本文へ移動
  1. トップ
  2. コラム
  3. IoT の仕組みを別のサーバーへ移したあと、センサーのデータだけが止まった
コラム

IoT の仕組みを別のサーバーへ移したあと、センサーのデータだけが止まった

この記事の要点

2026 年 8 月、プレス加工の会社様の電力を見る仕組みを別のサーバーへ移したあと、画面が見えなくなりました。公開するフォルダ、データベースの向き先、データの移し替えを直して画面は戻りました。それでも、センサーのデータだけが届いていませんでした。機器が送る先のアドレスを、仕様で約束したとおりに残していなかったためです。

2026 年 8 月 3 日、プレス加工の会社様の電力を見る画面が、開けなくなっていました。工場の機械に付けたセンサーのデータを集め、画面で見られるようにしている仕組みです。少し前に、この仕組みを別のレンタルサーバーへ移していたため、そこから調べました。

調べて直すと、画面は戻りました。ところが、それでもセンサーからのデータは届いていませんでした。機器が送ってくる先のアドレスを、仕様で約束したとおりに新しいサーバーで受けていなかったためです。画面とデータの入口は、別の道でした。

画面が見えなかった原因は、公開するフォルダ、データベースの向き先、空のデータベースの 3 つでした

移し替えは、途中まで済んでいました。ドメインの向き先、サブドメイン、SSL 証明書 は新しいサーバーに切り替わり、仕組みのファイルも置かれていました。残っていたのは 3 つです。

見つかったこと 起きていたこと
公開するフォルダを、仕組みの公開用のフォルダに向けられなかった 新しいサーバーの初期の案内のページが表示され、仕組みの画面にたどり着かなかった
設定のファイルが、移す前のサーバーのデータベースを指したままだった 仕組みが、古いデータベースを読みに行っていた
新しいサーバーに、この仕組みのデータベースが作られていなかった 向き先を直しても、読むデータが無かった

1 つ目は、共有のレンタルサーバーの決まりによるものです。ドメインごとに 公開するフォルダ が決まっていて、別の場所に変えられません。この仕組みは、公開用のフォルダを別に持つ作りでした。そこで、サーバーの設定のファイル(.htaccess)に書き換えのルールを足し、入口を公開用のフォルダへ送るようにしました。設定や内部のフォルダには、外から直接は入れないようにしています。

108 万 5,250 件のデータを移し、件数が一致することを確かめました

新しいサーバーにデータベースを作り、移す前のサーバーから、センサーの記録を全部移しました。2026 年 5 月 25 日から 7 月 31 日までの、108 万 5,250 件です。

書き出しには、一時的なプログラムを使いました。作業が終わったあと、移す前と後の両方のサーバーで、一時的なファイルを消しています。最後に、両方のデータベースで件数を数え、108 万 5,250 件で一致することを確かめました。

もう 1 つ、移すときに決めたことがあります。センサーの機器が付けてくる鍵(トークン)を、移す前と同じにしたことです。鍵を変えると、工場に置いた機器の設定を、機器の会社に書き換えてもらうことになります。サーバーの側で合わせれば、現場の機器には触らずに済みます。

画面は戻ったのに、センサーのデータだけが届いていませんでした

画面が戻ったあと、もう一度、仕様書を読み直しました。センサーの機器を作る会社に渡した、データの送り方を決めた文書です。

そこには、センサーが送る先のアドレスが、拡張子の付いた形で書いてありました。一方、最初に足した書き換えのルールは、画面で使う拡張子の無い形のアドレスだけを受ける作りでした。画面は人がブラウザで開くので、拡張子の無い形で動きます。センサーは、仕様のとおり拡張子の付いた形へ送ってきます。そこを受けていなかったので、画面が戻ったあとも、センサーのデータは入っていませんでした。

