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コラム

営業リストを AI で作る前に確かめる、メールと個人情報の決まり

この記事の要点

広告や宣伝のメールは、原則として同意を得た相手にしか送れません。名刺で受け取ったアドレスや、サイトで公表されたアドレスには例外がありますが、送り手の表示と、断った相手に送らないことはどの場合も必要です。AI に集めさせた連絡先は個人情報の取得にあたりうるため、利用目的の公表も確かめます。

AI に営業リストを作らせて案内を送る前に確かめることは、2 つの法律に分かれます。メールで送るなら特定電子メール法、連絡先を集めて使うなら個人情報保護法です。広告や宣伝のメールは、原則として、送ることに同意した相手にしか送れません。名刺でアドレスを受け取った相手や、サイトでアドレスを公表している会社には例外があります。ただ、どの場合も、送り手の名前と、受け取りを断る方法をメールに書く必要があります。

当社の営業外注化には、名刺へのお礼メールと、問い合わせフォームから案内を送る作業が含まれます。どちらも、送る前に決まりを確かめる必要があります。法律についての記述は、総務省・消費者庁・個人情報保護委員会の資料と法令を 2026 年 9 月 30 日に確かめたものです。個別の判断が要る場面は、弁護士などの専門家にご相談ください。

営業リストに案内を送る前の確認表
  • メールで送る相手ごとに、同意・名刺・取引関係・アドレスの公表のどれにあたるかを分けた
  • 公表されたアドレスの近くに「広告メールお断り」などの表示がないかを見た
  • メールに、送り手の名前・住所・問い合わせ先と、受け取りを断るための連絡先を書いた
  • 断る連絡が来た相手を、次の送信から外す仕組みがある
  • 同意をもらったときの時期と方法を、その相手に最後に送った日から 1 か月以上残す
  • サイトなどから集めた連絡先の利用目的を、プライバシーポリシーで公表している
  • 名簿を買う場合は、相手が連絡先を集めた経緯を確かめて記録した
  • AI に連絡先を入れる前に、入れた内容が学習に使われないサービスかを確かめた
  • 問い合わせフォームの近くに、営業お断りの表示がないかを見た
  • AI が作った文面の社名・事業の説明・数字を、人が確かめた

総務省・消費者庁・個人情報保護委員会の資料と法令(2026 年 9 月 30 日に確認)から当社がまとめたもの。

連絡先を集めて一覧にするなら個人情報保護法、メールで送るなら特定電子メール法がかかります

場面 主にかかる決まり
連絡先を集めて一覧にする 個人情報保護法
メールで案内を送る 特定電子メール法(個人に通信販売の広告を送るなら特定商取引法も)
問い合わせフォームから案内を送る 特定電子メール法にあたるかは、当社は確かめられていない

広告・宣伝のメールは、同意した相手にだけ送り、送り手を表示し、断った相手には送りません

特定電子メール法は、営利の団体や営業を営む個人が、広告や宣伝のために送るメールに決まりを設けた法律です。総務省と消費者庁のガイドラインは、宣伝のページへ誘導することが目的に含まれるメールも、この法律の広告・宣伝のメール(特定電子メール)にあたるとしています。反対に、宣伝の内容がなく、宣伝のページへの誘導もしない、ただの時候の挨拶はあたらないとしています。名刺交換のお礼でも、サービスのページへのリンクを入れるなら、広告・宣伝のメールとして扱うのが安全です。

決まりの中身は、大きく 4 つです。

  1. 同意した相手にだけ送る(オプトイン)。 例外は、名刺などの書面でアドレスを知らせてくれた相手、取引関係にある相手、インターネットでアドレスを公表している団体や営業を営む個人です。ただし、公表したアドレスの近くに「広告メールお断り」のような表示があれば、例外にはなりません
  2. 送り手を表示する。 メールの中に、送り手の名前、受け取りを断れることとその連絡先(メールアドレスか URL)、送り手の住所、苦情や問い合わせを受け付ける電話番号・メールアドレス・URL のどれかを書きます。送る作業を外に頼む場合は、送る側と頼んだ側のうち、送ることに責任を持つ方の名前を書きます
  3. 断った相手には送らない。 同意をもらった相手でも、受け取りを断る連絡が来たら、そのあとは送れません
  4. 同意の記録を残す。 同意をもらったときの状況(時期と方法など)を、その相手に最後に送った日から 1 か月は残します

