AI を仕事で使ったことのない会社様への研修の提案で、最初の 1 回を、無料の短い「導入の回」にしたことがあります。何ができるかが見えていないうちに、有料の研修の中身を決めていただくのは難しいからです。導入の回で分かったことは、有料の回の中身に使います。
提案したのは、水回りのリフォームを営む会社様です。受けるのは、社長と、パートの方 2 名です。提案書には、3 人とも仕事で AI を使ったことがない、と書いています。2026 年 5 月 16 日の提案書で、この組み方をしました。
前の日の打ち合わせで、研修の形を 2 つお話ししていました
提案書の前の日に、当社の事務所で社長と打ち合わせをしました。話の中心は業務の仕組みのご相談でしたが、AI の研修の話にもなりました。
私がお話ししたのは、半日の短い研修と、1 日の研修の 2 つの形です。そのうえで、まず雑談のような導入の回を設け、社長がそこで続けるかを決めてから本格的な研修に進む、という 2 段の進め方を提案しました。社長はこの進め方を受け入れてくださり、受ける方の慣れ具合に合わせた中身にしてほしい、というご希望も伺いました。
この会社様には、毎日の書く仕事が多くありました。SNS の投稿、チラシや DM の文面、現地の調査のメモ、見積もりの下書きです。提案書の課題の欄には、AI で何ができるかが見えていないこと、何から始めればよいか分からず最初の一歩が出ないことを書きました。
研修は、無料の導入の回と、有料の 2〜3 回に分けました
- 導入の回(無料)1〜2 時間。AI に何ができるかを見ていただき、受ける方の慣れ具合と関心を伺う
- 1 回目(半日)文章を作る仕事で AI を使う。研修の中で、そのまま使える文面を作る
- 2 回目(半日)声の書き起こし、写真、表の数字など、文章以外で使う
- 3 回目(1 日・選べる)社長お一人で、経営の数字の相談相手として AI を使う
導入の回は、雑談を中心にしました。「AI はどこまでできるのか」というご質問に、その場で SNS の投稿やチラシの文面を AI に書かせて見せながら答えます。受ける方がパソコンやスマートフォンにどのくらい慣れているか、どの仕事に関心があるかも、このときに伺います。
社長とパートの方では、AI を使う場面が違います。そこで、有料の回のメニューは役割で分けました。パートの方には SNS や DM、現地の調査のメモを、社長には経営の判断や補助金の検討を当てています。
有料の回では、研修の中で作ったものをそのまま業務で使えるようにしました
有料の回で持ち帰っていただくものは、回ごとに決めました。
| 回 | 題材 | 研修の中で作り、持ち帰るもの |
|---|---|---|
| 1 回目(半日) | SNS の投稿、チラシや DM の文面、口コミへの返信、お客様へのメール | 指示文の見本集、SNS の投稿 30 本分の下書き、DM のひな形 5 種 |
| 2 回目(半日) | 声で入れたメモの要約、現地の写真の説明文、過去の見積もりの分析、Excel の数字の読み取り | 現地の調査のメモのひな形、見積もりの下書きを頼む指示文、議事録の決まり |
| 3 回目(1 日・選べる) | 経営の数字の相談、補助金の検討、お客様の分類、外に頼むか自社でやるかの判断 | 経営の相談の指示文の見本集、補助金の検討の表、AI の使い方の決まり |
作る練習の題材は、この会社様の実際の仕事にしました。研修で作ったものを、その日から業務で使えるようにするためです。演習には、SNS に載せたい題材、現地の調査の案件 1 件、過去の見積もり 3 件を持ち込んでいただく前提です。繰り返し使う指示文をまとめたものは、指示文の見本集とも呼ばれます。
組み合わせは 3 つにし、「導入の回だけ」も選べる形にしました
導入の回だけ
- 無料の導入の回だけを受ける
- 続けるかは、そのあとに決める
基本の組み合わせ(お勧め)
- 導入の回と、有料の 1・2 回目
- 社長とパートの方の 3 人で受ける
すべての回
- 基本の組み合わせに、社長お一人の 3 回目を足す
- 経営の数字の相談まで扱う
「導入の回だけ」を組み合わせの 1 つに入れておくと、無料の回を受けたら有料も頼まなければ、という気持ちになりにくくなります。無料の回が断りにくさを生むなら、お試しの意味がありません。
組み合わせを中身の大きさで並べる考え方は、用語集の松竹梅にまとめています。回を分けて順に進める形は、段階導入とも呼ばれます。
無料の回にも、何をする回かを書きました
無料の回は、目的があいまいだと、ただの雑談か、売り込みの場になります。提案書には、何をする回かを書きました。
- AI に何ができるかを、目の前で実演する
- 受ける方のご質問に、その場で答える
- 受ける方の慣れ具合と、関心のある仕事を伺う
- その場で作った SNS の投稿の文面を、5 本残す
関心のある仕事が分かれば、それを有料の回の題材にできます。受ける方の AI リテラシーがどのくらいかも、ここで分かります。提案書の最後には、導入の回のあとに、1・2 回目の中身を調整してお出しし直すと書きました。
導入の回は、受ける方が置いていかれる心配への手当てでもありました
提案書のリスクの表にも、導入の回が出てきます。
| 心配なこと | 手当て |
|---|---|
| 受ける方が、研修の中身についてこられない | 導入の回で慣れ具合を伺い、1・2 回目の中身を合わせる |
| 研修のあと、業務で使われない | 研修のあと 1 か月、メールなどで質問にお答えする |
| AI の間違いを、そのまま使ってしまう | 2 回目で、AI が出したものを確かめる手順を扱う |
| 研修で、通常の業務が止まる | 半日 2 回と、1〜2 時間 1 回に限る |
1 つ目の心配は、受ける 3 人の慣れ具合が分からない限り、提案書を書く側には消せません。導入の回は、その心配を、研修を始める前に小さくする回でもあります。
研修の終わりの目安は、受けた方が自分で数えられるものにしました
提案書には、研修が終わった時点の目安も書きました。受けた方がそれぞれ、自分が AI に任せた仕事を 3 つ以上挙げられることです。数えるのは受けた方ご自身で、研修のあとに当社がいなくても確かめられます。
ほかに、研修の 3 か月後の目安として、SNS の投稿の回数、現地の調査のメモを AI でまとめた件数、社長が AI に経営の相談をした回数も並べました。どれも、研修を始める前は 0 か、不定期だったものです。
決めていただくことは 4 つ、期限も書きました
提案書の最後には、決めていただくことを 4 つ並べました。
- この提案を採るかどうか
- どの組み合わせにするか(導入の回だけ・基本・すべて)
- いつ始めるか(6 月か 7 月)
- どこでするか(会社様の事務所・当社の事務所・オンライン)
期限は、2026 年 6 月 30 日までとしました。研修は業務の時間の中で受けたいというご希望だったので、場所の選び方には、移動の手間が少ない会社様の事務所も入れています。お受けいただけたら、導入の回の候補日を 3 つお出しする段取りです。
この提案書の最後には、社内で回すための 300 字の要約も置きました。要約の書き方は、稟議に回る 1 枚の要約の記事にあります。
当社の AI秘書作成研修では、秘書に任せたい仕事を伺い、1 つを選んで御社の環境で一緒に作ります。



