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コラム

社内システムへの追加の依頼 32 件を、AI に 1 件ずつ片づけさせた進め方

この記事の要点

社内システムへの依頼を AI に任せるときは、依頼を番号つきの一覧にし、軽いものから 1 件ずつ、テストを先に書かせてから作らせます。2026 年 6 月 24 日に出した 32 件の依頼は、この進め方で 25 日までにすべて本番に反映し、786 件のテストが通る状態になりました。完成の条件と、やらないことを決めるのは社長です。

社内の業務システムへの依頼を AI に任せるときは、依頼を番号つきの一覧にし、1 件ずつ片づけさせます。1 件ごとに、テストを先に書かせ、作らせ、本番に反映させ、本番の画面で AI 自身に動かして確かめさせます。2026 年 6 月 24 日に私が続けて出した 32 件の依頼は、この進め方で、翌 25 日までにすべて本番に反映しました。そのとき、システム全体で 786 件のテストが通る状態でした。

作ったのは、当社が社内で使っている業務システムです。作り方の全体は当社の事例に書いています。この記事は、依頼の出し方と片づけ方の記録です。

依頼は、番号を振った一覧にしました

24 日、私は社内システムへの依頼を続けて出しました。AI(Claude Code)には、受けた依頼を 1 件ずつ番号を振った一覧に書かせています。番号は B-06 から B-37 までになりました。

片づける順番は、軽いものから、と私が決めました。大きな依頼(社内の学習の場の機能など)は最後に回しています。

依頼の例と、そのとき決めた方針です。

依頼 決めた方針
社内メッセージ 社内の人どうしの受信箱・送信・やり取りの流れを作る。外のメールとはつながない
シフト表と人件費の予算 月の途中で時給が変わっても、日ごとにその日の時給で計算する
労働条件の通知書と手書きのサイン サインの画像は公開しない場所に置き、ログインした人にだけ見せる
1 日 1 回の水やりで木を育てる 1 日 1 回だけ。連続した日数でボーナス。毎日開く習慣を作る
日程の調整 社外の人は、推測されにくい URL からログインせずに答える。社内のデータには届かない
社内の質問に答えるチャットボット よくある質問・手順書・規程から言葉で探す。外の AI の鍵は使わない

方針の欄は、どれも「やらないこと」か「守ること」を含んでいます。ここを決めておかないと、AI が頼んでいない範囲まで作ることがあります。

一覧の 1 行は、たとえば次のような形で残しています(書き方の例です)。

B-11 社内メッセージ
方針: 社内の人どうしの受信箱・送信・やり取りの流れ。外のメールとはつながない
状態: 完了(テスト追加・本番に反映・本番で動作を確認)

番号、名前、方針、状態の 4 つだけです。番号があると、どの依頼の話かを、番号だけで AI と確かめ合えます。状態の欄には、どこまで確かめたかまで書かせています。「完了」とだけ書くと、本番で確かめたのかどうかが分からないからです。

1 件ごとの流れ

依頼 1 件を片づける流れ
  1. テストを書く何ができれば完成かを、先にテストとして書かせる
  2. 作るテストが通るように作らせる
  3. 全部を流す前に作った機能が壊れていないか、全部のテストを流す
  4. 本番に反映社内で使っている本番のシステムに反映する
  5. 本番で動かす本番の画面で、AI 自身に実際に操作させて確かめる
  6. 一覧を直す一覧のその依頼を「完了」にする

テストを先に書かせる進め方を、テストファーストと呼びます。先にテストを読むと、AI が依頼をどう受け取ったかが、作り始める前に分かります。依頼を足すたびに全部のテストを流すので、前に作った機能が知らないうちに壊れることも防げます。

最後の「本番で動かす」は、画面を開いて実際に操作する確かめです(E2E テスト)。テストが通っていても、本番の画面で動かないことがあるからです。

本番で動かしたら、抜けが 1 つ見つかりました

誕生日にボーナスを付ける依頼を片づけているとき、本番の設定を確かめたところ、別の抜けが見つかりました。毎朝決まった時刻に、繰り返しのタスクを自動で作る処理が、本番では動く設定になっていなかったのです。機能そのものは前から作ってありました。抜けていたのは、本番で決まった時刻に動かすための登録だけです。

その場で登録し、毎朝 5 時 10 分に動くようにしました。テストが通っていることと、本番で動いていることは別です。本番で動かして確かめる手順を最後に置いているのは、こうした抜けを拾うためです。

社長が決めること、AI に任せること

依頼を片づけるときの分担

社長が決めること

  • 何ができれば完成か
  • やらないこと、守ること
  • 片づける順番
  • 鍵(API キー)を本番に入れること
  • お金や賃金など、社内に流さない情報

AI に任せること

  • 依頼を番号つきの一覧にする
  • テストを書き、作る
  • 全部のテストを流す
  • 本番に反映し、本番で動かして確かめる
  • 一覧を最新に保つ

サービスにつなぐための鍵(API キー)は、AI に渡しません。文字起こしのように外の AI の鍵が要る機能は、AI が作るところまでで止め、本番の設定に鍵を入れるのは私が行います。全員の動きを時系列で流す機能では、金額や賃金は流さず、行動だけを流すと決めました。どの情報を社内に見せるかは、AI ではなく社長が決めることです。

依頼の一覧が残っていると、途中で止まっても、次の依頼から再開できます。25 日の時点で、一覧に残った依頼は無くなりました。私が AI に頼んだ言葉を記録に残している理由は、頼んだ言葉のまま記録に残す記事に書きました。エンジニアでない人が Claude Code に頼むときの土台は、2 時間の勉強会の記事にまとめています。

社内の仕組みづくりを、こうした進め方で毎月少しずつ進めることは、AI伴走支援でもお手伝いしています。

よくあるご質問

依頼は、どのくらい細かく書けばよいですか?
1 件を 1〜2 行で書き、何ができれば完成かと、やらないことを添えれば足ります。たとえば社内メッセージの依頼では、社内の人どうしの受信箱・送信・やり取りの流れを作り、外のメールとはつながない、と決めました。細かな作り方は、AI に提案させて確かめます。
テストを先に書かせるのは、なぜですか?
何ができれば完成かを、作る前に形にするためです。先にテストを書かせると、AI が依頼をどう受け取ったかが、作り始める前に分かります。あとで別の依頼を足したときに、前に作った機能が壊れていないかも、同じテストで確かめられます。
サービスにつなぐための鍵(API キー)も、AI に設定させますか?
設定させません。当社では、鍵は AI に渡さない決まりです。鍵が要る機能は、AI が作るところまでを受け持ち、本番の設定に鍵を入れるのは社長が行います。鍵が入るまでは、その機能は動かない状態で待たせます。

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この記事を書いた人

小野 隆士ドットシンク株式会社 代表取締役

システム開発会社の会社員、Web 制作の個人事業主、不動産営業、Web 制作会社の役員を経て、CRM 事業を軸にドットシンク株式会社を起業。自社の営業と事務の仕事に AI を使い、そのやり方を AI研修と AI伴走支援でお客様の会社に持ち込んでいます。デジタル庁 デジタル推進委員(2024 年 7 月任命)。

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