商談の記録は、どの道具で作るかを選ぶ前に、どこに置いて、次に誰が読むかを決めておくと役に立ちます。当社は打ち合わせを録音し、自動の文字起こしを AI(Claude)に渡して議事録にしています。できた議事録はお客様ごとのフォルダに置き、次のお礼メールや提案書の下書きを作るときに、AI にその記録を読ませます。
議事録・メールの経緯・提案書は、お客様ごとのフォルダにまとめて置いています
| 記録 | 置く場所 | 次に使う場面 |
|---|---|---|
| お客様との打ち合わせの議事録 | お客様ごとのフォルダの「経緯の記録」 | お礼メール・提案書の下書き |
| メールのやり取りの経緯 | 同じフォルダに、日付と要点の表で | 返信漏れの確認、次の連絡 |
| 提案書と、書く前に作る設計の表 | お客様ごとのフォルダの「営業」の場所 | 次の提案、似た案件の提案 |
| 送らなかった提案書 | 同じフォルダの中の古い版の置き場所 | 何を変えたかの振り返り |
| 社内の打ち合わせの議事録 | 社内の議事録の置き場所に、通し番号を付けて | 商品や進め方の見直し |
お客様のフォルダの中では、決まった内容(いまの正しい版)と、日々の経緯の記録を分けて置いています。どちらも、変更の履歴が残る 1 つの保管場所(Git)にまとめてあり、いつ誰が何を直したかが残ります。AI も同じ場所を読みます。
置き場所が決まっていれば、打ち合わせの直後から次の作業に移れます。2026 年 9 月のオンラインの打ち合わせでは、録画の文字起こしから AI がまとめた「打ち合わせで確認できたこと」を私が読んで直し、その日のうちにお礼メールを送りました。その日の流れは お礼メールの記事 に時刻つきで書いています。
録音を文字起こしし、AI が議事録の下書きを作り、要確認の欄を私が確かめます
- 録音する打ち合わせを録音し、自動で文字起こしする
- AI が下書きする私が文字起こしを AI に渡し、決まったこと・伺ったこと・伝えたこと・宿題に分けさせる
- 誤変換を直す社名や道具の名前の誤変換を、前後の話とこれまでの記録から直す
- 要確認に集める補った金額や、推定した話し手、聞き取れない名前を「要確認」の欄に並べる
- 置いて、人が確かめるお客様のフォルダに置き、要確認の欄を私が確かめる
お客様との打ち合わせの議事録は、次の欄で作らせています。2026 年 9 月に来訪いただいた打ち合わせの議事録の例です。
- 決まったこと(1 行ずつ、確度つき)
- 伺ったこと
- 当社から伝えたこと
- 宿題(当社とお客様に分けて)
- 提案書や資料との差
- 要確認(補った数字・推定した話し手・聞き取れない名前)
体調や誕生日のお祝いなど、業務に関係のない話は書かない
打ち合わせの録音には、体調の話や、社内の誕生日のお祝いの話も入ります。当社の議事録では、そうした業務に関係のない話は書いていません。社内の打ち合わせの議事録は欄の作りが少し違いますが、要確認の欄はどちらにもあります。
誤変換や単位の崩れた金額は、AI が補った箇所をすべて「要確認」の欄に集めます
自動の文字起こしは、話している人を区別しません。誤変換も多く出ます。当社の議事録で実際にあったのは、次のようなものです。
- お客様の社名が、読みが同じ別の漢字で書き起こされていた
- 道具の名前が崩れていた。Zoho が「造報」、Claude が「黒戸」、GitHub が「ギットー」になっていた
- 社内で共有している Claude Code の作業フォルダの名前が、「クルークロード」と書き起こされていた
- 金額の単位が、「二十」「5000円」のように、桁も単位も分からない形で出ていた
- 打ち合わせで出た制度の数字(最低賃金や助成金の率など)が、その場の発言のままで、確かめられていなかった
社名や道具の名前は、前後の話とこれまでの記録から AI に直させます。難しいのは金額です。単位の崩れた金額も、AI は前後の話から補って、それらしく書きます。補ったところと、元から聞き取れていたところの区別がつかなくなると、間違った金額が次の提案書に入ります。そこで、補った箇所はすべて「要確認」の欄に並べさせています。制度の数字には、打ち合わせでの発言でまだ確かめていないこと、提案書に使うなら公式の情報で確かめることを書かせます。
