仕事のメールは、会社が持つドメインのアドレスで、会社が作って止められるアカウントに置きます。個人の Gmail のまま仕事をしていると、その人が辞めたときに、会社はアカウントを止められず、それまでのやり取りも引き継げません。
移すときは、ドメインを会社の名義で取る、メールのサービスを選ぶ、送信元の認証を設定する、取引先に知らせて切り替える日を決める、の順で進めます。
個人の Gmail を使っていた学校様への提案
2026 年 5 月に、ネットワークの困りごとで伺った学校様で、先生方が仕事のメールを個人の Gmail で送り受けしていると分かりました。誰が辞めても、学校の側からはその人のメールに手を出せません。セキュリティの面でも、人が替わったときの引き継ぎの面でも、不安が残る状態です。
6 月の提案では、ネットワークの工事とは別に、学校の名前のアドレスを取り、学校が管理するメールに移す案を入れました。工事の結果を待たずに、これだけ先に始められるからです。アドレスを取るのは費用が小さく、すぐに着手できます。学校の名義で取れるかどうかは、学校側で確かめていただくことにしました。
メールのサービスは、普段 Gmail を使っている先生方が多いことから、操作が同じ Google のサービスを軸にしました。慣れた画面のまま、学校が管理するメールに移れます。
個人の Gmail と会社のアドレスでは、誰がアカウントを持つかが違います
個人の Gmail
- アカウントの持ち主は、社員本人
- 辞めた後も、会社はアカウントを止められない
- それまでのやり取りが、本人の受信箱にしか残らない
- 相手から見て、会社からのメールかどうか分かりにくい
- 送信元の認証を、会社が自分で設定できない
会社のドメインのアドレス
- アカウントを会社が作り、会社が止められる
- 辞めた人のメールを、次の担当に引き継げる
- アドレスを見れば、どの会社からか分かる
- 送信元の認証(SPF・DKIM・DMARC)を会社で設定できる
- 共有のアドレスを、担当を決めて受け持てる
違いの根っこは、アカウントの持ち主です。gmail.com のアドレスは Google が持つドメインのもので、会社のものではありません。会社のドメインのアドレスなら、ドメインもアカウントも会社が持ちます。なりすましを防ぐ設定も、会社のドメインに対して行えます。
ドメインは会社の名義で取り、管理画面のアカウントも会社で持ちます
最初に確かめるのは、名義です。会社の名前のドメインを、会社の名義で取ります。サイトを作った会社や、担当の社員の個人の名義で取ってしまうと、引っ越しや担当の交代のときに、自分のドメインなのに自由に動かせなくなります。
ドメインを管理する画面のアカウントも、会社のアドレスで作り、パスワードを会社で控えます。ドメインには更新の期限があります。更新の知らせが届くアドレスが辞めた人のものだと、気づかないうちに期限が切れます。
メールのサービスは、社内で使い慣れた道具に合わせて選びます
会社のアドレスで使えるメールのサービスは、大きく 3 つに分かれます。
| サービス | 合わせやすい会社 | 選ぶ前に確かめること |
|---|---|---|
| Google Workspace | 社内で Gmail やカレンダーに慣れている | 1 人ごとの月の利用料と、使う人数 |
| Microsoft 365 | Word・Excel・Outlook を会社で使っている | 契約の種類によって、使えるアプリが違う |
| レンタルサーバーのメール | アドレスの数が少なく、費用を抑えたい | 迷惑メールの対策、保存できる容量、Web メールの使い勝手 |
社内で Outlook を使い慣れているなら、Microsoft 365 の方が移りやすくなります。
送信元の認証(SPF・DKIM・DMARC)を設定します
会社のアドレスに移したら、送信元の認証を設定します。受け取った側のメールのサービスが、「このメールは本当にこの会社のドメインから送られたか」を確かめるための仕組みです。
- SPF: このドメインのメールを送ってよいサーバーを、ドメインの設定に書いておく
- DKIM: 送るメールに電子の署名を付け、途中で書き換えられていないことを示す
- DMARC: SPF や DKIM で確かめられなかったメールを、受け取った側でどう扱うかを決めておく
Google は、2024 年 2 月 1 日以降、Gmail のアカウントにメールを送るすべての送信者に、SPF か DKIM の設定を求めています。1 日に 5,000 件を超えて送る送信者には、SPF・DKIM・DMARC の 3 つを求めています。設定が無いと、取引先の Gmail で迷惑メールに振り分けられることがあります。
メールがどのサーバーに届くかを決める MX レコード も、同じドメインの設定の中にあります。切り替えの日に書き換えるのは、主にここです。
切り替える日を決め、取引先に知らせてから、個人のアドレスでのやり取りをやめます
- 名義を確かめる会社の名前のドメインを、会社の名義で取る
- サービスを決める社内で使い慣れた道具に合わせて、メールのサービスを選ぶ
- アカウントを作る1 人 1 つのアカウントと、共有のアドレスを会社で作る
- 認証を設定するMX レコードと、SPF・DKIM・DMARC をドメインの設定に書く
- 知らせる取引先に新しいアドレスと、切り替える日を知らせる
- やめる決めた日から、仕事のやり取りを個人のアドレスでしない
切り替える前に、もう 1 つ洗い出すものがあります。仕事で使っているサービスのうち、個人の Gmail で登録しているものです。取引先の受発注の画面、ネットの銀行の通知、業務で使うクラウドのサービスなどが、個人のアドレスにひも付いていることがあります。そのままにすると、その人が辞めたときに、パスワードの再設定のメールが会社に届きません。登録のアドレスを、会社のアドレスに付け替えます。
個人のアドレスに残っている過去のやり取りは、仕事に要る分だけを移します。全部を移そうとすると、時間がかかるうえ、私的なメールまで会社に持ち込むことになります。
辞めた人のアカウントを止める手順も、このときに決めます。誰が、辞めた日のうちに止めるのか。受信箱を誰に引き継ぐのか。情報セキュリティの方針 に、アカウントを止める手順として書いておくと、担当が替わっても同じように動けます。当社の ネットワーク見える化 でお受けしている情報セキュリティの体制づくりでは、障害・持ち出しパソコン・紛失のときの手順などを、ルールと文書にしています。