人が見る画面と、機械が送ってくる入口

人が見る画面

  • ブラウザで開く
  • 拡張子の無い形のアドレスで動く
  • 開けば、直ったかすぐ分かる

機械が送ってくる入口

  • センサーの機器が、決まった間隔で送ってくる
  • 仕様書に書いたとおりのアドレスに送る
  • 受けていなくても、画面には何も出ない

仕様書のアドレスでも受けるように、書き換えのルールを足しました。拡張子の付いた形と付かない形の両方が動くことを確かめて、ようやく元に戻りました。仕様書に書いたアドレスは、機器の会社との約束です。サーバーを移しても、その約束は変わりません。

公開する場所に残っていた古い控えのファイルも片付けました

調べる途中で、公開する場所に、以前の手直しのときの古い控えのファイルが残っているのも見つけました。アドレスを直接打てば、古いプログラムの中身が読める状態です。これは公開しない場所へ移し、直接のアドレスでは開けないことを確かめました。

本番のサーバーで直接手を入れた変更が、手元の正本と食い違っていたのも、このときにそろえています。移し替えは、置いてあるものを見直す機会にもなります。

確かめたこと 結果
仕組みの画面を開く 正しく表示された
動いているかを返す確認用のアドレス(ヘルスチェック) データベースにつながっていると返った
古い控えのファイルのアドレスを開く 見つからない(404)
設定のファイルのアドレスを開く 入れない(403)
正しくない鍵でデータを送る 受け付けない(401)
データの入口をブラウザで開く 受け付けない(送る以外の操作は拒む)
データベースの件数 移す前と後で、108 万 5,250 件が一致

移すときは、画面だけでなく、機械からの入口とデータの件数を確かめます

IoT の仕組みを別のサーバーへ移すときに確かめること
  • 仕様書に書いた、機器が送る先のアドレスを全部書き出す
  • 新しいサーバーで、そのアドレスが全部受けられるか
  • 機器が付けてくる鍵を、移す前と同じにできるか
  • 公開するフォルダの決まりと、入口の作り方
  • 設定のファイルが、新しいデータベースを指しているか
  • 移す前と後で、データの件数が一致するか
  • 一時的に置いたファイルを、両方のサーバーで消したか
  • 公開する場所に、設定や古い控えのファイルが残っていないか
  • 機器から実際に送ったデータが、新しいデータベースに増えるか

いちばん大事なのは、最後の項目です。画面が戻ったことでは、機械からの入口が動いていることは分かりません。センサーからの記録が新しいデータベースに増えていくことを、数で確かめます。

送り先のアドレスや鍵を、仕様書でどう決めたかは、センサーのデータを受け取る口の記事 に書きました。サーバーを選ぶときに確かめることは、共有のレンタルサーバーの記事 にまとめています。工場の機械のネットワークの考え方は、工場のモデルケース にもあります。

よくあるご質問

画面が見えれば、移し替えは終わりですか?
終わりではありません。この件では、画面が戻ったあとも、センサーからのデータは届いていませんでした。人が見る画面と、機械が送ってくる入口は、別の道です。機器の側から実際に送って、データが増えるかまで確かめます。
センサーの機器の設定を、変える必要はありましたか?
ありませんでした。送り先のアドレスと鍵を、移す前と同じにしたためです。工場に置いた機器の設定を変えるには、機器の会社の手が要ります。サーバーの側で合わせるほうが、早く確実に戻せます。
データを移したことは、どうやって確かめましたか?
移す前と後で、件数を数えて比べました。108 万 5,250 件で、ぴったり一致しています。件数が合わないときは、どの期間が欠けているかを日ごとに数えて探します。
移し替えの作業で、気をつけたことはありますか?
データを書き出すために置いた一時的なファイルは、作業が終わったら消しました。公開する場所に、設定のファイルや古い控えのファイルが残らないようにもしています。

関連事例

この記事を書いた人

小野 隆士ドットシンク株式会社 代表取締役

システム開発会社の会社員、Web 制作の個人事業主、不動産営業、Web 制作会社の役員を経て、CRM 事業を軸にドットシンク株式会社を起業。自社の営業と事務の仕事に AI を使い、そのやり方を AI研修と AI伴走支援でお客様の会社に持ち込んでいます。デジタル庁 デジタル推進委員(2024 年 7 月任命)。

代表のプロフィールを読む