メールの誤送信を減らすには、送る前の確認に加えて、送ったあとに取り消せる時間をメールのソフトの設定で作り、宛先の候補から間違えやすい相手を外します。Gmail は送信の取り消しを最長 30 秒にでき、従来の Outlook は、すべてのメールの送信を最大 120 分遅らせるルールを作れます。そのうえで、宛先と CC に誰を入れるかは、人が決めます。
送り先の間違いは、漏えいの報告でも多い原因です
個人情報保護委員会は、2026 年 7 月に公表した令和 7 年度の年次報告で、事業者から受けた漏えい等の報告の原因を数えています。
- 委員会への直接の報告
- 13,345件
- 誤送付
- 2,889件 報告した事業者自身によるもの。全体の 21.6%
- 誤交付
- 6,072件 窓口などで別の人に渡したもの。全体の 45.5%
- 紙の媒体だけが漏れたもの
- 76.9%
出所: 個人情報保護委員会「令和 7 年度 個人情報保護委員会年次報告」。メールだけの件数は分けて示されていません。
紙の書類の漏えいが 76.9% を占め、メールだけの件数は出ていません。それでも、送り先を間違える「誤送付」が、不正なアクセス(533 件)よりずっと多いことは読み取れます。メールでも、1 回の押し間違いで、同じことが起きます。
間違い方ごとに、設定でできることと、人が決めることを分けます
| 間違い方 | 起きやすい場面 | 設定でできること | 人が決めること |
|---|---|---|---|
| 宛先の選び間違い | 名前の一部を打って出た候補から、似た名前を選ぶ | Gmail は、候補から特定の相手を外せる | 送る前に、宛先の会社名まで読む |
| 大勢のアドレスが互いに見える | 同じ案内を何人にも送る | BCC に入れた人どうしは、互いのアドレスが見えない | 大勢への案内は、一斉配信の仕組みで送る |
| 添付の取り違え | 似た名前のファイルや、前の版を付ける | (なし) | ファイル名に、相手の名前と日付を入れる |
| 送ってから気づく | 送信を押した直後 | Gmail の送信の取り消し、Outlook の送信を遅らせるルール | 気づいたら、すぐ取り消すか開いて直す |
設定で減らせるのは、表の右から 2 番目の列だけです。宛先を選ぶ、添付を選ぶ、という判断そのものは、ソフトが代わってくれません。
BCC に入れるつもりで宛先の欄に入れてしまう間違いは、設定では止められません。大勢に同じ案内を送るときの決め方は、一斉メールの送り元と配信停止の記事 に書いています。
送ってから気づく数十秒を、設定で作ります
Gmail には、送ったあとしばらく、送信を取り消せる仕組みがあります(送信取り消し)。取り消せる時間は、設定で 5・10・20・30 秒から選べます。
- パソコンで Gmail を開き、右上の設定のアイコンから「すべての設定を表示」を開く
- 「送信取り消し」の横で、取り消せる時間を選ぶ(30 秒が最長)
- いちばん下の「変更を保存」を押す
送った直後に、画面の左下に「メールを送信しました」と出ます。そこで「取り消し」を押せば、送信が取り消されます。
従来の Outlook には、送信の取り消しの代わりに、送信するすべてのメールを決めた分数だけ遅らせるルールがあります。Microsoft の案内では、最大 120 分まで指定でき、そのあいだメールは送信トレイに残ります。送信トレイにあるうちに気づけば、送られる前に開いて直せます。
宛先の候補から、間違えやすい相手を外します
Gmail では、宛先の欄に名前の一部を打つと、これまでにやり取りした相手が候補に出ます。間違えて選びやすい相手は、候補から外せます。候補に出た相手のプロフィールの写真を右クリックし、「候補を非表示にする」を押します。
候補にはこれまでにやり取りした相手が並ぶので、同じ名字の別の会社の人や、辞めた人の古いアドレスが出ることもあります。月に 1 回、よく送る相手の名前を打ってみて、どんな候補が並ぶかを見ておきます。
- 宛先の会社名と名前(候補から選んだなら、とくに)
- CC に入れた人が、この中身を読んでよい人か
- 大勢に送るなら、宛先や CC ではなく BCC か、一斉配信の仕組みか
- 添付のファイル名が、相手と版に合っているか
- 本文の相手の名前と、件名の相手の名前が同じか
当社では、AI が下書きしたメールも、宛先は人が決めてから送ります
当社では、打ち合わせのあとのお礼のメールなどを、AI に下書きさせることがあります。当社の仕事の決まりでは、メールなど外への送信は、人が承認してから行います。AI に作らせるのは下書きまでです。
下書きの頭には、「送信前」と書かせたうえで、宛先と、同席した方を CC に入れるかどうかを、送る前に決めることとして書き出させています。誰に CC を付けるのがふさわしいかは、相手との関係を知っている人が決めるほうが確かだからです。営業のメールの下書きで人が見るところは、営業メールの下書きの記事 にもまとめています。
送ってしまったときは、相手に連絡して消してもらうよう頼み、社内の責任者に知らせます。個人の情報が入っていたなら、個人情報保護委員会への報告が要るかどうかを確かめます。報告が要るかどうかの決まりは、ノートパソコンをなくしたときの記事 にも書いています。
当社のネットワーク見える化の「情報セキュリティの体制づくり」では、障害や紛失が起きたときの手順を、ルールと文書にしています。誤送信したときに誰へ何を知らせるかも、同じ文書に入れておけます。



