AI が下書きした営業メールで、送る前に人が見る点は 9 つです。7 つはお礼でも案内でもどのメールでも見る点で、残る 2 つは、新しい取引先への案内やメールマガジンのような広告・宣伝のメールにかかる法律の点です。
確認表は、当社で AI の下書きを直した箇所と、過去の失敗から作りました。お礼メールをその日のうちに出す流れは、お礼メールの手順の記事に書いています。
AI に頼む前に、使ってよい事実の範囲と、入力しない情報を決めます
1 つ目は、AI が使ってよい事実の範囲です。以前、案内のチラシの原稿を AI(ChatGPT)に頼んだときは、依頼文の最初のほうに「厳守すべき事実(この範囲だけを使う。誇張・捏造禁止)」と書き、その範囲の外のことを書かせないようにしました。お礼メールの下書きなら、打ち合わせの録音の文字起こしと、その日にお渡しした資料が範囲になります。
2 つ目は、AI に入力しない情報です。どの AI に、どこまでの情報を入れてよいかは、会社で先に決めておきます。AI の基礎とセキュリティの基礎は、当社の AI基礎研修の第 1 部でお話ししています。決まりの作り方の例は、用語集の AI 利用ガイドラインにあります。
送る前に、宛名から法律の表示まで 9 つの点を確かめます
- 宛名・敬称・同報(CC)の相手が合っているか
- 回数・金額・日付が、打ち合わせで話した内容と合っているか
- 社内でまだ決まっていない金額や条件を書いていないか
- 相手の会社について書いたことを、その会社の公式の情報で確かめたか
- 制度や補助金の名前と条件を、公式の情報で確かめたか
- 社内だけで使う言葉が混ざっていないか
- 下書きの後ろの社内メモや、空の差し込み欄が残っていないか
- 広告・宣伝のメールなら、送ってよい相手か(同意・名刺・受信拒否)
- 広告・宣伝のメールなら、送信者の名前・住所・受信拒否の連絡先などを表示したか
当社が実際に直した箇所と、過去の失敗から作成(2026 年 9 月 29 日時点)
1 つ目の宛名と同報の相手は、AI に下書きの後ろへ「送る前に私が決めること」として書き出させ、私が決めています。
回数・金額・日付は、打ち合わせの録音やメモと照らして確かめます
回数・金額・日付は、相手には約束として読まれます。2026 年 9 月のお礼メールでも、AI の下書きにあった打ち合わせの回数、月額の幅、提案書を送る日付を、私が直してから送りました。下書きの数字は、打ち合わせの録音や自分のメモと照らして確かめます。数字と固有名詞は、間違っていても文が自然に読めてしまうので、読み流すだけでは気づけません。
まだ社内で決まっていない金額は、本文に書かせません。2026 年 7 月の別の打ち合わせのあとの下書きでは、資料に書いた料金と口頭で説明した金額に食い違いが残っていたため、AI は 10 月以降の金額に触れずに下書きを作りました。9 月の下書きでは、社内で決まっていない料金の案を、本文とは別の「差し替え候補」として置かせ、使うかどうかを私が決めるようにしました。
相手の会社と制度の事実は公式の情報で確かめ、社内の言葉は一覧で機械的に探します
相手の会社について書くことは、その会社の公式のページで確かめます。制度や補助金の名前と条件も、公式の情報に当たってから書きます。当社では、AI が別の会社の株主優待を提案先のものと取り違えたことと、実在しない補助金の名前を書いたことがあります。どちらも、経緯とそのあと決めた確かめ方を、AI の間違いを止める確認の手順に書きました。営業メールで相手の会社の取り組みに触れるときや、使える制度をご案内するときも、確かめ方は同じです。
社内でしか使わない言葉も、お客様向けの文章に混ざります。提案書の見出しに社内の言葉が残っていた失敗のあと、当社はお客様に出す前に、使わない言葉の一覧で文章を機械で探すようにしました。見つかった箇所を直すかどうかは、人が読んで決めます。
下書きに残った社内メモを消し、宛名の差し込み欄が空になっていないかを確かめます
下書きの後ろに書かせた社内メモは、送る前に消します。6 月の下書きでは、その欄に「社内メモ・送信時に削除」という見出しが付いていました。消さずに送ると、社内のやり取りがお客様に見えてしまいます。
差し込みの空欄もあります。会社名やお名前が空の相手に、宛名を差し込むひな形で送ると、誰に宛てたのか分からない書き出しになります。当社のサイトのステップメールで見つかった例は、ステップメールの記事に書きました。
広告・宣伝のメールは、特定電子メール法の同意と表示の決まりを確かめます
新しい取引先への案内やメールマガジンのように、営業のための広告・宣伝として送るメールには、特定電子メール法の決まりがかかります。メールの送信を外の会社に任せる場合も対象です。確認表の最後の 2 つは、この法律のための項目です。
原則として、受け取ることに同意した相手(オプトイン)にだけ送れます。名刺などの書面でアドレスを知らせてくれた相手には例外がありますが、送信者の名前・住所・受信を拒否する連絡先などの表示は、どの場合も要ります。例外の範囲と表示することの一覧は、総務省の資料と法令をもとに営業リストと法律の記事に書き出しました。



