経営ダッシュボードの経理(会社のお金の数字を集める商品)は、会計ソフトのデータを読み取るだけで、こちらからは書き込まない設計にしました。2026 年 4 月に要件をまとめ、4 月 25 日に技術の前提を確定しています。この記事では、そう決めた理由と、範囲に入れたもの・外したもの、読み取りが止まったときの見せ方を紹介します。
経営ダッシュボードは当社が開発したクラウドサービスで、社外の会社に導入した事例はまだありません。ここに書くのは設計の段階で決めたことです。
社長がお金の状態をすぐ答えられない理由を、4 つに分けました
要件を書く前に、中小企業の経理の数字が見えない理由を 4 つに分けました。
| 見えない理由 | 起きていること |
|---|---|
| 月次の試算表が届くのが遅い | 今月の売上や資金の余裕を聞かれても、すぐに答えられない |
| 集計が担当者の Excel に分かれている | どの請求書が入金されていないかを確かめるだけで時間がかかる |
| 支払いの予定と入金の予定を同時に見られない | 資金が足りなくなる兆しに、月次の集計を待ってから気づく |
| 税理士との資料のやり取りに手間がかかる | 月次の確認のたびに、Excel や紙の資料を用意している |
どれも、数字そのものは会社のどこかにあるのに、見たいときに見られないという話です。経理の担当の方は、すでに会計ソフトに数字を入れています。新しく入力する場所を増やすのではなく、入っている数字を読みに行けばよい、というのが出発点でした。
会計ソフトから読み取るだけにし、仕訳の入力や経費の承認は会計ソフトに残しました
経営ダッシュボードの経理がするのは、会計ソフトのデータを読み取って並べることだけです。
会計ソフトの側でする
- 仕訳の入力と直し
- 請求書の作成と送付
- 経費の申請と承認
- 会計のデータの正本を持つ
経営ダッシュボードの経理でする
- 会計ソフトのデータを毎晩 1 回読み取る
- 売上・利益・資金の残高・売掛金を 1 画面に並べる
- 入金の期限を過ぎた請求書を一覧にする
- 資金の不足や入金の遅れを知らせる
2026 年 4 月の要件でまとめた分け方です。
書き込まないと決めた理由は 2 つあります。
1 つ目は、会計のデータの正本を 1 か所にしておくためです。経営ダッシュボードの側でも数字を直せるようにすると、どちらの数字が正しいのかが分からなくなります。直すのは会計ソフトだけ、と決めておけば、画面の数字が違うときは会計ソフトを直せば済みます。
2 つ目は、作りを小さくするためです。当社の開発は、私と AI の少人数の体制です。会計ソフトに書き込む機能まで持つと、間違えたときに会社の帳簿を壊すおそれがあり、確かめることが大きく増えます。
読み取りの相手は、最初はマネーフォワード クラウドの会計・請求書・経費・債務支払に絞りました。ほかの会計ソフトとの連携は、最初の形が安定してから考えます。
範囲から外したものと、その理由も要件に書きました
| 外したもの | 理由 |
|---|---|
| ほかの会計ソフトとの連携 | 最初は 1 社に絞り、作る量を小さくする |
| 仕訳の入力と直し | 読み取りだけにし、会計のデータは会計ソフトで直す |
| 経費の申請と承認の流れ | 会計ソフトの側の機能を使う |
| 給与のデータ | 読み取れるかどうかを確かめきれていない |
| 電子帳簿保存法への対応 | 専門の道具に任せる |
外したものを書いておくと、「これもできると思っていた」という食い違いを、導入の前に防げます。
数字は毎晩 1 回読み取り、止まった日は最後に読み取った日を画面に出します
読み取りは、深夜に 1 日 1 回です。会社ごとに別々に動かし、ある会社の読み取りが失敗しても、ほかの会社の読み取りには影響しない作りにしました。
読み取りが止まる日は、出てきます。会計ソフトの側の都合や、連携の許可の期限切れなどです。止まったときの流れを、要件に書きました。
- 失敗に気づく夜の読み取りの処理が、失敗したことを記録する
- やり直す少し間を空けながら、最大 3 回やり直す
- 知らせる3 回とも失敗したら、御社の管理者と当社に知らせる。何が起きたかと、することを添える
- 画面に出す読み取りが止まっているあいだは、画面に「データが古い可能性があります」と最後に読み取った日を出す
- 許可を出し直す連携の許可が切れたときは、管理者に許可の出し直しを画面で案内する
いちばん大事にしたのは、4 つ目の画面の表示です。数字が古いまま、新しいように見える画面がいちばん困ります。社長は画面の数字を見て判断するので、その数字がいつのものかを、いつも一緒に出します。会計ソフトとほかの仕組みのあいだで、データを定期的に読み取ってそろえることをデータ連携と呼びます。
社長・経理の担当・税理士で、見るものと見られる範囲を分けました
使う人ごとに、毎日見る画面を決めました。
- 社長: 毎朝、今月の売上・利益・預金の残高・売掛金の残高・30 日後の資金の見通しを 1 画面で見る。気になる数字を押すと内訳が開く
- 経理の担当: 入金の期限を過ぎた請求書を、期限内・期限超過・30 日以上の超過に分けて見る。フォローの予定をメモに残す
- 顧問の税理士: 見るだけの役割で入り、月次の損益と貸借のまとめを前の月や前の年と比べて見る。気になる点はコメントで残す
税理士の方に見るだけの役割を用意したのは、月次の確認のたびに資料を作って送る手間をなくすためです。見るだけなので、税理士の方の操作で会社の数字が変わることはありません。30 日後の資金の見通しのような表は、資金繰り表と呼ばれます。
会計ソフトとつなぐときに決める 7 つのこと
- 会計のデータを直す場所を 1 か所に決めた(読み取りだけか、書き込みもするか)
- どの会計ソフトの、どの機能から読むかを決めた
- 読み取る間隔(毎晩・1 時間ごとなど)を決めた
- 読み取りが止まったときに、誰に知らせるかを決めた
- 数字がいつの時点のものかを、画面に出す形にした
- 社長・経理の担当・税理士など、人ごとに見られる範囲を決めた
- 範囲から外すものを書き、導入の前に伝えた
経理の数字は、社長がいちばん早く見たい数字です。それでも、新しく入力する場所を増やさないことを先に決めました。数字を 1 画面に集める考え方は、用語集の経営ダッシュボードにまとめています。当社の経営ダッシュボードでは、使う商品と利用人数に合わせて、最初にどの数字を並べるかを決めます。