送り手の情報を偽って送ると、それだけで 1 年以下の拘禁刑または 100 万円以下の罰金の対象になります。同意のない相手への送信や表示の不足は、総務大臣と内閣総理大臣の命令の対象で、命令に従わなければ同じ刑の対象です。どちらも、法人には 3,000 万円以下の罰金が科されることがあります(法第 7 条・第 34 条・第 37 条)。

名刺でアドレスを受け取った相手には、同意がなくても広告・宣伝のメールを送れます

名刺をもらった相手には、特定電子メール法の例外として、同意がなくても広告や宣伝のメールを送れます。ガイドラインは、名刺などの書面でアドレスを渡した側にも、メールが届くことへの一定の予測ができるため、と説明しています。

個人情報保護法の側では、個人情報保護委員会のよくある質問(Q4-16)が、この場面を取り上げています。会社の従業員であることを明らかにして名刺を交換した場合、その会社が名刺の連絡先に自社の広告や宣伝のメールを送ることは、「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」にあたるという答えです。同じ答えの中で、特定電子メール法の受信拒否への対応など、ほかの法律も守る必要があると書かれています。

名刺の例外があっても、送り手の表示と、断った相手に送らないことは変わりません。名刺交換の翌営業日にお礼を送る流れは、営業外注化のモデルケースに、想定として書いています。

AI にサイトから連絡先を集めさせて一覧にすると、個人情報の取得にあたることがあります

AI に各社のサイトを読ませて、会社名・担当者名・メールアドレスを一覧にする場合は、個人情報保護法の「取得」にあたるかを先に確かめます。個人情報保護委員会のよくある質問(Q4-4)は、インターネットで公開されている個人情報を画面で見るだけなら取得にあたらない一方、書き写して検索できる形にしたり、ダウンロードしてデータベースにしたりすると、取得にあたりうるとしています。

個人情報保護法で、取得にかかわる主な決まりは次のとおりです。

  • 偽りやそのほかの不正な手段で取得してはいけません(第 20 条第 1 項)
  • 取得したら、利用目的をあらかじめ公表している場合を除き、すぐに本人に知らせるか公表します(第 21 条第 1 項)。自社のプライバシーポリシーの利用目的に、営業の案内が入っているかを確かめます
  • 名簿を業者から買うこと自体は禁止されていません。ただし、相手が個人データを取得した経緯などを確かめて、記録する必要があります(第 30 条)。名簿業者が個人情報保護委員会に届け出ているかを、委員会のサイトで確かめる必要があることも、よくある質問(Q4-2)に書かれています

AI に名簿を読ませるときにも注意があります。個人情報保護委員会は 2023 年 6 月 2 日の注意喚起で、生成 AI のサービスに個人情報を入れるときは、利用目的の範囲内かを十分に確かめるよう求めました。また、本人の同意なく個人データを入れ、それが応答を出す以外の目的で扱われると法律に違反するおそれがあるとして、入れたデータを機械学習に使わないサービスかを十分に確かめることも求めています。

個人情報保護法は、改正法が 2026 年 7 月 17 日に公布され、これから政令や規則、ガイドラインが整えられる段階です。リストを使い始める前に、個人情報保護委員会の案内で最新の決まりを確かめる必要があります。

フォーム営業が特定電子メール法の対象になるかは公式の説明が見つからないため、送る前に営業お断りの表示などを確かめます

相手の会社の問い合わせフォームから案内を送るフォーム営業は、当社の営業外注化にも含まれています(月 100 社まで)。AI に対象の会社を選ばせ、会社ごとに営業の文面を作らせる仕組みは、2026 年 9 月の時点でデモの段階で、実際に送った結果の記録はありません。

フォームから送る案内が、特定電子メール法の「電子メール」にあたるかどうかを、当社は公式の資料の中で確かめられていません。法律の「電子メール」は、省令で、全部または一部にメールを送り届ける方式(SMTP)を使うものと、スマートフォンなど持ち歩く端末に電話番号で送るメッセージ(SMS など)と決められています。この定義とフォームの仕組みとの関係を示した公式の説明は、見つけられませんでした。確かめられないことは、送ってよい理由にしないほうが安全です。

