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コラム

決める方も予算も伺えていなかった初回の相談と、用意した 19 の質問

この記事の要点

初回の聞き取りが足りているかを 13 の項目で数えると、ある相談では、点が入ったのは 2 つだけでした。困りごとと、今使っている道具です。当社は正式な提案書を書くのを止め、分かっている範囲の概要と、次の打ち合わせで伺う 19 の質問を用意しました。点数は社内の記録にとどめ、お客様には出しません。

初回の聞き取りが足りているかは、13 の項目で数えると分かります。決める方、困りごとの深さ、予算と期日、ほかの選択肢、進めやすさです。2026 年 6 月 11 日の相談では、点が入ったのは困りごとと今の道具の 2 つだけでした。決める方も、予算も、期日も伺えていません。当社は正式な提案書を書くのを止め、分かっている範囲の概要と、次の打ち合わせで伺う 19 の質問を用意しました。

商談で話を聞く場面のイラスト

初回に伺えたのは、困りごとと今の道具の 2 つでした

ご相談は、内装の建材を扱う会社様からでした。伺った内容は、お客様の言葉のまま記録しています。今の顧客管理のソフトをやめて、営業が使える顧客管理が欲しい。広告の状況も分かるようにしたい。サンプルの依頼や資料の請求の問い合わせを管理していて、メールマガジンも送っている。営業の動きが、顧客管理とつながっていない。

困りごとははっきりしていました。足りなかったのは、それを誰が、いつまでに、いくらで決めるのかです。

13 の項目のうち、点が入ったのは 2 つでした

当社は 2026 年 5 月から、提案書を書く前に、聞き取りが足りているかを 100 点満点で数えています。項目は、営業の世界で BANT(予算・決める方・必要性・時期)と呼ばれる 4 つに、ほかの選択肢と進めやすさを足したものです。配点は、決め方とお金と時期に重く置いています。

項目 配点 この相談の初回
決める方の役職とお名前 10 伺えていない
決める方がいちばん気にすること 10 伺えていない
社内の承認の道筋(稟議) 10 伺えていない
いちばん解決したい困りごと 5 伺えた
困りごとの深さ(年間でどれだけ損をしているか) 10 伺えていない
なぜ今やるのか 10 伺えていない
予算 10 伺えていない
期日 10 伺えていない
ほかの会社と比べているか 5 伺えていない
自社で作れるか 5 伺えていない
今のままも含めた選択肢の見方 5 伺えていない
今のシステムと業務の制約 5 一部伺えた
社内で進める方(キーパーソン) 5 伺えていない

60 点に届かないときは、正式な提案書を書かない決まりです。決める方と予算が分からないまま書くと、誰に向けて、どの桁の金額で書くのかが定まりません。

正式な提案書の代わりに、概要と伺いたいことをお渡ししました

この日にお渡ししたのは、「顧客管理システムのご提案(概要)」です。最初の節には、これが初回のお打ち合わせに向けた概要であることを書きました。機能・日程・お見積もりを載せた正式なご提案は、詳しく伺ってからお届けします。

概要には、当社が理解しているお困りごと、目指す姿、5 つの機能の全体像を入れました。営業の方が毎日使える形にする工夫、今のソフトからの切り替え方、段階を分けた入れ方、補助金を使える可能性も書いています。最後の節が「お打ち合わせでお伺いしたいこと」です。

勧める道具も、この段階では決めていません。候補は、当社の経営ダッシュボードの営業の機能、ほかの会社の顧客管理の製品、新しく作る軽い顧客管理の 3 つです。どれにするかは、聞き取りのあとに決めます。

概要には、一度、社内の言葉が入りかけました。最初の下書きの冒頭に、聞き取りの点数と、社内向けの状態の書き込みと、社内のファイルの場所が載っていたのです。私はその場で、お客様に見せる文書だと言って止め、全部消させました。点数は、社内の記録にだけ残しています。

次の打ち合わせで伺う 19 の質問

足りない項目を、次の打ち合わせで伺う質問にしました。最初の 3 つと、困りごとの深さ・時期・予算は、どの相談でも伺う質問です。

決め方

  1. この相談の窓口はどなたで、どなたからつながったお話ですか
  2. 最終的にどなたが決められますか。過去の似た発注は、どう承認が回りましたか
  3. 決める方がいちばん気にされるのは何ですか(費用、効果、うまくいかなかったときの影響、営業が本当に使うか、これまでの付き合い)

困りごとと時期

  1. 今の顧客管理のソフトをやめたい理由は何ですか(費用、営業が入力しない、使いこなせない、日本語のサポート など)
  2. 今のソフトの年間の費用と、契約のプラン、更新の時期を教えてください
  3. 営業と顧客管理がつながっていないことで、実際に起きていることは何ですか。サンプルを送ったあとの連絡の漏れ、引き継ぎの漏れ、二重の対応などは、月に何件くらいですか
  4. なぜ今、動こうと思われたのですか。きっかけになった出来事はありますか

