2026 年 5 月、プレス加工と金型を手がける会社様のために、社長と幹部の方が受ける 1 日(10 時〜17 時)の AI研修を組みました。午前は AI の基礎と頼み方、午後の前半は部署ごとの使いどころ、午後の後半は社内の業務アプリに AI をつなぐ話と実演です。16 時 40 分からの 15 分で導入の進め方を話し、研修の翌日から 30 日以内に取りかかるテーマを 1 つに絞ってもらいます。
当社が今ご案内している AI基礎研修は 1〜2 時間の形です。これまで行ってきた 3 時間の形は、時間割の記事に書きました。ここで紹介する 1 日の形は、社内の連絡と記録に業務アプリをすでに使っている会社様のために、1 社向けに組んだものです。
時間割
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 10:00〜10:25 | 今日の流れ。AI を前提に経営を考えるとはどういうことか |
| 10:25〜10:50 | AI の基礎(種類、仕組み、得意なことと苦手なこと、危ない使い方) |
| 10:50〜11:05 | Claude Code の準備の概要(担当の方向け) |
| 11:05〜11:20 | 休憩 |
| 11:20〜11:50 | AI への頼み方(指示文の書き方) |
| 11:50〜12:00 | 質問 |
| 12:00〜13:00 | 昼休み |
| 13:00〜14:30 | 部署ごとの使いどころ(経営、営業、人事、経理、マーケティング、サポート、製造) |
| 14:30〜14:45 | 休憩 |
| 14:45〜15:45 | 社内の業務アプリに AI をつなぐ |
| 15:45〜15:55 | 質問 |
| 15:55〜16:40 | Claude Code の実演 |
| 16:40〜16:55 | 導入の進め方と、最初の 1 つ |
| 16:55〜17:00 | 締め |
部署ごとの使いどころは、1 部署 10〜15 分の、浅く広い組み立てにしました。製造だけは 20 分取り、見積もり、品質の文書の検索、不良の分析、作業の指示、技術の引き継ぎなど 8 つの使いどころを挙げています。時間を厚くしたのは、午後の後半の 2 つ(業務アプリとのつなぎ方 60 分、実演 45 分)です。この会社様がすでに社内で使っている業務アプリに AI を載せる流れを、通しで見ていただくためです。
社長が読む章と、担当の方が読む章を分けました
資料は、配る前に、社長の立場で頭から読み直す点検をかけました(AI に社長の立場で読ませる点検です)。すると、社長が 1 人で読み返すと置いていかれる箇所が見つかりました。
| 見つかった箇所 | 何が起きるか |
|---|---|
| AI の基礎の章で、専門の言葉を 6 つ、5 枚のスライドで続けて説明していた | 言葉の壁で、最初の章から「自分はついていけない」と感じさせてしまう |
| Claude Code の準備の章が、社長が読む章のように見えた | 中身はコマンドの入力や拡張機能の設定で、担当の方向けの内容だった |
| 業務アプリとつなぐ章の後半に、接続の設定の細かい話があった | 社長には要らない技術の話が続く |
点検の結論は、当日に講師が口で補えば進められる、というものでした。そのうえで、受講される方に渡す当日の進行表では、準備の章に、IT 担当の方向けの内容であり、社長は概念をつかめば十分だという一文を添えました。点検では、社長に押さえていただくのは「何ができるか」「費用がどのくらいか」「どこまで担当の方に任せるか」の 3 点で足りる、としています。
専門の言葉については、細かい言葉は付録に回し、本編では業務の例えで説明する方がよい、という指摘も出ました。たとえば、AI に社内の資料を引かせて答えさせる仕組み(RAG)なら、「金型の打った回数の記録を、AI に思い出させる仕組み」のように話す、という例が挙がっています。言葉の意味は、当社の用語集のトークンやRAGの項にもまとめています。
8 つのワークで、最後に「最初の 1 つ」が残るようにしました
研修の進行に合わせて、ワークシートに 8 回書き込んでもらいます。研修が終わったときに、自分が最初に取り組むテーマが 1 枚に残る作りです。
| ワーク | 書く時機 | 時間 |
|---|---|---|
| 1. 今の困りごとを書き出す | 最初の章のあと | 5 分 |
| 2. AI に任せたい業務の候補を 3 つ | AI の基礎のあと | 5 分 |
