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コラム

AI で作った画像を、会社の資料やサイトに使う前に決めたこと

この記事の要点

当社は、AI で作った画像を素材と構図の案としてだけ使い、そのままは載せません。画面の部品や色の基準には使わず、人物の顔や画像の中の文字は描かせません。仕上げで色と文字を自社の決まりにそろえ、使う前に似た作品が無いかを検索で確かめ、作ったときの指示文を残します。

当社は、AI で作った画像を「素材と構図の案」としてだけ使い、作ったままの画像を資料やサイトに載せることはしません。載せるのは、色と文字と余白を自社の決まりにそろえ、似た作品が無いかを確かめたものだけです。

この決まりは、2026 年 4 月に、サイトと資料の見た目の決まりを作り直したときに決めました。4 月 16 日に AI らしい見た目を避けるための決まりを作り、18 日に画像と動画の扱い、19 日に AI のデザインの道具で作ったものの扱いを書き足しました。5 月 5 日には、AI で画像を作るときの手順を、指示文の型とあわせて 1 つにまとめています。

AI の画像は、素材と構図の案にだけ使います

AI で作った画像を使う用途と、使わない用途

使う用途

  • リンクを共有したときに出る画像の素材
  • ページの最初の大きな画像の構図の案
  • 提案書や資料の表紙の構図の案
  • 試作の画面に入れる仮の素材

使わない用途

  • システムの画面のボタンや表などの部品
  • 色・余白・文字の大きさを決める基準
  • ページの割り付けの基準
  • 実際の現場や研修の様子に見せる写真の代わり

使わない用途を決めたのは、AI が作る画像の色や形が、そのままでは当社の決まりと合わないからです。AI の出力をそのまま使うと、ページごとに色や角の丸みが少しずつ違い、同じ会社の資料に見えなくなります。直すときも、どの値が正しいのかが分からなくなります。色・余白・文字の大きさは自社で決めた値を正とし、画像の側をそれに合わせます。

ページも、画像が無くても意味が通る作りにしてから、理解を助けるために画像を足します。空いた場所を埋めるために画像を作ることはしません。

指示文で、顔と文字と光の効果を避けます

画像を頼むときの指示文(プロンプト)は、用途ごとに型を作ってあります。型に入れてある「避けるもの」と、その理由です。

指示文で避けるもの 理由
人物の顔 実在の人に見えると、見た人が当社のお客様や社員だと受け取るおそれがある。肖像の扱いの心配も減る
画像の中の文字 文字はページの文字として載せる。画像の中の文字は検索にも読み上げにも届かず、直すたびに画像を作り直すことになる
光や輝きの効果、強いぼかしや色の重なり AI で作った画像らしく見え、当社の見た目の決まり(グラデーションの多用やガラスのような表現を使わない)にも合わない
実在の作品名・キャラクター名・作家の名前 既存の作品に寄せた指示は、著作権の侵害の判断で不利に働く
素材サイトの素材や他社の画像を読み込ませること 規約で禁じている素材サイトがあり、似た画像を作らせる目的なら権利者の許諾が要る場合がある

型の例を 1 つ挙げます。ページの最初の大きな画像なら、「対象の業種の現場で、具体的な作業をしている人か物。顔は映さない構図。落ち着いた紺の色調。文字は入れない。AI らしい光の効果は入れない。実際の業務の現場として成り立つ構図」のように書きます。

作った画像は、自社の決まりにそろえてから使います

AI で作った画像を資料やサイトに載せるまで
  1. 用途を決めるリンク用の画像、ページの最初の画像、資料の表紙などのどれかを決める
  2. 型で頼む用途ごとの指示文の型に、案件の内容を入れて作らせる
  3. 名前を付けて置くファイル名に作った道具の名前と日付を入れ、案件の素材の置き場に置く
  4. 決まりにそろえる色を自社の色に置き換え、文字はページ側に移し、余白をそろえる
  5. 似ていないか確かめる画像検索などで、既存の作品と似ていないかを見る
  6. 指示文と一緒に残すどの指示文で作ったかを、画像と一緒に保管する

ファイル名は「道具の名前_年月日_用途」の形にしています。あとから「この画像は何で、いつ作ったか」を確かめるためです。色は、自社で決めた紺と金の色に置き換えます。画像の中に記号や絵文字が入っていたら、取り除くか、自社で用意した図に差し替えます。

使う前に、似た作品が無いかを確かめ、指示文を残します

文化審議会の小委員会は 2024 年 3 月に「AIと著作権に関する考え方について」をまとめ、文化庁は 7 月にその解説として、立場ごとのチェックリストを公開しました。AI を仕事で使う側(業務利用者)に向けた項目のうち、画像に関係が深いのは次の点です。