お金

  1. 予算の目安はどのくらいですか。過去の似た投資の金額の感覚でもかまいません
  2. いつまでに切り替えを終えたいですか。決算や、今のソフトの更新日、忙しい時期との関係はありますか

ほかの選択肢

  1. ほかに検討している候補はありますか
  2. 社内で作る、表計算に戻すといった案は出ていますか
  3. 今のソフトのまま続ける場合の費用を、どう見ていらっしゃいますか

今の業務と進めやすさ

  1. 営業は何名で、本社と営業所でどう分担していますか。案件は何の単位で管理していますか
  2. 問い合わせの件数は、1 日あたりの数ですか。サイトのフォーム、電話、通販のサイトのどこから届き、誰がどう対応して発送を管理していますか
  3. メールマガジンは何で送っていますか。宛先の名簿はどこから集め、どこに置いていますか
  4. 「広告の状況」とは、どの広告のことですか。月の予算と、運用しているのは社内か代理店か。誰がどの数字を見たいですか
  5. 今のソフトに入っている連絡先・会社・商談は、それぞれ何件くらいで、どこまで移したいですか
  6. 個人のお客様(通販)の管理も対象にしますか。会社どうしの営業の管理に絞りますか
  7. 社内でこの件をいちばん進めたい方は、どなたですか

12 番を入れているのは、今のまま続けることも、比べられる選択肢の 1 つだからです。道具を比べるときに「今のまま」を表に入れた例は、LINE の配信ツールと顧客管理を比べた記事に書きました。

質問は、答えをそのまま書き留められるシートにして持って行きます

同じ日に、システムの開発の相談で使うヒアリングシートのひな形も作りました。並びは、会社と組織から始まり、決め方、今の業務の流れと道具、困りごとと要望、データ、使う人と権限へと進みます。そのあとは、ほかのシステムとのつなぎ、安全と運用の要件、社内の IT の環境です。最後に、予算と日程、過去の経験、使いやすさの確かめ、次にすることを置いています。

使い方の決まりは 4 つです。

ヒアリングシートの使い方
  • 打ち合わせの前に、分かっている情報を先に埋め、分からない欄は空けたまま持って行く
  • 答えは、言われた言葉のまま書く。数字・お名前・期日は特に、要約や推測で書き換えない
  • その場で伺えなかった項目は「未確認」と書き、次にすることの欄に移す
  • 打ち合わせのあとで点を数え直し、60 点に届いたら提案の設計に進む

相手の会社について公開されている情報を先に埋める手順は、商談の前の下調べの記事に書いています。

使いやすさの確かめの欄には、当社が作るシステムで大事にしていることを伺う質問を 4 つ置きました。

  • マニュアルを読まずに使えることは、どのくらい大事ですか
  • 日々入力するのは誰で、1 件あたり何秒なら入力してもらえそうですか
  • 入力欄に書く形と、質問に答えていくチャットの形の、どちらが現場に合いそうですか
  • 自由に書くより、選ぶ形の方がよいですか

点数は社内のためのもので、お客様には見せません

13 の項目の点数は、提案を書いてよいかを決める社内の物差しです。お客様に「あなたの会社は 100 点のうち何点です」とお見せするものではありません。点数や社内の状態の書き込みは、社内の営業の記録に分けて置き、お客様に渡す文書には入れない決まりにしています。

聞き取りのあとに、問い合わせやメールの反応を 1 人ずつまとめる仕組みが要る、という話になることもあります。当社では、そうした仕組みをお客様のサイトに作るAI顧客管理マーケティングシステム構築も用意しています。

よくあるご質問

初回の打ち合わせで、予算を伺ってもよいのでしょうか?
当社は伺います。予算そのものを答えにくいときは、過去に同じような投資をしたときの金額の感覚を伺います。予算が分からないと、どの桁の金額で提案を組むかが決まらないからです。
決める方が打ち合わせにいらっしゃらないときは、どうしますか?
「最終的にどなたが決められますか」「過去の似た発注は、どう承認が回りましたか」を伺います。決める方がいちばん気にすることも、窓口の方から伺っておきます。
点数が足りないと、提案はもらえないのですか?
正式な提案書の前に、分かっている範囲で概要をお出しすることがあります。この記事の相談でも、概要の最後に、次の打ち合わせで伺いたいことを載せてお渡ししました。
なぜ「今のままでよい」という選択肢まで聞くのですか?
何もしないことも、比べられる選択肢の 1 つだからです。今のままの費用と困りごとが分かると、新しく入れる意味があるかどうかを、お客様と同じ物差しで話せます。

この記事を書いた人

小野 隆士ドットシンク株式会社 代表取締役

システム開発会社の会社員、Web 制作の個人事業主、不動産営業、Web 制作会社の役員を経て、CRM 事業を軸にドットシンク株式会社を起業。自社の営業と事務の仕事に AI を使い、そのやり方を AI研修と AI伴走支援でお客様の会社に持ち込んでいます。デジタル庁 デジタル推進委員(2024 年 7 月任命)。

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