WordPress の毎月の保守で当社がしているのは、更新を当てることよりも、更新で何が変わったかを確かめることです。作業の前にバックアップを取り、更新の前と後で、本体とプラグインの版と、主なページ 14 枚の表示と HTML を控えて比べます。差分が出たら、更新によるものか、お客様が中身を書き換えたものかを分けて、報告に書きます。
2026 年 2 月から毎月の保守をお受けしているサイトで、3 月から 5 月までに行ったことを、記録から書きます。最初の月に、止まっていた本体と環境をまとめて新しくした件は、別の記事 にあります。
1 か月の作業は、6 つの段で進めます
- バックアップ作業の前に、サイトのファイルとデータベースのバックアップを取る
- 前を控える本体とプラグインの版、主なページ 14 枚の表示と HTML を控える
- 更新する管理画面から、本体とプラグインを新しい版に上げる
- 後を控えて比べる同じ 14 枚を取り直し、前と後の HTML を比べる
- 差分を読む差分が更新によるものか、中身の書き換えによるものかを分ける
- 報告する上げた版の一覧と確かめた結果を、短い文面で送る
前と後を控えて比べる手順は、2026 年 4 月の作業から加えた
前と後を控えて比べる手順は、4 月の作業から加えました。3 月までは、バックアップと更新した版を記録し、画面で表示を確かめる形でした。
更新の前に、版の一覧と 14 ページの HTML を控えます
控えるのは 2 種類です。
1 つは、本体と全部のプラグインの版です。WordPress の仕組みを通して、外から版の一覧を読み出しています。このとき、管理者のパスワードは使いません。WordPress の アプリケーションパスワード という、道具ごとに発行できる専用のパスワードを使います。WordPress 5.6 から入った仕組みで、ログインのパスワードとは別に発行し、要らなくなればそれだけを取り消せます。
もう 1 つは、主なページ 14 枚の HTML と、そのページを開いたときのサーバーの返事です。14 枚は、トップ、お知らせの一覧、記事の 1 ページ、お問い合わせ、プライバシーポリシーなど、作りの違うページを 1 枚ずつ選んでいます。同じ作りのページを何枚も見るより、作りの違うページを漏らさない方が、崩れを見つけやすいからです。
差分を読むと、更新で変わったのか、中身が書き換えられたのかを分けられます
更新の後に同じ 14 枚を取り直し、前と後の HTML を比べます。比べる前に、開くたびに変わる部分は取り除きます。フォームを守るための使い捨ての値や、表示を速くする仕組みが入れる作成時刻、ファイルの読み込みに付く時刻の印などです。これを残すと、何も変わっていないページまで差分に出てしまいます。
| 月 | 本体 | 上げたプラグイン | 14 ページの返事 | 差分の中身 |
|---|---|---|---|---|
| 3 月 | 更新なし | 2 件 | 画面で表示を確認(比べる手順は 4 月から) | — |
| 4 月 | 更新あり | 5 件 | 14 ページとも正常 | 1 ページだけ差分。お客様が載せている情報の入れ替えで、更新とは関係なし |
| 5 月 | 更新なし | 8 件 | 14 ページとも正常 | 差分はすべて更新によるもの。表示は変わらない |
4 月は、1 ページだけ HTML が変わっていました。中身を読むと、お客様がそのページの情報を入れ替えた分で、更新とは関係がありません。差分を読まずに「変わったページあり」とだけ書けば、お客様に要らない確認をお願いすることになります。
5 月は、変わったページがいくつもありました。読むと、フォームに項目を足すプラグインが読み込むファイルの版の表示、設定に足された項目、記事のページに足された小さな処理で、どれも更新に伴う変化です。画面の見た目は変わっていません。見た目は同じでも、HTML は更新のたびに変わります。だから、差分の有無ではなく中身を読んで判断します。
更新によるもの
- 読み込むファイルの版の表示が変わる
- プラグインの設定の項目が増える
- 上げたプラグインの名前が差分の中に出てくる
- 同じ変化が、作りの同じページにそろって出る
中身の書き換えによるもの
- 文章や画像、名前などの中身が変わる
- 1 ページだけに出る
- お客様が管理画面で直した日と重なる
- 上げたプラグインと関係のない場所が変わる
報告は、版の前と後を 1 行ずつ並べた短い文面で送ります
報告は、お客様と決めた連絡の場所に送ります。中身は、上げた本体とプラグインの名前と、前と後の版を 1 行ずつ並べたものです。バックアップを取ったことと、全ページの表示を確かめたことも添えます。
5 月の報告では、プラグイン 8 件を上げました。報告には名前と版を書きますが、ここでは役目で並べます。
| プラグインの役目 | 上げる前 | 上げた後 |
|---|---|---|
| フォームへの迷惑な送信を止める | 1.33 | 1.34 |
| 迷惑なコメントを止める | 5.6 | 5.7 |
| サイトを書き出して移す・バックアップする | 7.104 | 7.105 |
| フォームの項目を、条件で出し分ける | 2.6.8 | 2.7.3 |
| ページにパスワードをかける | 2.7.12 | 2.8.0 |
| 動作を確かめる道具 | 4.0.0 | 4.0.6 |
| ログインを守る | 1.7.9 | 1.7.12 |
| 表示を速くする(キャッシュ) | 3.0.3 | 3.1.0 |
どれも小さな版の更新で、14 ページとも、見た目は変わりませんでした。
細かい技術の説明は書きません。それでも版を全部並べるのは、後から「いつ、どれを上げたか」を誰でもたどれるようにするためです。作業の側には、14 ページの返事と差分の中身を書いた報告書を、月ごとに残しています。
保守を始める最初の月は、今の状態を調べるところから始めます
毎月の保守の前に、最初の 1 回だけ、別の作業をします。お客様の困りごとを伺い、管理画面とサーバーのアカウントを確かめ、本体・PHP・データベース・プラグインの版を調べます。そのうえで、止まっていた分をまとめて新しくします。このサイトでは、この最初の作業で、何年も止まっていた本体と環境を新しくしました。2 か月目からが、ここに書いた毎月の流れです。
毎月の保守に含めないことも、最初に決めておきます
この保守の中身は、WordPress の本体と プラグイン の更新、連絡の窓口、月 1 時間までの小さな修正です。文言や画像の差し替え、リンクの変更がこれに当たります。デザインや作りを変える修正、機能を足す作業は、その都度お見積もりします。
毎日の見張りや、入られたかどうかの調査は、毎月の保守には含めていません。月 1 回の作業は、更新とその結果を確かめるためのものです。管理者の一覧に見覚えのない人が増えている、作った覚えのない投稿がある、といったときは、更新の話ではなく調査の話になります。その場合の調査と後片付けは、WordPress の被害復旧 でお受けしています。
作業の前の バックアップ は、毎月欠かしません。更新で崩れたときに戻す先になるからです。バックアップは、取った場所と日付を報告にも書いておくと、いざというときに探さずに済みます。



