事務所の Wi-Fi は、WPA3 にするか、WPA3 につなげない古い機器が残るなら、WPA2 と WPA3 の両方を受ける移行モードにします。WEP・WPA・TKIP を使う設定は使いません。方式は、ルーターやアクセスポイントの管理画面の「セキュリティ」や「暗号化」の欄で確かめます。
総務省が 2026 年 2 月に行い、7 月に公表した調査では、自宅で Wi-Fi を使う 957 人のうち 46% が、暗号化しているかどうかを「わからない」と答えました。暗号化していると答えた 437 人でも、方式を「わからない」が 51% でした。
暗号化の方式は 4 つあり、今使うのは WPA2(AES)と WPA3 です
| 方式 | 総務省の説明 | 事務所で使うか |
|---|---|---|
| WPA3 | 2018 年に発表された方式。暗号の鍵の交換のしかたなどが強くなり、WPA2 で報告された弱点も解消されている | 使う |
| WPA2 | 今の主流の方式。KRACKs という弱点が見つかったが、直したファームウェアを各社が出している | AES で使う。TKIP は選ばない |
| WPA | WEP の弱点を補った方式だが、一部に弱点があり、今は勧められない | 使わない |
| WEP | 暗号を短い時間で解く方法が知られ、今は簡単に解かれてしまう | 使わない |
| 暗号化なし | 通信が暗号化されず、誰でもつなげる | 使わない |
Apple も、ルーターとアクセスポイントの推奨の設定として、WPA3 パーソナルか、古い端末のための WPA2/WPA3 の移行モードを挙げています。どちらも使えなければ WPA2 パーソナル(AES)です。避ける設定には、WPA/WPA2 の混在モード、WPA パーソナル、WEP、名前に TKIP を含むもの、セキュリティ無しを挙げています。
WPA3 の個人・事務所向けの方式は、Wi-Fi Alliance の発表によると、パスワードを推測しようとする攻撃に強い鍵の決め方(SAE)を使います。短めのパスワードでも、推測しようとする攻撃に耐えやすい作りだとしています。
確かめるのは、ルーターやアクセスポイントの管理画面です
方式は、ルーターやアクセスポイントの管理画面で見ます。総務省の手引きは、機器によって「暗号化」「セキュリティ」など、欄の呼び名が違うと書いています。
見落としやすいのは、1 台の機器が出している 2 つ目、3 つ目の Wi-Fi です。総務省の手引きは、Wi-Fi のルーターの中には名前(SSID)を 2 つ以上持つものがあり、古いゲーム機などのために古い暗号化の方式が設定されている場合がある、と書いています。名前ごとに方式を見て、使っていない名前は止めます。
当社のネットワーク見える化の現地での確認でも、社内用と来客用のネットワークが本当に分かれているかを、機器の設定を開いて確かめます。暗号化の方式も、同じ設定の画面に出ています。
- Wi-Fi の名前(SSID)がいくつあり、それぞれ何に使っているか
- 名前ごとのセキュリティの方式(WPA3 か、WPA2/WPA3 の移行モードか)
- WPA2 なら、暗号化が AES になっているか(TKIP になっていないか)
- 使っていない名前が、古い方式のまま残っていないか
- Wi-Fi のパスワードが、買ったときのままになっていないか
- ファームウェアの版と、メーカーのサポートの期限
WPA3 に変えると、古い機器がつながらなくなることがあります
WPA3 でつなぐには、ルーターとつなぐ側の機器の両方が対応している必要があります。古いノートパソコン、プリンター、ハンディの端末、防犯カメラのような機器は、対応していないことがあります。総務省の調査でも、WEP や WPA を使い続けている人の 17% が、理由に「古い端末が対応していない」を挙げています。
いきなり WPA3 だけにすると、こうした機器が使えなくなります。まず移行モードにして、つながらない機器が無いかを確かめてから進めます。
- 機器を数えるWi-Fi につないでいるパソコン・スマートフォン・プリンター・カメラを書き出す
- 設定を控えるルーターやアクセスポイントの今の設定を書き出しておく
- 移行モードにするWPA2/WPA3 の移行モードにし、業務の時間の外に切り替える
- つなぎ直す端末に保存したネットワークの設定を消し、つなぎ直して確かめる
- 古い機器を決めるWPA3 につなげない機器は、買い替えるか、使い道を限った別のネットワークに分ける
Apple の案内は、設定を変える前にルーターの設定を控えること、変えたあとは、そのネットワークにつないだことのある端末で、保存してあるネットワークの設定を消してからつなぎ直すことを勧めています。端末が古い設定のままつなごうとして、うまくつながらないのを防ぐためです。
方式の強さとは別に、パスワードの扱いで穴が開きます
方式を WPA3 にしても、パスワードを知っている人は誰でもつなげます。総務省の調査では、暗号化している人の 56% が、Wi-Fi のパスワードを買ったときのままにしていました。総務省の手引きは、買ったときのパスワードは 1 台ごとに違うものが割り振られている場合が多いとしたうえで、簡単なものなら推測されにくいものに変えるよう書いています。
事務所では、パスワードを知っている人の範囲を決めます。辞めた人や、出入りしていた業者が知っているパスワードは、変えるまで使えます。社員が辞めるときに変えるものの順番は、辞める日に止めるアカウントの記事 に書いています。
来客に使ってもらう Wi-Fi は、社内用と分けます。当社のクリニックのモデルケースは、待合室の Wi-Fi のパスワードを壁に貼り出している状態から、来院ごとにアカウントを出す形に変える想定の例です。分け方は 来客用と業務用の Wi-Fi を分ける記事 に、ルーターを置いたときに最初に変える設定は ルーターと防犯カメラの最初の設定の記事 に書いています。



