工程の呼び名がばらばらなままでは、「今月、曲げの作業がいくつあったか」を数えられません。「曲げ」「L 曲げ」「U 字曲げ」「曲げ修正」を同じ曲げとして拾うかどうかを、数える人がその都度決めることになるからです。
2026 年 3 月 27 日、プレス加工と金型を手がける会社様の指示書から、工程の呼び名を抜き出しました。使ったのは、品番ごとに寸法と工程を書いた工作寸法指示書 133 件です。97 通りありました。これを 17 の分類にまとめ、画面では工程を番号で選ぶ形にしています。前日の現場説明会で、工程の選択肢を増やしたいという要望に「名前を増やしすぎず、番号で管理する」とお答えしたのがきっかけです。説明会の様子は紙の作業指示書をタブレットに移した記事に書きました。
- 抜き出した工作寸法指示書
- 133件
- 工程の呼び名
- 97通り
- まとめた工程の分類
- 17分類
- 1 つの品番に並べる工程の上限の目安
- 10工程ほど
出所: 2026 年 3 月 26 日の現場説明会と、翌日に作った工程の分類の表
工程の呼び名は、書いた人と時期によって 97 通りに分かれていました
同じ「型で板を打ち抜く」作業でも、指示書によって「穴抜き」「外形抜き」「総抜き」「ブランク」「ブランキング」「送り抜き」と書かれていました。指示書を書いた人も、書いた時期も違うので、呼び名がそろわないのは自然なことです。経験のある方は、どの呼び名が同じ作業かを頭の中で読み替えています。
困るのは、数えるときと、経験の浅い方が読むときです。数える人は 97 通りのどれを足すかを毎回決めなければならず、人によって数が変わります。読み替えが経験のある方の頭の中にしかないのは、属人化の一つの形です。
手順 1: 今ある書類から、工程の呼び名を 1 つも直さずに抜き出しました
最初に、指示書の一覧の Excel から、工程の欄に書かれた文字をそのまま抜き出しました。このとき、書き方を直しながら抜き出さないことにしています。直しながら抜くと、どの呼び名をどの分類にまとめたのかが、あとから追えなくなるからです。
抜き出した呼び名ごとに、何件の指示書に出てくるかも数えました。件数の多い呼び名から分類を決めていけば、少ない手間で大部分の指示書が分類に入ります。
手順 2: 同じ作業を指す呼び名を、1 つの分類にまとめました
まとめた結果のうち、件数の多い分類は次のとおりです。1 枚の指示書に工程がいくつも書かれているので、件数を足すと 133 より多くなります。
| 分類 | 件数 | まとめた呼び名の例 |
|---|---|---|
| 抜き加工 | 72 | 穴抜き、外形抜き、総抜き、ブランク、ブランキング、内外形同時抜き、ノックアウト、送り抜き、コーナー抜き |
| 曲げ加工 | 62 | 曲げ、L 曲げ、U 字曲げ、フランジ曲げ、爪曲げ、曲げ修正 |
| 表面処理(メッキ) | 50 | 三価クロメートなど、メッキの書き方 3 通り |
| 順送プレス | 26 | 順送、手送り順送、順送(2 個取り) |
| 溶接・接合 | 25 | スポット溶接、リベット、組立 |
| タップ・ネジ加工 | 14 | M4・M5・M6・M10 のタップの書き方の違い |
| 切断 | 13 | 切断、送り切り、送り切断、分断 |
| 研磨・仕上げ | 10 | バレル研磨ほか |
| 段押し・成形 | 8 | 段押し、段付け、平押し、トリム、面押し |
このほか、塗装・洗浄と脱脂・検査と選別・ドリルでの穴加工・バーリング・加工機のプログラム・梱包と出荷・外注で、全部で 17 の分類です。
メッキは書き方が 3 通りあるだけで、件数は 50 件ありました。呼び名の数が少なくても、件数が多い分類は、書き方を 1 つにそろえた効果が大きくなります。
手順 3: 2 つの作業がつながった呼び名は、どちらに入れるかを 1 つずつ決めました
