社内の共有フォルダを SharePoint へ移すときは、移す前に、移しにくいファイルを混ぜたお試しのデータで練習します。困るのは、ファイルの数より、名前・長さ・権限・大きさです。本番で見つかると、どのファイルが移らなかったのかを探すところから始まります。
2026 年 5 月、当社は、フォークリフトの販売や整備などをされている会社様のために、検証の手順を作りました。SharePoint へ移る前に試すための手順です。その手順を、6 つの段に分けて紹介します。
移す前の検証は、棚卸しから受入れの判定まで、6 つの段に分けました
- 棚卸し人数・端末・今のメール・今のフォルダの中身を数える(1 週間)
- 土台を試す試し用の環境で、サイト・権限・決まりの設定が動くかを見る(1 週間)
- 移行の練習移しにくいファイルを混ぜた 3 GB ほどのデータで、移行を練習する(1〜2 週間)
- 業務で試す現場の作業を 5 つ、部門の人に通しでやってもらう(1 週間)
- 運用を決める記録・バックアップ・辞めた人の扱いを手順にする(1 週間)
- 判定残った課題を見て、本番に移るかを決める(1 日)
期間は 2026 年 5 月に作った手順の目安
段ごとの終わりに、続けてよいかを決める場を置きます。届かなかった項目は、課題の一覧に書いて追いかけます。
棚卸しでは、人数と端末、今のメール、今のフォルダの中身を数えます
最初に、今の状態を数えます。
| 数えること | 数え方 |
|---|---|
| 使う人数(社員・パート・派遣・常駐の外の人) | 総務の担当の方に伺う |
| 端末の種類と台数(Windows・Mac・iPad・スマートフォン) | 担当の方に伺う |
| 今のメール | ドメインの設定(MX レコード)を見る |
| 今のフォルダの容量・ファイルの数・フォルダの数 | 今の ファイルサーバー や NAS を集計する |
| 拡張子ごとの件数、いちばん大きいファイル、いちばん長いパス | 同じく集計する |
| 今の権限の付け方 | 今の設定を見る |
| 直近 1 年に開かれたファイルの割合 | 同じく集計する |
| お客様とのファイルのやり取りの方法 | 現場の方に伺う |
最後から 2 つ目の数は、移す量を決めるのに役立ちます。ほとんど開かれていない古いファイルは、移さない選び方もあります。
移行の練習には、名前・長さ・大きさで引っかかりそうなファイルをわざと混ぜます
お試しのデータは、部門ごとの代表のフォルダを 1 つずつ選び、3 GB ほどにします。そこに、本番で引っかかりそうなファイルをわざと混ぜます。
- 名前に半角カナ・全角の空白・記号を含むファイル
- フォルダを深く重ね、パスが長くなったファイル(220 文字を超えるもの 5 件以上)
- 500 MB を超える大きなファイル(2 件以上)
- 図面(dwg・dxf)や動画(mp4)
- 古い形式の Excel・Word(xls・doc)
- Excel の中に、社内のほかのファイルへのリンクがあるもの
混ぜる理由は、Microsoft が決めている上限にあります。ファイル名に使えない文字があり、名前の先頭と末尾の空白も使えません。ファイル 1 つの大きさは 250 GB までです。パスの長さには、場所ごとに別の上限があります。
| どこで | パスの長さの上限(Microsoft の案内) |
|---|---|
| OneDrive と SharePoint(クラウドの側) | ファイル名を含めて 400 文字 |
| Windows のフォルダの操作(既定) | 260 文字 |
| パソコンの Word・Excel・PowerPoint | 256 文字 |
クラウドの側では保存できても、パソコンの Excel で開けない、ということが起きます。いちばん厳しいのは、パソコンの側の上限です。
練習のあとは、10 の項目を確かめます。件数と階層が一致するか。名前が文字化けしていないか。権限が引き継がれたか。長すぎるパスで警告とエラーの記録が取れるか。大きなファイルが移るか。Excel の中のリンクが切れていないか、などです。件数・階層・権限の 3 つで不一致があれば、本番には進みません。
現場の作業を 5 つ、部門の人に通しで試してもらいます
設定が動くことと、現場が使えることは別です。部門の代表の方に、ふだんの作業を通しでやっていただきます。
- 営業の方が見積書を保存し、上長がコメントを入れ、お客様に期限とパスワード付きのリンクで渡す
- 整備の方が iPad で点検の写真を撮って載せ、事務所のパソコンで同時に見る
- 倉庫の方が在庫の表を何人かで同時に直し、1 時間前の版に戻す
- 経理の方が請求書の PDF を載せ、社外秘の印を付け、誰が開いたかの記録を見る
- 総務の方が全社のお知らせを載せ、社員に通知が届くかを見る
どの作業も、部門の方が説明書なしで終えられるかを見ます。分かりにくかった所は、課題の一覧に書きます。
辞めた人のファイルと、外部への共有の決まりを、本番の前に決めます
最後の段では、運用の決まりを手順にします。とくに、2 つは本番の前に決めておきます。
1 つは、辞めた人のファイルの扱いです。アカウントを消したとき、その人が持っていたファイルの持ち主がどう移るかを、試し用の環境で実際に消して確かめます。
もう 1 つは、外部への共有 の決まりです。社内だけ・招いた外の人だけ・誰でも、のどれまで許すかを、会社として選びます。サインインには 二要素認証 を有効にし、スマートフォンのアプリと SMS で通るかを確かめます。
パソコンからは、OneDrive の同期のアプリを使うと、今までのフォルダのように開けます。Microsoft は、同期するファイルとフォルダを合わせて 30 万個以下にするよう勧めています。全部を同期せず、部門で使うフォルダだけを同期します。
移したあとの置き場所が決まると、ふだんの バックアップ の考え方も変わります。共有フォルダの置き場所の見直しは、当社の ネットワーク見える化 の現地での状況確認でもお受けしています。



