パソコンの得意さに幅がある人向けの手順書を AI に作らせるときは、最初に、読む人、手順書の形、どこまで分かればよいかを伝えます。2026 年 4 月 12 日、私がまとめ役をしている経営者の小さな集まりで、年間の予定・会のレジュメ・議事録を、紙と PDF から Google スプレッドシートに移すことになりました。そのとき、メンバー向けの手順書を AI と作っています。
メンバーは、中小企業の経営者です。パソコンを毎日使う人もいれば、スマートフォンが中心の人もいます。
AI に最初に伝えた条件
| 条件 | 中身 |
|---|---|
| 読む人 | 中小企業の経営者。パソコンの操作は初級から中級 |
| 形 | A4 縦。画面の絵を中心にする |
| 目標 | 説明書がなくても分かるくらいの分かりやすさ |
| 扱う中身 | 開き方、書き込み方、保存、共有、スマートフォンで見る方法 |
| 一緒に作るもの | 手順書を案内する LINE のメッセージ |
読む人を伝えないと、AI は操作の手順を一通り細かく書きがちです。正しくても、初めて開く人には多すぎます。読む人と目標を先に決めると、何を書かないかも決まります。
AI には、条件と一緒に、今どんな紙や PDF で運用しているかと、移す先のスプレッドシートが 3 つのシート(年間の予定・会のレジュメ・議事録)に分かれていることも伝えました。指示は、たとえば次のような形です(例です)。
中小企業の経営者向けに、Google スプレッドシートの使い方の手順書を作ってください。
読む人: パソコンの操作は初級から中級。スマートフォンだけで見る人もいる。
形: A4 縦。1 つの章に 1 つの操作。画面の絵を中心に、文は短く。
目標: 説明書を読まなくても、初めて開いた人が自分の担当回に書き込める。
扱うこと: 開き方、シートの切り替え、書き込み、間違えたときの戻し方、やってはいけないこと、困ったときの連絡先。
画面の絵の名前は架空にしてください。
読む人・形・目標・扱うこと、の 4 つを分けて書くのは、手順書に限らず、AI に文書の下書きを頼むとき全般で使える型です(指示文のひな形)。
手順書は 7 つの章にしました
- 開くLINE のリンクから開く。初回だけ Google のアカウントでログインする
- シートを切り替える画面の下のタブで、予定・レジュメ・議事録を切り替える
- 担当回を確かめる年間の予定のシートで、自分の名前がある回を探す
- 書き込むセルを押して書き、確定すると自動で保存される
- 間違えたら戻すパソコンとスマートフォンで、1 つ前に戻す方法を分けて示す
- やってはいけないこと消さない、名前を変えない。読むだけならいつでも自由
- 困ったときLINE で連絡。画面を共有しながら一緒に操作する
章の順番は、メンバーが実際に手を動かす順に並べました。開く、探す、書く、間違える、の順です。
決めたこと
保存のボタンを押す必要がないことを、最初の章に書きました。 スプレッドシートは、書いた時点で自動で保存されます。書き終わったあとに保存のボタンを探して迷わないよう、最初に伝えておきます。
スマートフォンとパソコンの手順を分けました。 1 つ前の状態に戻す方法は、パソコンならキーボードの操作、スマートフォンなら画面の矢印のボタンと、まったく違います。同じ章の中で、2 つを並べて書いています。
画面の絵の名前は架空にしました。 手順書の絵には、担当者の名前の欄があります。本物の名前を出さないように、絵の名前は架空にし(ダミーデータの考え方です)、「上図はイメージです。実際の担当者名は異なります」と書き添えました。
やってはいけないことは、理由と一緒に書きました。
| やってはいけないこと | 理由として書いたこと |
|---|---|
| ほかの人の入力を消す・上書きする | 大切な記録が失われる |
| 行や列を削除する | ほかの人の入力もまとめて消える |
| シートやファイルの名前を変える | 共有のリンクが動かなくなる場合がある |
そのうえで、予定や過去の議事録を読むだけなら、いつでも何度でも開いてよい、と書きました。禁止だけを並べると、触るのが怖くなるからです。
最後の章は、困ったときの連絡先にしました。 操作が分からないとき、間違えた気がするときは、私に LINE で連絡してもらいます。画面を共有しながら一緒に操作できることも書きました。変更の履歴が残るので、大きく変えてしまってもあとから戻せる、とも伝えています。
配る前に確かめること
AI が作った手順書は、そのまま配りません。とくに、画面の説明は、本物の画面と照らす必要があります。
- ボタンの名前と場所が、本物の画面と同じか(スマートフォンとパソコンの両方)
- 共有の設定(誰が書き込めるか)が、手順書の説明と合っているか
- 画面の絵に、本物の名前や記録が写っていないか
- リンクを押すと、本当にそのファイルが開くか
- 専門の言葉が残っていないか(残すなら説明を添える)
アプリは更新されるので、ボタンの場所や名前は変わることがあります。手順書の日付と、どの画面で確かめたかを残しておくと、あとで直すときに迷いません。
手順書づくりのように、読む人がはっきりしている文書は、AI に下書きを任せやすい仕事です。社内の作業の手順書を AI と作るときも、同じ型で頼めます。読む人と目標を最初に決めるやり方は、ほかの文書でも同じです。AI に頼む文の型は、用語集の指示文のひな形にまとめました。



