作業の現場で別の困りごとを伺ったら、すぐに直し方を提案するのではなく、まず「調べる仕事」を提案します。困りごとの原因が分からないまま直し方を決めると、見積もりも、直したあとの結果も、当て推量になるからです。
2026 年 3 月 26 日、専門学校様に向けてこの形の提案書を作りました。きっかけは、学内の共有フォルダの機器(NAS)を置く作業でした。この記事では、作業の当日の報告から提案までの流れと、提案書に入れた 3 つの段を書きます。
共有フォルダの機器を置く作業の途中で、別の建物の不調を伺いました
頼まれていたのは、1 つの建物に共有フォルダの機器を置く作業です。前の年の暮れに現地を見て、機器を手配し、置く日を決めて進めていました。
作業の日程の流れは、次のとおりです。
- 前の年の暮れ現地を見て、共有フォルダの機器の置き方を調べる
- 2 月 13 日機器とネットワークの相性が悪く置けず、昼前に理由と次の日を報告する
- 3 月 12 日先生方の立ち会いでネットワークの構成を提案し、別の建物の不調を伺う
- 3 月 12 日の夜見立てと進め方を、学校の代表の方にメッセージで送る
- 3 月 26 日ほかの建物を調べる仕事の提案書と、代表の方へのメッセージを用意する
3 月 12 日の現地確認で、先生方から、ほかの建物のネットワークが不安定だと伺いました。配線の全体を知っている方はいませんでした。授業中にネットワークが止まったこともあるとのことでした。
決める方には、作業のたびに短く報告していました
この学校様で決めるのは、学校の代表の方です。代表の方とは、Facebook のメッセンジャーでやり取りしていました。
2 月 13 日は、朝 8 時半に「今日 9 時から作業します」と送り、昼前に結果を送りました。機器とネットワークの相性が悪く、その日は置けなかったこと、機器を替えて 2 月 25 日に置き直すことです。うまくいかなかった日の報告を後回しにすると、先生方から先に伝わります。そうなると、何が起きたのかを、こちらの言葉で正しく伝えられません。
- 今日、何をしたか(誰の立ち会いで)
- うまくいかなかったことと、その理由
- 次にすることと、その日付
- 現場で伺った、別の困りごと(あれば短く)
- 同じ内容を共有した先生方の名前
3 月 12 日の夜の報告には、伺った不調についての見立ても書きました。原因は、ネットワークの分け方そのものより、回線の接続のしかたや機器の設定にある見込みが高いこと。回線を増やしても、安定するとまでは言い切れず、構成が複雑になるおそれがあること。まずは今ある機器を生かして整え、そのうえで必要なら回線や機器、配線を見直すのが現実的なこと、です。
直す工事ではなく、調べる仕事から提案しました
3 月 26 日に作った提案書では、最初の段を「調べる仕事」にしました。どこに何がつながっているかが分からないまま直し方を提案しても、それは当て推量です。調べてみて、別の原因が見つかることもあります。
提案は、次の 3 つの段に分けました。
| 段 | すること | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 1. 現地の調査(現地調査) | 配線の経路を追ってラベルを付け、機器の設定、防御の機器とサーバーの役割、プリンターの置き場所、通信の速さを確かめる | 2〜3 日 |
| 2. 使い方のすり合わせ | 調査の報告をもとに、学生用と職員用を分けるか、共有フォルダとプリンターをどこから使えるようにするか、故障を自動で知らせるかを決める | 1〜2 週間 |
| 3. 構成の作り直し | 決めた方針で、機器の構成と設定を変える。そのあと 1 日で動作を確かめて引き渡す | 2〜3 日と 1 日 |
金額の欄には、調べる仕事と作り直しの作業の日数の目安だけを書きました。具体的な金額は、調査を終えてからお出しします。機器の費用も、調べたあとでないと決まりません。
課題の欄には、伺ったことをそのまま並べました。
- 配線を把握している方がいない
- 無線がつながりにくい
- 機器が故障していても分からない
- 授業が止まったことがある
- ある建物の光回線の機器(ONU)が故障している
効果の欄には、調べたあとに残るものを書きました
提案書の「期待される効果」には、次の 5 つを書きました。
- 授業が止まりにくくなる
- 故障に早く気づける
- 配線の図と機器の一覧と設定が、資料として残る
- 学生用と職員用を分け、機器を定期的に点検できる
- 要らない機器を外し、構成を簡単にできる
3 つ目の「資料として残ること」は、調べる仕事そのものの成果です。直す工事に進まなかったとしても、どこに何がつながっているかの図(ネットワーク構成図)は学校の手元に残ります。
故障を自動で知らせる仕組みは、参考として書きました。決めた機器に定期的に呼びかけ、返事が無ければメールで知らせる形です。入れるかどうかは、2 段目のすり合わせで決める項目にしています。
作ったあとの相談の行き先も、提案書に入れました
提案書の最後には、作り直したあとの支え方を 2 つ書きました。
1 つ目は、半年か 1 年ごとに現地を見て、報告書を出す保守契約です。報告には、機器の使用年数、動いている様子、安全の状態を書き、古くなった機器の入れ替えも提案します。
2 つ目は、ネットワークの故障以外の相談を受ける窓口です。パソコンが遅い、この機器を替えるべきか、こんなことはできるか、といった相談を、回数か時間に上限を決めて受けます。
最初に頼まれた仕事の周りで、別の仕事を提案することは、クロスセルと呼ばれます。ただ、この提案で私が先に置いたのは、売ることより、原因を調べることでした。決める方にとっては、どの工事が要るのかを知るための費用です。
代表の方へのメッセージは、作業のお礼から始め、伺った不調と、まず調べたいという考えを書きました。提案の概要を添え、学校の新しい取り組みの相談にも乗りたいと書いて、ご都合のよい日を伺う形にしています。
この学校様のネットワークを調べて直した記録は、事例のページに載せています。ネットワークを調べて図にし、直すところまでの仕事は、当社のネットワーク見える化です。



