するかを確かめる時間にしています。準備が終わっていない人がいても、ここで追いつけるようにするためです。
社内で AI を使う人を増やしたい場合は、AI秘書作成研修で、秘書に任せたい仕事を 1 つ選び、御社の環境で一緒に作ります。残りは同じやり方で御社で作っていただきます。



