1 つの窓口から 2 社分の相談を受けたら、金額だけでなく「どの順に作るか」で案を分けます。全部を一度に作る案だけを出すと、予算や時期が合わないときに、話がそこで止まってしまうからです。
同じグループの 2 社から、会社のサイトを作り直したいというご相談をいただいたことがあります。1 社は、タオルや寝具、雑貨を企画して卸す繊維の商社です。もう 1 社は、カーペットやラグなどのインテリアの品を企画して輸入し、卸す会社です。2026 年 3 月 24 日の日付で、グループの窓口の会社様あてに、3 つの案を並べた提案書を作りました。
提案の前に、2 社の今のサイトを外から読みました
提案書を作る前に、2 社の今のサイトを、公開されているページの範囲で読みました。見たのは、ページの組み立て、問い合わせまでの道筋、検索に関わる設定です。2 社のサイトのあいだに、どんなつながりがあるかも見ています。
外から読める範囲で分かるのは、ここまでです。今の問い合わせの数や、どのページから人が来ているかは、アクセスの数字を見せていただくまで分かりません。この限界が、あとで書く効果の見込みの扱いにつながります。
3 つの案は、作る順番の違いで分けました
並べたのは、次の 3 つです。
一括の案(お勧め)
- 2 社を同じ時期にまとめて作る
- 調べ方・設計・見た目の決まりを共通にする
- 合計はいちばん低い
- 一度に払う額は大きい
1 社ずつの案
- 繊維の商社を先に作り、インテリアの会社をあとから作る
- あとの会社は、先に作った見た目の決まりを使う
- 合計は一括より少し高い
- 払う時期を分けられる
1 社だけ先の案
- インテリアの会社だけを、ページを絞って先に作る
- いちばん小さい額で始められる
- グループとしてのそろい方は後回し
2026 年 3 月 24 日の提案書から。金額は伏せています
3 つの案を、中身の大きさで上・中・下に分ける形もあります(松竹梅)。今回は、2 社のどちらも作り直す前提があったので、大きさではなく順番で分けています。順番に分けて進める形は、段階導入とも呼ばれます。決める方に 3 つの案を示すときの話の順番は、別の記事にあります。
一括の案が安くなるのは、2 社でそろえる部分があるからです
一括の案では、調べて設計する作業と、見た目を決める作業を、2 社で 1 本にまとめました。提案書には、2 社でそろえるものと、会社ごとに変えるものを分けて書いています。
2 社でそろえる
- 色と文字の決まり
- グループの会社どうしを行き来できる案内
- ページの下の部分の組み立てと表記
- アクセスの計測と検索の設定の管理
会社ごとに変える
- 繊維の商社: 企画の力と、扱うキャラクターの品の華やかさを前に出す
- インテリアの会社: 自社のブランドの品質と、素材や部屋の落ち着いた雰囲気を伝える
そろえる部分は、1 度作れば 2 社に使えます。1 社ずつの案でも、あとから作る会社は、先に作った見た目の決まりを使います。それでも、調べる・設計する・決める作業を 2 回に分ける分、合計は一括より少し上がります。
安い案ほど何かを後に回すので、それを案の下に 1 行で書きました
1 社ずつの案と、1 社だけ先の案の下には、選ぶと何が変わるかを 1 行で書きました。書いたのは、前者なら一括との合計の差と見た目のそろい方、後者ならグループとしてのそろい方が後回しになることです。
後に回すものが書かれていないと、選ぶ方は金額だけで決めることになります。
お勧めの案は、一括の案です。提案書では、お勧めの案を 1 つに決めて明記しました。3 つを同じ重さで並べると、選ぶ方は判断を先送りしやすくなります。
ただ、お勧めはあくまで当社の考えです。いちばん困っているのはどちらの会社か、いつまでに公開したいか、予算の目安はどのくらいか。この 3 つで、選ぶべき案は変わります。3 つとも、最初の聞き取りで伺う項目に入れました。
一括の案の日程は、2 社目を作る段階を一部重ねて組みました
一括の案の日程は、次のように組みました。
| 段階 | 期間の目安 | すること |
|---|---|---|
| 調べて設計する | 4 週間 | 聞き取り、検索の言葉の調査、ページの骨組み、見た目の案 |
| 見た目を決める | 4 週間 | 主なページの見た目と、グループで使う見た目の決まり |
| 1 社目を作る | 6 週間 | サイトを作り、今の記事を移し、今のページの住所(URL)から新しい住所へ転送する設定をする |
| 2 社目を作る | 4 週間 | サイトを作り、扱う品のページをそろえる |
| 確かめて公開する | 2 週間 | 表示を確かめ、計測の設定をして公開する |
足すと 5 か月ほどです。2 社目を作る段階は、1 社目と一部を重ねて進められるので、重ねれば 4 か月ほどに縮められる見込みです。
今の記事を移す作業と、古い住所から新しい住所へ転送する設定は、記事を多く持つ会社ほど手間がかかります。検索から今の記事に来ている人を、作り直したあとも迷わせないための作業です。最後の段階の計測の設定には、Google アナリティクス 4 と Search Console を入れる段取りにしました。
作ったあとの月々の費用は、作る費用と別の行に書きました
一括の案には、作る費用とは別に、公開したあとの月々の費用の行を置きました。中身は、保守と更新の手伝い、アクセスの数字の報告、記事の更新の手伝いです。
作る費用と月々の費用を 1 つの合計にまとめると、何年か使ったときの総額が見えにくくなります。月々の費用(ランニングコスト)は、使う年数を決めてから足し合わせて比べるものなので、別の行にしておく方が比べやすくなります。
効果の見込みは、基準値を決めてから比べる前提にしました
提案書には、作り直したあとの効果の見込みも書きました。半年後と 1 年後に、問い合わせや検索から来る人がどれだけ増えるかを、割合で見込む表です。
ただ、その時点の当社には、今の問い合わせの数も、どのページから人が来ているかも分かっていませんでした。表の「今」の欄は、推定の値か「基準値」としか書けていません。基準になる数字が無いまま割合だけを書いても、あとで確かめようがありません。
そこで、次の手順の 2 つ目に、アクセスの数字を見せていただいて基準値(ベースライン)を決めることを書きました。
- 聞き取り今のサイトの運用、作り直す目的と順番、予算の目安を伺う
- 数字を見るアクセスの数字を見せていただき、作り直す前の基準値を決める
- 素材を数える今ある品の写真やカタログを棚卸しする
- 案を決める3 つの案から選び、日程を決める
3 つ目の素材の棚卸しは、作る費用にそのまま響きます。品の写真やカタログのデータがそろっていれば、撮り直しや作り直しの費用を見込まずに済みます。足りなければ、その分を別の行で見積もります。
案を分けておくと、予算が合わないときも話が止まりません
提案書の有効期限は、2026 年 5 月 31 日までとしました。提案書の日付から 2 か月あまり先です。
案を 3 つに分けておくと、話が止まりにくくなります。一括では予算が合わなくても、1 社ずつなら今年度に始められる、ということがあるからです。どの順に作るかを選べる形にしておけば、「全部か、何もしないか」の 2 択になりません。
サイトに来た方の記録と問い合わせを集め、作り直したあとの効果を数字で追う仕組みは、当社のAI顧客管理マーケティングシステム構築として用意しています。