| 3. 社内の「この人しか分からない」仕事の地図 | 昼休みのあと | 5〜10 分 |
| 4. 部署ごとの候補を絞る | 部署ごとの使いどころのあと | 10 分 |
| 5. 業務アプリとつなぐ案 | つなぎ方の章のあと | 10 分 |
| 6. 指示文を自分で書いてみる | 実演のあと | 10 分 |
| 7. 最初の 1 つを選ぶ | 進め方の章のあと | 10 分 |
| 8. 30 日でやることを書く | 締めのあと | 5 分 |
ワーク 7 では、候補を 3 つの観点で 5 点ずつ採点し、合計がいちばん高いものを選びます。観点は「効果」「取りかかりやすさ」「社長の関心」です。複数を選びたくなっても、1 つに絞ってもらいます。ワーク 8 では、30 日後に何を見せるか、最初の行動は何か、困ったときの相談先はどこかを書きます。
実演には、うまくいかない場面も入れました
午後の実演は 8 つの場面で組みました。
- 品質の文書を探して、質問に答えさせる
- 過去の見積もりから、似た案件を探させる
- 不良の履歴を読み、原因の候補を挙げさせる
- 営業の文書の下書きを作らせる
- 業務のデータの表の設計を考えさせる
- 指示文を書き直して、結果の違いを見る
- うまくいかない場面を見せる
- 変更の記録を残し、前の状態に戻す
実演に使ったデータは、すべて架空のものです。本物のデータの代わりに架空のデータを作った理由と作り方は、名前と金額を伏せる手順の記事に書きました。
うまくいかない場面として用意したのは 3 つです。品質の規格の、存在しない条の番号を聞くと、それらしい中身を答えてしまう。データを渡していないのに、過去の案件の日付や金額、担当者の名前まで作って答える。形や公差を伝えないまま単価の相場を聞くと、1 つの金額を言い切る。どれも、規格・契約・金額・人名のように、間違えると会社が傷つく領域では、人が原本で確かめる必要があることを見ていただくための場面です。
実演そのものが動かなかったときは、前もって録った動画に切り替えて先へ進む、と決めておきました。
持ち帰る資料
| 資料 | 中身 |
|---|---|
| 本編のスライド | 170 ページ。章ごとの PDF もある |
| 指示文の見本集 | 10 の分野で 52 件 |
| 準備の手順書 | Mac と Windows の両方。担当の方向け |
| 実演用の架空のデータ | 見積もり、不良、顧客、品質の文書の表 |
| 30 日の行動の一覧 | 翌日・1 週間・2 週間・30 日の期限ごと |
| 設定のひな形 | Claude Code に読ませる決まりのファイルなど 47 ファイル |
資料はタブレットでも読めるように、ブラウザで見るページの形でも渡します。
研修の翌日から 30 日でやることを、期限ごとに並べました
- 翌日朝礼で研修の中身を共有し、AI の契約と導入の担当の方、鍵の管理の決まりを決める
- 1 週間以内パソコンの準備を終え、過去の見積もり・不良・顧客のデータを書き出す準備を始める
- 2 週間以内見積もりの履歴を試しに読み込み、品質の文書を探す仕組みを試し、社長と担当の方で 30 分の共有をする
- 30 日以内過去の案件を探す仕組みの試作と、月 1 回の振り返りの会を決める
30 日後に最低限そろっていてほしいことも、一覧に 3 つ書きました。作業の記録の置き場所があり、担当の方が自分で記録を残せること。社内の業務アプリに、何かが自動で届く仕組みが 1 つ以上動いていること。社長が「次にやりたいこと」を具体的に言えることです。
30 日の一覧を期限ごとに分けたのは、研修の翌日に何から手を付けるかで止まらないようにするためです。それぞれの行動には、担当する人と、終わったと判断する条件も書きました。たとえば導入の担当の方を決める行動なら、指名された方のパソコンで必要なソフトが起動した画面を、社内のチャットに投稿したら完了です。
当日の進め方で決めておいたこと
- 休憩は、進行が押しても削らない
- 17 時に終える。残っての質問は、時間のある方だけ
- 章の途中の質問は、章の終わりにまとめて受ける。社長の質問は、流れに関係なくその場で受ける
- 実演が動かなければ、録画に切り替えて先へ進む
1 日の研修は、受ける側の負担も大きくなります。休憩と終わりの時刻を守ることは、最初に決めました。どの研修から始めるかは、AI基礎研修のページの 30 分の無料相談で伺います。



