営業の進み具合を一覧にするなら、画面より先に、商談の段階の名前と、段階を進めるときに入れる項目を決めます。段階の名前が人によって違う意味で使われていると、一覧の数字は合いません。
2026 年 5 月 26 日、9 か月ほど止まっていた相談が戻ってきました。機械設備のメーカー様の、営業と生産の管理の仕組みの相談です。この記事では、前の記録を読み返して最初に確かめた、段階の名前の話を書きます。
止まっていた相談は、前の記録を全部読み返すところから始めました
2025 年 6 月から 8 月にかけて、この会社様の生産の管理の委員会で、業務の流れと要望を伺いました。8 月に、画面の見本と提案書をお出しして、そこで止まっていました。
戻ってきた相談の前に、当社は前の資料を全部読み返しました。委員会の議事録 2 回分、業務の流れの図、部署の関係の図、システムへの要望、作業の指示書の試作、画面の見本、提案書です。AI に読ませて、関係する方、今の業務、課題、提案の中身、決まっていないことを、1 つの整理の資料にまとめました。
同じ会社様とは、名刺の管理の相談も別に進んでいます。今回は、名刺の管理とは別の件として記録を分けました。課題の一覧と機能の一覧も、この件のために新しく作っています。
お客様の段階の名前と、当社の見本の段階の名前がずれていました
読み返して最初に気づいたのは、段階の名前のずれです。
お客様の営業の段階
- 見積もりオーダー
- 見積もり提出済
- 高確率
- 内定
- 受注
当社の画面の見本の段階(確度の目安)
- 引き合い(1〜10%)
- 見積(50%)
- 提案(70%)
- クロージング(80%)
- 受注(100%)
- 失注(0%)・保留(50%)
どちらも 2025 年の打ち合わせの資料と画面の見本から
当社の見本は、顧客管理の仕組み(SFA)でよく使われる段階の名前でした。お客様の会社で使われていたのは、「高確率」「内定」のような、ご自分たちの言葉です。
画面に並ぶ段階の名前が、社内でふだん使う言葉と違うと、担当の方はどの段階を選べばよいか迷います。迷った分だけ、入力がばらつきます。再開するなら、段階の名前はお客様の言葉にそろえるのがよいと考えています。
課題は、段階を進めるときの決まりが無いことでした
議事録から拾った営業の課題は、次のとおりです。
| 課題 | 一覧にしたときに困ること |
|---|---|
| 「高確率」「内定」などの段階に進める基準が決まっていない | 担当ごとに、同じ段階でも中身が違う |
| 一定の金額より小さな案件は、担当に任されている | 会社全体の案件が見えない |
| 担当ごとに、自分の決まりで進めている | 引き継ぎのときに、何が済んでいるか分からない |
| 見積もりから受注までの間に、値引きなどの変更が入る | 見積もりの金額と受注の金額が合わない |
| 入金の予定日が見えない | 売上の見込みは見えても、入金の見込みが見えない |
どれも、画面を作るだけでは直りません。段階ごとに「次へ進める条件」と「進めるときに入れる項目」を決めて、初めて一覧が意味を持ちます。
段階を進めるときは、確度とメモを必ず入れる形にしました
当社の画面の見本では、段階を進めるボタンを押すと、入れる項目の窓が開くようにしていました。確度(受注確度)とメモを入れないと、次の段階に進めません。
- ボタンを押す案件の画面で、次の段階へのボタンを押す
- 項目を入れる確度とメモを入れる窓が開く。入れないと進めない
- 一覧に出る一覧とカード型の表示で、段階・完了の予定日・金額・担当が並ぶ
- 見込みを見る段階ごとの件数、担当ごとの残りの金額、月ごとの売上の見込みを見る
月ごとの売上の見込み(売上見込み)は、案件の金額に確度を掛けて出します。
確度を段階ごとに決めた値にしておくと、「内定」と言いながら確度は人それぞれ、ということが起きません。メモを必ず入れる形にしたのは、段階が進んだ理由があとで分かるようにするためです。段階ごとに案件を並べた一覧は、営業パイプラインとも呼ばれます。
小さな案件を一覧に入れるかは、入力の手間と見比べて決めます
課題の 1 つに、一定の金額より小さな案件は担当に任されていて、全体が見えない、というものがありました。小さな案件まで全部を一覧に入れれば、全体は見えます。そのかわり、担当の方の入力は増えます。
試しの運用の提案では、まず小さな案件で試す形にしていました。小さな案件ほど件数が多く、入力の手間がそのまま重さになって表れます。そこで入力が続くかを確かめてから、大きな案件にも広げる順番です。
試しの運用で最初に作るものには、案件の進み具合の一覧と、止まっている案件を拾う報告を入れていました。段階を進めない案件が分かれば、担当の方に声をかけるきっかけになります。
生産の段階は、営業の段階とは別の軸にしました
この会社様では、受注のあとにも長い段階があります。案件の入力、図面の作成、部品の手配、入荷、製作、工事の日の決定、工事の完了、請求、入金です。
営業の段階と生産の段階を 1 本の列に並べると、受注の前後で、見る人も入れる人も変わります。そこで、2 つの段階を別の軸として持つ形にしました(ステータス管理)。お客様・案件・見積もりの 3 段で案件を持つ考え方は、顧客管理の見本を 4 案作った記事に書いています。営業の方は営業の段階を、工務や管理の方は生産の段階を動かします。
段階の決め方は、試しの運用で直す前提にしました
提案では、最初の 2 か月を試しの運用にしていました。1 週目に、段階の名前と、段階ごとに必ず入れる項目を決めます。小さな案件で試し、月 2 回の打ち合わせで直し、8 週目に結果をまとめる流れです。
再開した相談でも、段階の名前と必ず入れる項目を決めるところから始めるのがよいと考えています。法人向けの営業で、担当が外から案件の状況を入れる場合の想定は、モデルケースに載せています。当社の今のサービスでは、経営ダッシュボードの営業の機能が、こうした一覧にあたります。



