ネットワーク構成図は、現場の線と結び付いて初めて役に立ちます。図に「2 階の事務所の 3 番」と書いてあっても、天井裏や配電盤の中で、どの線がそれなのかを見分けられなければ、止まった場所をたどれません。だから、ケーブルの両端に同じ行き先の名前のラベルを付け、一覧表と構成図にも同じ名前を書きます。
2026 年 5 月 25 日に、ある専門学校様でネットワークの困りごとを伺いました。そこで見えたのが、まさに「図も無く、線も見分けられない」状態でした。
伺った専門学校様では、機器が配電盤に押し込まれ、線を見分けられませんでした
この学校様では、少し前に、1 つの建物で共有フォルダ用の機器を置き、ネットワークを調整する作業をしています。その作業の中で、学校全体のネットワークが、配線も機器も誰も全体を把握していない状態だと分かりました。5 月の打ち合わせは、その困りごとを学校側と共有する場でした。伺ったことを並べます。
- ネットワークの機器が配電盤の中に押し込まれていて、開けても線を見分けられない
- 手元にある配線の資料は、実際と合っていない。ある建物では、資料に無いネットワークの分け方(VLAN)の設定が見つかった
- 以前に 2 社ほどの業者が入った形跡があるが、どの業者が何をしたかが分からない
- 無線がつながったり切れたりするので、結局は有線で使っている。教室の中には、無線の機器が 2 台むき出しで置かれている
- 機器が壊れていても気づけない。前の作業の最終日に、ある建物の回線の機器(ONU)が壊れていたと分かった
- 止まったときは、1 台ずつ順に通信を確かめるしかない。無線と有線と分けた設定が混ざっているので、場所の特定に数日かかるおそれがある
話し合いの結論は、まず 3 つの建物の現状を調べ、機器と配線を図にすることでした。直し方を決めるのは、その図ができてからです。
管理の仕組みを入れても、現場で線を見分けるにはラベルが要ります
最近のネットワークの機器は、まとめて管理する仕組み(統合管理コントローラー)を置くと、どの機器がつながっていて、どこが止まっているかを、画面で図のように見られます。5 月の打ち合わせでも、この仕組みを紹介しました。
ただし、画面で分かるのは「どの機器の、どの差し込み口か」までです。その差し込み口から出ている線が、天井のどの線で、どの部屋の壁につながっているかは、画面には出ません。配電盤を開けて、線を手で探すことになります。学校側の方とも、管理の仕組みを入れるとしても、ラベルは欠かせないという話になりました。
ラベルは、両端・一覧表・構成図に、同じ名前を書きます
付け方の決まりは、1 つだけです。同じ線には、どこでも同じ名前を使います。下は、名前の付け方の例です。
| 書く場所 | 書く中身(例) |
|---|---|
| 部屋の壁の差し込み口 | 2F-事務所-03 |
| その線のスイッチ側の端 | 2F-事務所-03 |
| 一覧表の 1 行 | 2F-事務所-03 / スイッチ 2 の 7 番 / つながる機器: 複合機 |
| ネットワーク構成図 | スイッチ 2 から出る線の横に 2F-事務所-03 |
名前は「階-部屋-番号」の順にそろえます。並べ方がそろっていれば、知らない人が見ても、だいたいの場所が分かります。スイッチ やルーター、アクセスポイントなどの機器の本体にも、図と同じ名前を貼ります。
- 同じ線には、両端・一覧表・構成図のどこでも同じ名前を使う
- 名前は「階-部屋-番号」の順にそろえる
- 機器の本体にも、構成図と同じ名前を貼る
- 一覧表は 1 本 1 行。つながる機器と、スイッチの何番かも書く
- 濡れたりこすれたりしても消えない材質を使う
- 配線を変えたら、その日のうちに一覧表と図を直す
- 図の隅に、最後に直した日付を書く
図と現場を見比べて、違っていたら現場を正として図を描き直します
図とラベルがそろったら、現場を 1 部屋ずつ回って見比べます。差し込み口のラベルが一覧表にあるか。スイッチの何番につながっているか。図にない機器や線はないか。
資料と現場が違っていたら、現場を正として図を描き直します。資料にない設定や機器が見つかったら、それが何のためにあるのかを調べてから、残すか外すかを決めます。誰が置いたか分からない機器を、分からないまま外すと、何かが止まることがあるからです。
図もラベルも無い
- 1 台ずつ順に通信を確かめる
- 場所の特定に数日かかることがある
- 壊れた機器に、しばらく気づけない
- 担当が替わると、また調べ直す
図とラベルがある
- 図で、止まっている区間を絞り込める
- ラベルで、現場の線をすぐに見つけられる
- 管理の仕組みと合わせれば、壊れた機器に早く気づける
- 担当が替わっても、図と一覧表で引き継げる
止まったときは、図の上で回線の入口から順にたどります
図とラベルがあれば、止まったときに確かめる順番を決めておけます。インターネットの回線の入口から、社内の端に向かって、1 つずつたどります。
- 回線の入口の機器(ONU)のランプ
- ルーターと防御機器(UTM)
- 中心のスイッチ
- 各階・各部屋のスイッチ
- 無線の機器(アクセスポイント)と、つながらないパソコン
どこまで通っていて、どこから先が止まっているかが分かれば、その間の線と機器に絞れます。通信が届くかを確かめる道具(ping など)もありますが、どの機器がどこにあるかが分かっていなければ、どこに向けて確かめればよいかが決まりません。5 月の打ち合わせでも、構成が分かっていることが前提だ、という話になりました。
図とラベルを作るのは、工事の前がいちばん楽です
配線を引き直す工事や、機器の入れ替えの前に作っておくと、工事の範囲と見積もりの前提がはっきりします。工事の後に作ろうとすると、また配電盤を開けて線を探すことになります。
当社の ネットワーク見える化 は、現地で配線と機器のつながりを設定まで確かめ、ネットワーク構成図 と気になる点の一覧にまとめるところから始めます。配線には、行き先のラベルを付けます。この学校様で前に行った作業は、事例 にもまとめています。