チェックリストの項目 当社の作業での形
AI で作ったものを使う前に、既存の作品と似ていないかを確かめる(インターネットの画像検索など) 載せる前に画像検索で確かめる
作るときに使った指示文など、作った過程を確かめられる状態にしておく 指示文を画像と一緒に残す
既存の作品の題名やキャラクター名を指示に入れると、元の作品を知っていたと推し量られやすくなる 作品名・作家名を指示文に入れない
社内で検討のために作るのと、ネットで配信するなど外で使うのとでは、判断が変わり得る 作っただけの段階では載せず、サイトや資料に載せる前に確かめる
AI で作ったものを取引の対象にするなら、そのことを相手に説明できるようにする 道具の名前と日付をファイル名に残す

著作権の侵害には、既存の作品と似ていること(類似性)と、既存の作品をもとにしたこと(依拠性)の両方が要るとされています。似ていないことを確かめ、どう作ったかを説明できるようにしておくのは、この 2 つに備えるためです。詳しくは用語集の AI と著作権 にまとめました。

画像の作業を AI に任せたら、出典の表記を勝手に書き足していました

4 月 19 日、無料の写真素材を使ったページで、AI が頼まれていない出典の表記をフッターに書き足していました。写真の提供元のサイト名を示す一文です。指摘を受けて、この一文を消しました。

出典の表記を入れるかどうかは、素材サイトの規約を確かめたうえで、会社が決めることです。AI が良かれと思って足すと、あとで消す手間が生まれます。それ以来、出典の表記は社長が決め、指示が無ければ AI は足さない決まりにしています。

道具と鍵の置き場所

画像を作る道具を選ぶときは、仕事で使ってよいか(商用の利用)を、その道具の規約で確かめます。4 月 18 日に作った画像の扱いの決まりにも、この確認を最初に書きました。当社は 5 月 5 日から、OpenAI の画像生成のモデル(2026 年 4 月 21 日の版の gpt-image-2)を、画像を作るときの基本の道具にしています。サービスにつなぐための鍵(API キー)は、設定ファイルにも作業の記録にも書かず、別のファイルに分けて置いています。

AI の基礎とセキュリティの基礎は、AI基礎研修の第 1 部でお話ししています。生成 AI 全体の決まりは社内の AI の使い方の決まりを A4 1 枚にまとめる記事に、言葉の意味は用語集の画像生成 AIの項にまとめています。

よくあるご質問

AI で作った画像に、著作権はありますか?
文化庁の資料では、AI で作ったものが著作物に当たるかどうかは、作った人の「創作意図」と「創作的寄与」の程度で判断されるとしています。短い指示で AI が自動で作っただけのものと、人が具体的に指示し手を加えたものとでは、扱いが変わることがあります。
無料の素材サイトの写真を AI に読み込ませて、似た雰囲気の画像を作ってもよいですか?
当社は行いません。素材サイトの中には、素材を AI の学習や画像生成の参照に使うことを規約で禁じているところがあります(SOCOST、写真AC など)。文化庁の資料も、既存の画像と似たものを作らせる目的で入力する場合は、権利者の許諾が要る場合があるとしています。
人の写った画像を AI で作ってもよいですか?
当社は、顔が映らない構図で作るように指示しています。実在の人のように見える画像は、見た人が当社のお客様や社員だと受け取るおそれがあるからです。研修や現場の様子を伝えたいときは、実際に撮った写真を使います。
AI で作った画像を取引先に渡すとき、何か伝える必要はありますか?
文化庁のチェックリストでは、AI で作ったものを取引の対象にするときは、AI を使って作ったことや、既存の作品と似ていないかを確かめたことを、相手に説明できるようにしておくことが望ましいとしています。作ったときの指示文を残しておくと、この説明に使えます。

出典・参考にした資料

  1. 文化庁「AIと著作権について」(「AIと著作権に関する考え方について」令和 6 年 3 月 15 日 ほか)
  2. 文化庁「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(令和 6 年 7 月 31 日)
  3. OpenAI「GPT Image 2」モデルのページ(版 gpt-image-2-2026-04-21)
  4. SOCOST「ご利用ガイド」(禁止事項)
  5. 写真AC「利用規約」

この記事を書いた人

小野 隆士ドットシンク株式会社 代表取締役

システム開発会社の会社員、Web 制作の個人事業主、不動産営業、Web 制作会社の役員を経て、CRM 事業を軸にドットシンク株式会社を起業。自社の営業と事務の仕事に AI を使い、そのやり方を AI研修と AI伴走支援でお客様の会社に持ち込んでいます。デジタル庁 デジタル推進委員(2024 年 7 月任命)。

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