2026 年 9 月に、ある提案について社内で話し合った打ち合わせでは、文字起こしに出てきた金額が、割引のあとの金額なのか、別の金額の聞き違いなのか分かりませんでした。AI は提案書の金額をそのままにして、その金額を議事録の要確認に挙げました。確かめる先は私です。
決まったことには、1 行ずつ確度を付けます
文字起こしからは、相手がはっきり「はい」と言ったのか、話の流れでそうなったのかが読み取れないことがあります。そこで、来訪いただいた打ち合わせの議事録では、決まったことの 1 行ずつに確度を付けました。内容を少し伏せて書くと、次のような形です。
| 決まったこと | 確度 |
|---|---|
| 支援を翌月から始める | 高 |
| まず 3 か月やってみて、その後の進め方をあらためて相談する | 高(お客様からの提案に、私がその場で応じた) |
| 1 回目はオンラインで行う | 中(お客様の発言から推定) |
| 以後の連絡はチャットで行う(当社から提案) | 中(お客様のはっきりした了承が、文字起こしから読み取れない) |
確度が「中」の項目は、次のメールや打ち合わせで確かめます。同じ議事録の「提案書や資料との差」の欄には、提案書に書いた契約の期間と、打ち合わせで決まった期間が違っていたことを書き、提案書を直す必要があるものとして残しました。
次の提案の前に、議事録とメールの記録から 8 つの問いに答えます
記録が置き場所にそろっていると、次の提案の準備にそのまま使えます。当社は提案書を書く前に、議事録とメールの記録から、次の 8 つの問いに答えます。
- 誰が決めるか
- 何を基準に決めるか
- 現場から出そうな反対は何か
- お金を管理する方は何を心配するか
- ほかの選択肢は何か(他社に頼む・自分たちでやるなど)
- 何もしない場合に失うものは何か
- 当社を選んでいただく理由は何か
- 今決める理由は何か
あわせて、お客様が社内で回すための 300 字の要約も作ります。記録がそろっていれば、AI はこの 8 つの答えの下書きを作れます。記録から答えられない問いがあれば、それが次の打ち合わせで伺うことです。提案書の作り方は 提案書の下書きの手順 に続きを書きました。
打ち合わせを録音する前に、録音することをひと言お伝えしています
個人情報保護委員会の Q&A(Q1-10)は、お客様との電話の通話内容について、特定の個人を識別できる場合は個人情報にあたり、事業者は利用目的を通知または公表する義務を負うが、録音していることを伝える義務までは負わないと答えています。これは電話の通話についての回答です。
当社が 2026 年 5 月の研修のために作った教材では、商談を録音する前に「議事録のために録音させてください」とひと言伝えるように書きました。法律の義務とは別に、ひと言伝えることをすすめています。9 月のオンラインの打ち合わせでは、約束していた録画を、お礼のメールでお客様にもお送りしました。
文字起こしや議事録には、お客様のお名前や事情が入ります。どの AI サービスに、どこまでを読ませてよいかは、先に社内の決まりにしておきます。個人情報の扱いは、用語集の 個人情報保護法 にまとめています。
道具を比べる前に、置き場所・確かめる人・書かないこと・録音の伝え方・読ませてよい情報を決めます
どの道具を選ぶ場合でも、最初に次のことを決めておきます。
- 議事録を置く場所。お客様ごとに 1 か所
- 要確認の欄を、誰がいつまでに確かめるか
- 議事録に書かないこと(私的な話、パスワードなど)
- 録音することを、相手にどう伝えるか
- AI に読ませてよい情報
記録がたまってくると、社内の知識の置き場(ナレッジベース)にもなります。顧客管理のシステム(CRM)を使っている場合は、お客様の情報から議事録の置き場所をたどれるようにしておくと、担当が替わっても探せます。
面談の録音から議事録と次回の提案の下書きを作る設定は、研修・スクール運営の会社を想定したモデルケースで、AI伴走支援 で任せていく作業の 1 つに入れています。リフォーム会社様の AI研修 では、現地調査のメモをスマートフォンの音声で残し、AI に要点をまとめさせる題材をご提案しました。



