契約の前に動く試作(プロトタイプ)を見せるなら、画面より先に、デモのデータを直します。見せたい状態がデータで 1 つずつ出ていること、日付が相手の会社の今月に合っていることの 2 つです。画面がいくら正しく動いても、データが過去の日付のままだと、相手の方は自分の会社の今月を思い浮かべられません。
2026 年 5 月に、2 社にお見せする試作を作りました。プレス加工の会社様と、リフォームの会社様です。1 社目では最初から状態が出るデータを用意し、2 社目では見せる前にデータが動いていないことに気づいて作り直しました。
お客様が書いた仕様書を受け、本番の前に動く試作を作りました
プレス加工の会社様では、社内の方が、金型の管理のアプリの仕様書を書かれていました。5 月 14 日の版です。仕様書の終わりには、現場の聞き取りと試しの運用を経て、表の作りや自動の処理を調整してほしい、と書かれていました。
本番は、この会社様が使っている業務のアプリの上に作る予定でした。そこにいきなり作ると、データを入れたあとで項目の型を変えたときに、データが消えるおそれがあります。自動の処理を試せる場所も、本番しかありません。そこで、同じ動きをする Web のアプリを AI(Claude Code)に作らせました。社長と現場の方には、タブレットのブラウザで触っていただきます。5 月 17 日に、その説明の資料をお出ししています。
仕様書には 4 つの段階がありました。試作で動かしたのは、台帳の整備、現場での記録、手入れと寿命の管理の 3 つの段階までです。4 つ目の経営での使い方は作っておらず、説明の資料にも「未実装」と書きました。
見せたい状態は、デモのデータで 1 つずつ出しておきました
試作には、デモデータとして、お客様・部品・金型をそれぞれ 12 件ずつ入れました。そのうえで、見せたい状態が画面に出るように、データを置いています。
- 寿命の達成率が 98.3% の金型(赤の警報)
- 寿命の達成率が 85% の金型(黄色の警報)
- 部品の構成が 4 つ登録された金型
- 在庫が 3 個で、安全な在庫の 8 個を下回った部品(発注が要るという表示)
2026 年 5 月 17 日にお出しした試作の説明の資料から
警報の画面は、警報に当たるデータが 1 件も無ければ、何も出ない画面になります。それでは、警報が出たときに現場でどう見えるかを、相手の方が判断できません。画面ごとに、何を見ていただきたいかを先に決め、それが出るデータを 1 件ずつ置きました。
2 週間後の別の試作では、デモのデータが動いていませんでした
5 月 30 日は、リフォームの会社様に見せる試作の仕上げの日でした。この会社様が使っていたお客様と工事の台帳を、Web のアプリとして作り直した試作です。
仕上げの前に確かめると、自動のテストは 76 件のうち 75 件が通り、どの画面も開けました。作りの土台に問題はありませんでした。問題はデータの方にありました。お客様の記録の日付はすべて過去で、メールも写真も入っていません。今月の完了の件数も、手入れの時期が来たお客様も 0 件でした。今月の様子を 1 画面にまとめる画面(ダッシュボード)は、ほとんど空のままでした。
デモのデータを、次のように作り直しました。
| 項目 | 作り直す前 | 作り直した後 |
|---|---|---|
| 現場の写真 | 0 枚 | 60 枚 |
| メールのやり取りの履歴 | 1 件 | 17 件 |
| 今月に完了した工事 | 0 件 | 6 件 |
| 手入れの時期が来たお客様 | 0 件 | 23 件 |
| ご依頼が 1 件だけのお客様 | 0 件 | 20 件 |
日付は、今月に完了した工事が出るように寄せ、手入れの時期は、これから 0〜15 か月の間に散らしました。上位のお客様には、手入れの案内が必ず何件か出ます。全員にメールアドレスを入れ、郵便の案内(DM)を送ってよいお客様と送らないお客様を混ぜました。画面では、その区別も分かります。
最後の行のお客様は、データを増やしただけではありません。この会社様の社長は、打ち合わせで、ご依頼の件数でお客様を区別して話されていました。お客様のランクを件数で決めるように作りを直し、1 件だけのお客様がランクの一番下に並ぶようにしています。工事の進み具合の段階も、受付・現地調査・施工の約束・着工・完工・アフターと、社長が使っていた言葉に合わせました。
作り直したあと、自動のテストは 94 件すべてが通りました。
見せるのは、相手の会社の今月です
この試作の仕上げの目的は、社長が画面を見て、経営に使えるかどうかを判断できる状態にすることでした。その判断は、自分の会社の今月の数字が、自分の言葉で並んでいるかどうかで決まります。過去の日付のデータでは、画面が正しく動いていても、判断の材料になりません。
2 つの試作のデータは、どちらも作った架空のものです。写真も作った画像で、実際のお客様の名前や連絡先は入れていません。
作りの確かめ
- 自動のテストが通るか
- どの画面も開けるか
- 入力したものが保存されるか
見せる前の確かめ
- 今月の数字が 0 になっていないか
- 警報や期限など、見せたい状態が 1 件ずつ出ているか
- 相手の会社の言葉で段階や区分が並んでいるか
- 写真や履歴が空の画面がないか
試作でどう動かしたかと、本番でどう作るかは、表にして渡します
試作は、契約の前に判断していただくための材料で、本番そのものではありません。プレス加工の会社様の説明の資料では、自動の処理を 1 つの表にまとめました。試作でどう動かしたかと、本番の業務のアプリでどう作るかを並べています。寿命の警報は、試作では一覧と詳細の画面に印を出し、本番ではアプリの自動の処理と通知で出す、という書き方です。
リフォームの会社様の試作にも、まだ入れていないものがありました。本番で要るログインの仕組み、前の台帳からの過去のデータの移し替え、実際のメールの送受信のつなぎです。どれも、お客様のご判断と本番の作りに進んでから取りかかる項目として、記録に残しています。
試作は AI に作らせ、見せる前の確かめは人がします
2 つの試作は、どちらも AI に作らせました。契約の前に、触って確かめられるものをお見せできるのは、試作を AI に作らせているからです。そのぶん当社の時間は、データと画面を相手の目で見直すことに使います。
金型の管理のアプリを、提案と見積もりの一式にどう加えたかは、打ち合わせ 1 回から 10 件の提案を拾った記録に書きました。現場の方が入力し、数字を 1 画面で見る形は、当社の経営ダッシュボードでも同じ考え方で作っています。



