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コラム

業務を AI に任せる前に書く「業務カード」の 6 つの項目

この記事の要点

1 つの仕事は、始まるきっかけ・見るデータ・判断の条件・出すもの・渡す先・終わりの条件の 6 つで書き出せます。2026 年 9 月 24 日の打ち合わせで、この「業務カード」の項目と進め方を考えました。判断の条件があいまいなまま AI に渡しても、うまく動きません。カードは AI に質問してもらいながら作り、たまったカードから仕組みにできるところを探します。

1 つの仕事は、始まるきっかけ・見るデータ・判断の条件・出すもの・渡す先・終わりの条件の 6 つで書き出せます。2026 年 9 月 24 日の社内の打ち合わせで、この形を「業務カード」と呼び、項目と進め方を考えました。社員それぞれの頭の中にある仕事のやり方を、AI に渡せる形にするためです。

この記事では、業務カードの 6 つの項目と、カードを作る進め方を紹介します。今はまだ構想の段階で、お客様の業務で試した結果はありません。

仕事はどこかから振られ、担当者が条件で振り分けています

打ち合わせでは、まず仕事の見方をそろえました。社員はそれぞれ、自分の仕事と、言葉にしていないやり方(暗黙知)を持っています。仕事はどこかから振られてきて、担当者が何かの条件で振り分けて片付けています。

その条件を言葉にして AI に渡せば、AI に任せられる形になります。Claude には、手順や資料をまとめて必要なときに読み込ませる「スキル」という仕組みがあります。Anthropic は 2025 年 10 月 16 日にこの仕組みを発表しました。スキルは、指示・スクリプト・資料を入れたフォルダで、Claude が必要なときに読み込むものとされています。ただし、条件があいまいなままでは、スキルにしてもうまく動きません。だから、スキルを作る前に、条件を整理するためのカードを書く、という順番にしました。スキルの一般的な説明は、用語集のスキル(Claude の Skills)にあります。

業務カードの項目は 6 つです

項目 書くこと 例
始まるきっかけ 誰から、どんな指示や出来事があったら始めるか 営業の担当から依頼が来た。受注が決まった
見るデータ どのフォルダの、どのデータの、どこを見るか どのフォルダの、どの表の、どの欄か
判断の条件 何がどうなら、どう処理するか 値が大きいときは、こう処理する
出すもの 何の形で出すか CSV・Excel・パワーポイントなど
渡す先 誰に渡すか 営業の担当に渡す。次の担当に依頼する
終わりの条件 何をしたら終わりか 見積書を作ったら終わり

いちばん書きにくく、いちばん大事なのは、判断の条件です。長くその仕事をしている人は、条件を意識せずに判断していることがあります。「いつもこうしている」を「何がどうならこうする」に書き直すところが、カードを書く作業の中心です。言葉にしていない仕事のやり方のことを、用語集では暗黙知と呼んでいます。

始まるきっかけと終わりの条件を書くのも、手順書との違いです。手順書は操作の順番を書きますが、いつ始めていつ終わるかが抜けていることがあります。AI に任せるときは、始まりと終わりが決まっていないと、どこまでやってよいかが分かりません。

カードは白紙から書かず、AI に質問してもらいながら作ります

2 人で向き合って話を聞いている絵

全員に白紙のカードを配って書いてもらうと、書く人によって細かさが違います。打ち合わせでは、全員共通の形のカードを、AI に質問してもらいながら作る形を考えました。「この仕事は、何があったら始めますか」「そのとき、どのデータを見ますか」と順に聞かれ、答えていくとカードができる形です。

質問しながらカードを作る仕組みができれば、当社の社内だけでなく、伴走しているお客様の会社にも持っていって使えると考えています。

カードがたまったら、つながるところから仕組みにします

業務カードから仕組みにするまでの進め方
  1. 考え方を伝える仕事が始まるきっかけとは何か、仕事を仕組みに移すとはどういうことかを説明する
  2. カードを作る社員それぞれが、自分の仕事を業務カードに書き出す
  3. スキルにするカードを AI のスキルにする。この時点で作業は楽になる。出すものは Excel などでよい
  4. カードを集める全員のカードを集め、会社全体の仕事のやり方を見渡す
  5. 判断をそろえる同じ仕事で人によって判断が違えば、話し合ってよい方にそろえる
  6. 仕組みにする仕事の入口と出口がつながるところから、1 つのデータベースに集めて仕組みにする

2026 年 9 月 24 日の打ち合わせの記録から作成。構想の段階です

5 つ目の「判断をそろえる」は、カードを集めて初めてできることです。同じ仕事を A さんと B さんがしていて、判断の条件が違っていることがあります。カードに書き出せば、違いが目に見えます。話し合ってよい方にそろえれば、仕事のやり方が人によって変わる状態(属人化)が少し減ります。

6 つ目の段では、ばらばらの Excel に分かれていたデータを 1 か所に集めます。データが 1 か所にあれば、仕事の順番を全体で見て並べ替えることもできます。各自が自分の Excel を持っている状態では、全体は見えません。

業務カードを書く前に決めること

業務カードを書き始める前に決めること
  • 書き出す仕事を、1 枚に 1 つにした
  • 全員が同じ 6 つの項目の形で書く
  • 始まるきっかけと終わりの条件を、必ず書く
  • 判断の条件を「何がどうならこうする」の形で書く
  • 見るデータの場所(フォルダ・ファイル・欄)を書く
  • 同じ仕事を複数の人がしているなら、それぞれに書いてもらう
  • 書いたカードを集める場所を決めた

業務カードは、仕事を AI に任せるための下ごしらえです。当社のAI伴走支援では、毎月の打ち合わせで御社の業務を伺い、AI に任せる作業を 1 つずつ決めて設定します。決めたことの理由を残す書き方は、決めたことの記録の記事に書きました。

よくあるご質問

業務カードは、誰が書くのですか?
その仕事をしている本人が書きます。ただし白紙から書くのではなく、AI に質問してもらい、答えていくとカードができる形を考えています。きっかけは何か、どのデータを見るか、と順に聞かれる形です。
業務カードと手順書は、何が違うのですか?
手順書は、操作を順に書いたものです。業務カードは、仕事が始まるきっかけと、途中の判断の条件と、終わりの条件を書くことに重きを置きます。AI に任せるときに足りなくなりやすいのが、判断の条件だからです。
業務カードを書いたら、すぐに AI に任せられますか?
判断の条件がはっきり書けた仕事から任せられます。条件があいまいなまま渡すと、AI はうまく動きません。カードを書く途中で条件があいまいだと分かったら、それも大事な発見です。
この進め方で、お客様の業務を変えた事例はありますか?
2026 年 9 月の時点では、まだ構想の段階です。お客様の業務で試した結果は、まだありません。

出典・参考にした資料

  1. Anthropic「Introducing Agent Skills」(2025 年 10 月 16 日)

この記事を書いた人

小野 隆士ドットシンク株式会社 代表取締役

システム開発会社の会社員、Web 制作の個人事業主、不動産営業、Web 制作会社の役員を経て、CRM 事業を軸にドットシンク株式会社を起業。自社の営業と事務の仕事に AI を使い、そのやり方を AI研修と AI伴走支援でお客様の会社に持ち込んでいます。デジタル庁 デジタル推進委員(2024 年 7 月任命)。

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