打ち合わせでお会いした方が、その場で決める方とは限りません。その方は、提案書を持ち帰って、上司や社長に説明します。だから当社は、提案書とは別に、社内の稟議に回せる 1 枚の要約を作ります。
この記事では、要約に書くことを先に書きます。そのあと、2026 年 5 月に長い版と短い版の提案書を作ったときに外したものを書きます。
提案書を読む人と、要約を読む人は違います
提案書は、打ち合わせに出た方が、細かく読むためのものです。範囲、日程、費用、契約の条件まで書きます。一方で、決める方が読む時間は短く、打ち合わせでの話の流れも知りません。
社内でこの件を進めてくださる方(キーパーソン)が、上司に 3 分で説明できること。1 枚の要約の目的は、それだけです。
| 提案書 | 1 枚の要約 | |
|---|---|---|
| 読む人 | 打ち合わせに出た方、経理など | 決める方、上司 |
| 量 | 10 ページ以上になることもある | A4 で 1 枚 |
| 詳しさ | 範囲・契約の条件まで | 要点だけ |
| 渡し方 | 配る | 説明と一緒に手渡す |
1 枚の要約には、5 つのことを、この順に書きます
当社の提案の手順では、要約に書くことと順番を決めています。
- 今決める理由期限があれば、その期限を 1 文で
- やらない場合今のままだと何が続くかを 1 文で
- 当社を選ぶ理由決める方の判断の基準に効く理由を 3 つまで
- 心配と手当て失敗したとき、現場が使えないときなど、心配ごとと手当てを 3 つまで
- 決めていただくこと何を、いつまでに決めていただくか
1 つ目の「今決める理由」には、実在する期限だけを書きます。補助金の締め切りや、今の契約の更新日などです。期限が無ければ、無理に作りません。
渡すときには、要約を Word と PDF の両方で用意します。社内の書類に貼り付けて使われることがあるからです。決める方から出そうな質問と答えも、別に用意しておくと、進めてくださる方が答えに詰まりません。
これまでの提案書では、最後の節に 300 字の要約を置いていました
2026 年 4 月と 5 月の提案書では、最後の節に「稟議用サマリー」を置いていました。
- 4 月 27 日、プレス加工の会社様への提案書: 何をするか、補助金を使った場合の負担、試算の効果、期限
- 5 月 16 日、リフォームの会社様への AI研修の提案書(300 字以内): 誰が受けるか、回の組み方、基本の費用、研修の中で作るもの、目指すこと
どちらも、提案書の最後の節です。読み返すと、決める方に渡すには、提案書から 1 枚を抜き出してもらう必要がありました。5 月 16 日に、提案の手順を見直したとき、要約は提案書とは別の書類にすると決めています。
同じ日に、長い版と短い版の提案書を作りました
5 月 20 日、同じリフォームの会社様に、業務の仕組みを作り直す提案書を作りました。朝に作ったのは、内容を充実させた長い版です。最後の節の稟議用サマリーには、試算の年間の効果と、何か月で回収できるかの見込みも入っていました。
夕方には、短い版を作りました。目的、範囲、費用、補助金を使った場合の負担を 1 行、日程、次に決めていただくことと期限、の 6 つです。
朝の長い版
- 現状の認識と、課題の整理
- 範囲と、作るもの・作らないもの
- 体制、目標の数字、リスクと手当て
- 試算の効果と、回収までの見込み
- 最後の節に、稟議用サマリー
夕方の短い版
- 目的
- 範囲
- 費用
- 補助金を使った場合の負担(1 行)
- 日程
- 次に決めていただくことと期限
短い版には、試算の効果も、回収の見込みも入れていません。
要約を渡すときには、30 秒で話せる言葉も添えます
提案の手順には、要約を渡すときに、進めてくださる方が上司に話す言葉の型も入れています。
- 先日の何の件で、提案が来たか
- 1 枚にまとめてもらったので、見てほしいこと
- 期限がいつなので、いつまでに方向だけでも決めたいか
- いちばん心配していたことに、手当てが入っていること
- 詳しい資料は自分が持っているので、要るなら見せられること
この 5 つを、30 秒ほどで話せる長さにして、要約の裏か別の紙に書いてお渡しします。要約を受け取った方が、自分の言葉で説明しやすくするためです。
案件の大きさによって、要約が要るかどうかも変わります。当社の手順では、150 万円から 500 万円ほどの提案で作ることを勧めています。500 万円を超える提案と、補助金を使う提案では必ず作ります。
測る前の効果の数字は、要約には置きません
私は、1 枚の要約に試算の効果の数字を置くことには慎重です。要約は、提案書の前提の説明が届かない場所で読まれます。試算の前提を知らない方の間で、数字だけが社内を回ります。
その数字が、あとで実際と合わなければ、いちばん困るのは、社内で説明してくださった方です。効果は、数字を約束するのではなく、何を測って確かめるかで書きます。試す段階で測ってから約束する考え方は、試す段階だけを見積もる記事に書きました。たとえば「研修の前と後で、見積もりの下書きにかかる時間を測る」という書き方です。
回収までの期間(投資回収期間)も同じです。決める方が知りたいのは分かりますが、測る前の見込みを 1 枚の要約の中心に置くと、要約全体がその数字で読まれます。
要約は、提案書と同じ日に渡します
1 枚の要約は、提案書を出す日に、同じく渡します。進めてくださる方が社内の会議で使う日に間に合うように、最後の版はその前日までに共有します。
決める方が読むのは、この 1 枚だけかもしれません。要約は、提案書を作り終えてから縮めるより、提案の筋を決めた段階で一緒に書く方が、筋がぶれません。英語では、こうした要約をエグゼクティブサマリーと呼ぶこともあります。