「穴抜き・外形抜き」「切断・穴抜き」「曲げ・イボ出し」のように、1 つの呼び名に 2 つの作業が入っているものがありました。これは機械的には分けられないので、1 つずつどちらの分類に入れるかを決めています。「切断・穴抜き」は抜き加工に、「送り切り・バーリング」はバーリングに入れました。
工程の欄には、「1 袋 50 個」のような梱包の指示や、加工機のプログラムの名前も書かれていました。これも消さずに、梱包と出荷、プログラム加工という分類を作って入れています。
手順 4: 社内の作業と、外に出す作業と、検査を分けました
同じスポット溶接でも、社内でするものと、外に出すものがあります。外に出す作業は、社内の設備を使う時間ではなく、相手先から戻るのを待つ時間になります。メッキや熱処理も同じです。そこで、外に出す作業を「外注」という分類にまとめました。
検査と選別も、加工とは別の分類にしています。全数を選別するのか、抜き取りで図面の寸法を確かめるのかは、品質の記録の残し方に関わるからです。
分けておけば、4 月の見直しで出た「外注に出すものも、事務の担当に知らせてほしい」という要望にも、分類で絞って応えられます。
手順 5: 画面では工程を番号で選び、品番ごとの工程の並びを一覧に入れます
- 抜き出す今ある指示書から、工程の欄の文字を直さずにすべて抜き出し、件数を数える
- まとめる同じ作業を指す呼び名を 1 つの分類にし、まとめた呼び名を表に残す
- 決める2 つの作業がつながった呼び名は、どちらに入れるかを 1 つずつ決める
- 分ける外に出す作業と検査を、社内の加工とは別の分類にする
- 番号を付ける画面では工程を番号で選び、品番ごとに工程の並びを一覧に入れる
画面では、工程を自由に書き込むのではなく、番号で選ぶ形にしました。説明会では「1 つの品番に並ぶ工程は 10 ほどまで」と決めています。自由に書ける欄を残すと、呼び名はまた増えていきます。
品番ごとに「どの工程を、どの順番で通るか」を入れた一覧(品番のマスターデータ)があれば、1 つの工程が終わったときに次の工程を自動で出せます。5 月の打ち合わせでは、この一覧がまだ入っていない品番で、工程の進み具合や次の工程がうまく出ないことが分かりました。経験のある方は工程の番号から判断できても、経験の浅い方は今どこまで進んでいるのか迷います。品番の一覧は、品番をよく知る事務の方にも入っていただき、2 週間ほどかけて整えることにしました。
工程の進み具合を追う仕事を工程管理と呼びます。工程の呼び名と品番の一覧がそろってはじめて、工程管理の画面は経験のある方以外にも読めるものになります。
呼び名をそろえると、数え方が 1 つに決まります
分類の列が 1 つあれば、「今月の曲げの件数」は、分類が「曲げ加工」の行を数えるだけで出ます。呼び名のままだと、「曲げ」を含む呼び名を部分一致で数えることになり、「曲げ修正」を入れるかどうかで数が変わります。部分一致の条件を足していく数え方は、数え漏れや、同じ行を 2 回数える重なりが起きやすくなります。
入力のときに選択肢から選ぶ形にしておけば、新しい呼び名はそもそも増えません。当社の経営ダッシュボードで現場の入力を選択肢で答えるチャットにしたのも、同じ理由です。工場で使う場合の想定は金属加工の工場のモデルケースにあります。
分類を作る前に確かめること
- 工程の呼び名が書かれた書類が、どこに何件あるかを把握した
- 呼び名を直さずに抜き出し、呼び名ごとの件数を数えた
- まとめた呼び名を、分類ごとに表に残す形にした
- 2 つの作業がつながった呼び名を、どちらに入れるか決めた
- 外に出す作業と検査を、社内の加工と分けた
- 画面では自由に書かせず、番号か選択肢で選ぶ形にした
- 品番ごとの工程の並びを、誰が入れて誰が直すかを決めた
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