そのうえで、送る前に確かめたいことがあります。

  • フォームの近くに「営業のご連絡はお断り」などの表示がないか
  • 文面に、送り手の会社名・住所・連絡先と、今後の案内を断る方法を書いたか
  • 断る連絡が来た会社を、次から外す仕組みがあるか
  • AI が作った文面で、相手の社名や事業の説明が正しいか。AI は、もっともらしい間違い(ハルシネーション)を書くことがあります。メールの下書きで人が見る点は、営業メールの下書きを AI に頼むときにまとめています

当社の営業外注化では、業種と地域を絞って送り先を選び、送り先の一覧は送る前にお客様が確かめられる形にしています。自社で送るか当社に頼むかの比べ方は、AI 営業を自社でやる場合と外に頼む場合に要るものと、費用の比べ方に書きました。

当社のサイトでは、同意して連絡先を残した方にだけメールマガジンを送り、どの回にも配信停止のリンクを付けています

  • メールマガジンとステップメールを送るのは、このサイトのフォームでプライバシーポリシーに同意して連絡先を残した方だけです。管理画面で手入力した方には送りません
  • メールマガジンとステップメールには、どの回にも配信停止のリンクを付けます
  • 配信を止めた方と「営業お断り」にした方は送信停止の一覧に入れ、送る直前に一覧と照らして外します
  • 配信を止めたあとも、お申込みやお問い合わせへの回答など、手続きに必要なメールはお送りします(プライバシーポリシーの「メールの配信停止」の章)

よくあるご質問

名刺交換した相手に、営業のメールを送ってもよいですか?
特定電子メール法では、名刺などの書面でアドレスを知らせてくれた相手は、同意がなくても送れる例外にあたります。個人情報保護委員会のよくある質問(Q4-16)も、従業員であることを明らかにして名刺を交換した場合、自社の広告や宣伝のメールを送ることは、取得の状況から利用目的が明らかな場合にあたるとしています。どちらの場合も、送り手の表示と、断った方に送らないことは必要です。
会社のサイトに載っているメールアドレスに、案内を送ってもよいですか?
インターネットでアドレスを公表している団体や、営業を営む個人は、特定電子メール法で、同意がなくても送れる例外にあたります。ただし、アドレスの近くに「広告メールお断り」のような表示があれば、例外になりません。送り手の表示と、断った相手に送らないことも必要です。
フォーム営業は違法ですか?
当社は、問い合わせフォームからの送信が特定電子メール法の「電子メール」にあたるかを、公式の資料で確かめられていません。そのため、違法かどうかを言い切ることはしません。送る前に、フォームの近くに営業お断りの表示がないかを確かめ、文面に送り手の連絡先と断る方法を書くことをおすすめします。
配信停止は、どんな方法で受け付ければよいですか?
総務省の資料では、メールに書いたアドレスへの返信で受け付ける方法と、メールに書いた URL の先のページで受け付ける方法が例に挙がっています。URL にする場合は、リンク先で断るための情報を分かりやすく示し、簡単に手続きできるようにします。当社のサイトでは、メールの末尾の配信停止のリンクと、お問い合わせフォームの両方で受け付けています。
名簿を AI に読ませてもよいですか?
個人情報保護委員会は、生成 AI のサービスに個人情報を入れるときは利用目的の範囲内かを確かめ、入れたデータを機械学習に使わないサービスかを十分に確かめるよう、注意を呼びかけています。会社として、使ってよい AI のサービスと、入れてよい情報を決めてから使うのが安全です。

関連事例

出典・参考にした資料

  1. 総務省「迷惑メール対策」(広告・宣伝メールを送られる方へ)
  2. 総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」
  3. 総務省・消費者庁「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」
  4. e-Gov 法令検索「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」
  5. e-Gov 法令検索「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律第二条第一号の通信方式を定める省令」
  6. e-Gov 法令検索「個人情報の保護に関する法律」
  7. 個人情報保護委員会「よくある質問」Q4-2・Q4-4・Q4-16
  8. 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」
  9. 個人情報保護委員会「令和8年 改正個人情報保護法について」

この記事を書いた人

小野 隆士ドットシンク株式会社 代表取締役

システム開発会社の会社員、Web 制作の個人事業主、不動産営業、Web 制作会社の役員を経て、CRM 事業を軸にドットシンク株式会社を起業。自社の営業と事務の仕事に AI を使い、そのやり方を AI研修と AI伴走支援でお客様の会社に持ち込んでいます。デジタル庁 デジタル推進委員(2024 年 7 月任命)。

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