小さな会社の顧客管理は、お客様・案件・見積もりの 3 段のつながりから作ると、紙の台帳から移りやすくなります。最初から分析の画面や営業の進み具合の画面を並べると、使う方には多すぎます。
2026 年 4 月 8 日に、この 3 段にたどり着くまで、画面の見本を 1 日に 4 案作りました。この記事では、案ごとに何が分かり、何を変えたかを書きます。
相談は、リフォームのお客様の情報が紙にしかないことでした
ご相談をいただいたのは、ガラスやサッシの卸と工事、住宅のリフォームを営む会社様です。従業員は 20 名ほどです。
お話から分かったのは、次のことでした。
- 工事の台帳は、すでにある
- お客様の情報は、紙にしかない
- 対象はリフォームの事業だけで、卸の事業は外す
- お客様と案件のつながりと、見積もりの管理を、簡単にしたい
当社は最初に、会社様のサイトを調べ、事業ごとに要りそうな機能を書き出しました。卸の案件の流れ、工事とリフォームの流れ、補助金を使う案件の流れ、施工の予定、売上の分析などです。どれも、公開の情報から推した「想定」でした。
1 日に 4 案を作り、案ごとに作りを変えました
画面の見本(モックアップ)は、AI(Claude Code)に作らせました。1 つ作るのに長い時間はかかりません。だから、言葉で「この機能は要りますか」と確かめるより、画面を見ながら決める方が早く進みました。
- 1 案目(朝)全事業を入れた 7 画面の顧客管理 → 多すぎる
- 2 案目(昼過ぎ)お客様の一覧だけのカード型 → 少なすぎる
- 3 案目顧客管理・分析・営業・見積もりの 4 つ → 分析と営業は要らない
- 4 案目お客様 → 案件 → 見積もりの 3 段 → これが核心
2 案目から 4 案目までは、昼過ぎの 1 時間足らずで作りました
1 案目は、当社の想定をそのまま画面にした案です。卸の取引先も、リフォームのお客様も、補助金も入っていました。多すぎたのは当然で、使う方の困りごとより、こちらの想定が先に立っていました。
2 案目は、反対に、お客様の一覧だけにしました。紙から移すことだけを考えた形です。今度は少なすぎました。一覧を見ても、そのお客様にどんな工事をして、どんな見積もりを出したかが分からないからです。
3 案目は、リフォームに絞って、お客様の管理、分析、営業、見積もりの 4 つの画面にしました。ここで、分析と営業の進み具合の画面は要らないと分かりました。欲しいのは、数字を眺める画面ではなく、お客様ごとの記録だったのです。
4 案目で、お客様から案件、案件から見積もりへとたどる 3 段の作りにしました。
最後に残ったのは、お客様・案件・見積もりの 3 段のつながりです
最初の案(7 画面)
- 卸の取引先とリフォームのお客様を 1 つに
- 案件の流れを 3 種類(卸・工事・補助金)
- 施工の予定と、売上の分析
- 見積もりの管理
最後の案(3 段)
- お客様(リフォームのお客様だけ)
- 案件(1 人のお客様に、いくつもの工事)
- 見積もり(1 つの案件に、いくつもの版)
- 紙の台帳をめくる感覚でたどる
3 段のつながりは、次のとおりです。
| 段 | 1 件に持つ情報(最初の書き出しから) | つながり |
|---|---|---|
| お客様 | お名前、施工先の住所、電話、メール、建物の種類、築年数、どこで知ったか、当社の担当 | 1 人のお客様に、いくつもの案件 |
| 案件 | 工事の内容と、問い合わせから引き渡しまでのどの段階か | 1 つの案件に、いくつもの見積もり |
| 見積もり | 番号、宛先、金額(税別と税込)、明細、提出日、有効期限、状態、版の数 | 案件にぶら下がる |
リフォームのお客様は、何年かたって、別の工事で戻ってくることがあります。お客様ごとに過去の案件と見積もりが並んでいれば、前回いくらで何をしたかを、担当が替わっても見られます。お客様ごとの記録を 1 か所にまとめたものは、顧客カルテとも呼ばれます。
分析の画面や、商談の段階を並べる営業の画面(案件管理の進み具合)は、外しました。記録がたまったあとで、要ると分かれば足せます。
案件の段階は、問い合わせから引き渡しのあとまでを書き出していました
外した機能の中にも、あとで役に立つものがあります。最初の書き出しでは、リフォームの案件の段階を、問い合わせから順に並べていました。聞き取り、現地調査、見積もりの作成と提出、商談、契約と進みます。そのあとが、施工の準備、施工中、完了の検査、引き渡し、アフターフォローです。
3 段の作りに絞っても、案件に「どの段階か」を持たせておくと、あとで進み具合を見る画面を足せます。段階の数をここまで細かくするかは、使い始めてから決めればよいと考えています。紙の台帳に慣れた方には、最初から細かい段階を選ばせるより、少ない段階から始める方が入力が続きやすくなります。
見積もりにも「作成中・提出済・承認・失注・期限切れ」のような状態を持たせる案でした。見積もりを出したあとに連絡が途切れたお客様を拾うには、この状態と提出日があれば足ります。
想定の機能は、画面を見ていただくと消えていきます
最初の書き出しにあった機能の多くは、4 案目までに消えました。悪い想定だったわけではありません。会社全体を見れば、要りそうなものでした。ただ、今回の相談の困りごとは、紙にしかないお客様の情報を、工事と見積もりにつなぐことでした。
画面を見ながら「多すぎる」「少なすぎる」「要らない」を決めていくと、こちらの想定が 1 つずつ外れていきます。言葉だけの打ち合わせでは、どの機能も「あれば便利」に聞こえて、なかなか外れません。
要望が増えていく相談で、最初に作る範囲を決めた別の記録は、社会保険労務士の事務所様の記事にあります。顧客管理の仕組み(CRM)を入れて、担当者ごとに分かれていた記録をまとめた例は、不動産仲介の会社様の事例にあります。当社の今のサービスでは、経営ダッシュボードの営業の記録と、AI顧客管理マーケティングシステム構築の見込み客の記録が、近い仕組みです。



