今の制作会社から、サイトとメールとドメインを引き取るときは、4 つの作業がほぼ同時に進みます。新しいサーバーを契約する、サイトを移す、メールを移す、ドメインを移す、の 4 つです。いちばん時間がかかるのは作業そのものではなく、今の会社からの引き継ぎです。とくに、ドメインを移すための認証コード(AuthCode)が出るまでを、余裕を持って見ておきます。
最短なら 1 週間、現実には 1 か月ほどを見ます。最初にするのは、契約書を読むことです。
今の制作会社から移れるかを確かめたい、というご相談
2026 年 7 月 9 日に、検査の仕事をされている会社様に伺いました。サイトを作り、サーバーを管理している今の制作会社から、セキュリティの強化を理由に、仕組みの入れ替えを提案されていました。続けるなら、月々の管理の費用が上がり、長い期間の契約になります。途中でやめても残りの期間の分を払う条件でした。この条件で続けるより、ほかの会社に移れるかを確かめたい、というご相談です。
伺って確かめた、今の状態です。
- サイトは WordPress で作られ、版はまだ分からない
- メールのアドレスは 7 つ。各パソコンのメールソフトで送り受けしている
- 送るときは、全員に BCC で写しを配り、やり取りを共有している
- 外に出せない報告書は、決まった 1 台のパソコンからだけ送る決まりがある
サーバーは土地、サイトとメールは建物、ドメインは住所
引っ越しの全体を、私はこのときこう説明しました。サーバーという土地の上に、サイトという建物と、メールの郵便局が建っている。ドメインは、その土地を指す住所。引っ越しは、新しい土地を借り、建物と郵便局を移し、住所の届け先を書き換える作業です。
| 作業 | 中身 | 止まりやすいところ |
|---|---|---|
| 新しいサーバーを契約する | 移り先のレンタルサーバーを借りる | 契約の名義を誰にするか |
| サイトを移す | WordPress のファイルとデータベースを、新しいサーバーに写す | 古いサーバーで WordPress を上げられず、移す前の更新が要ることがある |
| メールを移す | アドレスを新しいサーバーに作り直し、各パソコンの設定を変える | 切り替えの日から半日〜1 日、届き先が混ざる |
| ドメインを移す | ドメインの管理を、今の会社から移り先の事業者に移す | 今の会社が認証コードを出すまでの時間 |
時間がかかるのは、今の会社からの引き継ぎです
4 つの作業のうち、当社の手で進められるのは、サーバーの契約とサイトとメールの移し替えです。ドメインは、今の管理の事業者が認証コードを出してくれないと動きません。
JP ドメインを管理する JPRS は、管理する事業者を変える手続きを、次の順で説明しています。登録者が今の事業者に認証コードを求める。今の事業者が発行して知らせる。登録者が移り先の事業者に申し込む。今の事業者から登録者に、移してよいかの確かめが来て、登録者が承認する。JPRS は、開始から終わりまでに数日かかることがあるので、日程に余裕を持つよう書いています。
- 契約書を読む作ったものの持ち主、ドメインの名義と移す条件、途中でやめる条件を確かめる
- やめる意思を伝える契約の読み方が固まってから、今の会社に伝える
- 一式を受け取るWordPress・サーバー・ドメインの管理画面のアカウントと、認証コードを受け取る
- 移して確かめる新しいサーバーにサイトとメールを作り、表示と送り受けを確かめる
- 切り替えるドメインの向き先を新しいサーバーに変え、各パソコンのメールの設定を変える
サーバー・サイト・メール・ドメインの作業は、受け取りが済めばほぼ同時に進む
最初に、契約書で作ったものとドメインの扱いを読みます
このご相談でも、最初にしたのは契約書を読むことでした。その場で見せていただいた範囲でも、気になる条文がありました。作ったサイトの持ち主がお客様に移ると書いた条文と、著作権は制作会社に残ると読める条文が、両方あります。ドメインを、契約が終わった後にほかの会社で使うときの、移す費用の定めもありました。
読み方に迷う条文は、私が決めることではありません。お客様の顧問の方に契約書を読んでいただき、問題が無ければ、お客様から今の会社にやめる意思を伝える、という順番にしました。今の会社との実務の連絡は、お客様を写しに入れたうえで、当社が窓口になることにしています。
- WordPress の管理画面の、管理者のアカウント
- サーバーの管理画面と、ファイルを送るためのアカウント
- ドメインの管理画面のアカウントと、認証コード(AuthCode)
- メールのアドレスの一覧と、それぞれのパスワードの再設定の方法
- ドメインの設定(どこにサイトとメールを向けているか)の写し
- 契約書と、これまでの請求書
メールの切り替えの日は、半日〜1 日、届き先が混ざります
メールは、切り替えた瞬間に全部が新しいサーバーに届くわけではありません。ドメインの設定(MX レコード)を書き換えてから、世界中の仕組みに行き渡るまで、半日〜1 日ほどは、古いサーバーに届くメールと新しいサーバーに届くメールが混ざります。この間は、両方の受信箱を見ます。
メールの読み方も、このときに決め直します。ブラウザで読むWeb メールにすれば、各パソコンのメールソフトの設定を変える作業が要りません。ただ、全員で 1 つの受信箱を共有する使い方にすると、送ったメールも全員から見えるようになります。このお客様には「外に出せない報告書は 1 台のパソコンからだけ送る」という決まりがあるので、それと合うかを、お客様に決めていただくことにしました。
移すのを待たずに直せるものは、先に直します
この日、伺う途中で、もう 1 つ見つけたことがあります。会社概要のページに載っている地図が、実際の場所と違うところを指していました。私はその地図のとおりに行き、まったく別のお宅を訪ねてしまいました。サイトを見て来られる方が、同じようにほかのお宅に迷い込むおそれがあります。地図の差し替えは、引っ越しを待たずにすぐ直すようお勧めしました。
引っ越しの前に分かることは、もう 1 つあります。古いサーバーでは、サーバーの都合で WordPress の本体を新しい版に上げられないことがあります。古い配管のままでは新しい設備を入れられない、という状態です。版が古いまま止まっていたら、移すときに一緒に上げます。長く止まっていた WordPress を新しくしたときのことは、別の記事 に書きました。会社のメールを個人のアドレスから移す話は、こちらの記事 にあります。



