工場の機械に付けたセンサーのデータを、サーバーで受け取る。そのためには、データを送る機器の側と、受け取るサーバーの側で、決めごとをそろえておく必要があります。2026 年 4 月 23 日、当社は、プレス加工の会社様の機器を作る会社に、その決めごとを仕様として文書で渡しました。
決めたのは 5 つです。送り先と認証、何件ずつまとめて送るか、届かなかったときに送り直してよいか。そして、時刻と空の値の扱いと、サーバーの返事ごとに機器が何をするかです。
2 月から 2 週間、機械 2 台の電気を 10 秒ごとに測ってみました
始まりは、2026 年 2 月の試しでした。大きなプレスの機械 2 台の制御盤の中に、電力を測るセンサーを付けました。データは 10 秒に 1 回、全部を記録しています。
このときのサーバーは、ノートパソコンでした。センサーのデータをノートパソコンのデータベースに入れ、API を通して取り出せるところまで確かめています。3 月 2 日に、ノートパソコンを引き上げました。
次は、ノートパソコンではなく、インターネットの上のサーバーで受け取る形にします。そのためには、機器の会社とのあいだで、送り方を決める文書が要りました。
送り先と認証は、HTTPS と、機器ごとに渡す鍵にしました
データは、決まったアドレスへ HTTPS で送ってもらいます。暗号化の方式は TLS 1.2 以上としました。暗号化しない送り方は、受け付けない決まりです。
送るときは、当社が出した鍵(トークン)を、送る中身とは別の欄に付けてもらいます。鍵が合わない送信は、サーバーが受け取りません。鍵は、合意した経路で機器の会社に渡し、記録や画面の写しに出さない決まりにしました。漏れた疑いがあれば、新しい鍵を出します。そのときは、古い鍵と新しい鍵の両方を受け付ける期間を 7 日以上とります。
もう 1 つ、鍵が要らない確認用のアドレスも用意しました。サーバーが動いているか、データベースにつながるかだけを返します。機器の会社が、送る前に「サーバーに届くか」を確かめるためのものです。
データは 10〜60 秒分をまとめて送り、同じデータが 2 回届いても 1 件として扱います
センサーは、1 秒に 1 件のデータを作れます。これを 1 件ずつ送ると、通信の手間とサーバーの負担が、件数分かかります。そこで、10〜60 秒分をまとめて 1 回で送る形を勧めました。1 回に送れるのは 5,000 件・10 MB までです。
| 決めたこと | 中身 |
|---|---|
| まとめる単位 | 10〜60 秒分を 1 回で送る(1 件ずつ送ることもできる) |
| 1 回の上限 | 5,000 件・10 MB まで。超えたら分けて送り直す |
| 重複の扱い | 同じ機器の同じ時刻のデータは、2 回届いても 1 件として扱う |
| ネットが切れたとき | 機器の側でためておき、つながってからまとめて送る |
| 時刻 | 時差の書いていない時刻は、日本の時刻として扱う |
| 値が取れなかったとき | 空の値(null)で送る。範囲を外れた値も空として保存する |
いちばん大事なのは、重複の扱いです。ネットが不安定だと、機器は「送ったが、届いたか分からない」状態になります。サーバーが同じデータを 1 件として扱う作りなら、機器は迷わず送り直せます。この性質を、冪等性 と呼びます。
時刻も、決めておかないと後で困ります。日本の時刻なのか、世界の標準の時刻なのかで、9 時間ずれるからです。
サーバーの返事ごとに、機器が送り直すか、止めるかを決めました
機器が送ったあとに、サーバーは結果を数字の返事(HTTP のステータスコード)で返します。返事ごとに、機器が何をすればよいかを、仕様の中で決めました。
| サーバーの返事 | 意味 | 機器がすること |
|---|---|---|
| 200 | 全部受け取った | 次のデータを送る |
| 207 | 一部だけ受け取った | 受け取れなかった行を記録に残す。その行は送り直さない |
| 400 | 中身の形がおかしい | 送る中身の作りを見直す。送り直さない |
| 401 | 鍵が合わない | 鍵を確かめる。送り直さない |
| 413 | 1 回の量が多すぎる | 5,000 件以下に分けて送り直す |
| 500 | サーバーの中の不具合 | 30 秒待ってから、同じ中身を送り直す |
| 503 | データベースにつながらない(確認用のアドレス) | 時間をおいて確かめ直す |
送り直してよい返事と、送り直しても無駄な返事を分けておくのが要です。鍵が合わない送信を何度送り直しても、受け取られることはありません。逆に、サーバーの一時的な不具合なら、待って送り直せば届きます。
- 測る機械の制御盤の中のセンサーが、1 秒ごとに電力を測る
- ためる機器の側で、10〜60 秒分をまとめる。ネットが切れている間もためておく
- 送るHTTPS で、鍵を付けてサーバーへ送る
- 受け取るサーバーが鍵と中身を確かめ、重複を除いてデータベースに入れる
- 返事をする受け取った件数と結果を返す。機器は返事に合わせて次を決める
機器の会社に渡す仕様に、入れておくこと
- 送り先のアドレスと、送り方(HTTPS・暗号化の方式)
- 認証の方法と、鍵の渡し方・保管の仕方・出し直すときの手順
- データの項目の一覧(名前・型・単位・範囲・例)
- まとめて送る単位と、1 回の上限
- 同じデータが 2 回届いたときの扱い
- ネットが切れたときの機器の動き
- 時刻の書き方と、どの時刻として扱うか
- 値が取れなかったときの書き方
- サーバーの返事ごとに、機器がすること
- サーバーが動いているかを確かめる方法
送り先のアドレスは、仕様に書いた時点で、機器の会社との約束になります。機器に書き込まれたら、簡単には変えられません。サーバーを移すときにも、この約束を守る必要があります。
工場の機械のデータを扱うときは、機械の側のネットワークを、事務所のパソコンとは分けて考えることもあります。工場のネットワークの考え方の例は、工場のモデルケース にまとめています。工場や事務所の配線と機器を調べるところからは、ネットワーク見える化 でお受けしています。



