事務所の壁の大きな画面には、そこにいる全員が見てよい数字だけを映します。経営ダッシュボードの設計で、2026 年 4 月 25 日にこの線を決めました。営業と進行管理の画面は件数や金額をそのまま出し、経理と人事労務の画面は集計の値だけにしています。
この記事では、大きな画面の作りと、商品ごとに映す数字・映さない数字の分け方を紹介します。経営ダッシュボードは当社が開発したクラウドサービスで、社外の会社に導入した事例はまだありません。ここに書くのは設計の段階で決めたことです。
大きな画面は、タブが自動で切り替わり、60 秒ごとに数字が新しくなる作りです
大きな画面は、会議室や事務所の壁に置き、映しっぱなしにする使い方を考えています。作りの中心は次のとおりです。
| 項目 | 決めたこと |
|---|---|
| 画面の大きさ | 55 インチ以上の横置きを前提に、文字と並びを決める |
| 機械 | 専用の機械は要らない。ブラウザを全画面で開いておけば表示できる |
| 切り替え | 営業・進行管理・経理・経営・方針の 5 つのタブが、決めた間隔で自動で切り替わる |
| 数字の更新 | 60 秒ごとに読み込む。現場の方がスマートフォンで入れた内容も、次の読み込みで出る |
| 速報 | 受注や入金などの出来事が起きたら、画面いっぱいに知らせを出す |
| ログイン | 人のログインとは別の、表示のための仕組みを使う。管理画面から表示をすぐ止められる |
表示の仕組みを人のログインと分けたのは、人のログインには自動ログアウトがあるからです。人と同じ仕組みにすると、しばらく誰も触らないうちに画面が消えてしまいます。事務所に置く画面は、見るだけで、入力はできません。
営業と進行管理は、件数・金額・期限切れをそのまま映します
そのまま映す
- 営業: 案件の件数と金額、受注の予定、担当ごとの実績、目標の達成率
- 進行管理: 状態ごとの案件の件数と金額、次に対応する件数、担当ごとの工数、期限切れの件数
- マーケティング: 段階ごとの見込み客の件数、新しい見込み客の件数
集計の値だけを映す
- 経理: 今月の収入・支出・粗利、入金の予定の合計、入金されていない請求書の件数
- 人事労務: 在籍の人数と今日の出勤の人数、全社の残業時間の合計、上限に近い人の数、有給の取得率
2026 年 4 月 25 日に決めた、5 つの商品に共通の表示の仕様から作成
営業と進行管理の数字は、もともと社内で共有して動かすための数字です。進行管理の画面では、納期まで 3 日を切った案件を赤で目立たせます。誰の担当で、何件が遅れているかが見えることに意味があります。
経理は会社全体の集計の値だけにし、取引先の名前と請求書の番号は出しません
経理の要件を最初に書いたときは、会計の数字を大きな画面に映すこと自体を、範囲から外していました。会計の数字は外に出したくない情報だからです。
4 月 25 日に 5 つの商品の共通の仕様を決めるとき、ここを見直しました。会社全体の集計の値なら映してよいことにし、次のように線を引いています。
| 映す | 映さない |
|---|---|
| 今月の収入・支出・粗利 | 取引先ごとの金額 |
| 入金の予定の合計 | 請求書の番号と明細 |
| 入金されていない請求書の件数 | 入金されていない取引先の名前 |
| 入金の確定・大口の入金の速報 | 担当ごとの明細 |
入金されていない請求書は、件数だけを出します。どの取引先かが分かる形で壁に映すと、前を通る社外の人の目にも入ります。取引先ごとの明細は、経理の担当と社長がパソコンやスマートフォンの画面で見ます。
人事労務は、人が特定できない集計の値だけにしました
人事労務の数字は、5 つの商品の中でいちばん慎重に扱います。残業時間も有給の残りも、その人の働き方そのものだからです。
映してよいもの:
- 今月の全社の残業時間の合計と、前の月との比べ
- 残業の上限に近い人の数(名前も部署も出さない)
- 全社の有給の取得率
- 在籍の人数と、今日の出勤の人数
- 全社の目標の達成率
映さないもの:
- 名前・社員番号など、誰かが分かる情報
- 個人の残業時間・有給の残り・勤怠の状況
- 面談の内容や、アンケートの個別の回答
この線は、画面の作りだけで守らないことにしました。大きな画面に数字を渡す段階で、人の情報を含めずに集計の値だけを渡します。さらに画面の側でも、人の情報を受け取っても描かない作りにします。人の情報を取り扱うときの決まりは、用語集の個人情報保護法にもまとめています。
大きな画面に映す前に確かめること
- 画面の前を、社員以外(来客・業者)が通るかを確かめた
- 取引先の名前・請求書の番号・個人の名前を出していない
- 個人の残業時間や有給の残りを出していない(件数や合計にしている)
- 数字がいつの時点のものかが、画面で分かる
- 画面の表示を、管理する人がすぐ止められる
- 人のログインと、表示のための仕組みを分けた
- 映す数字を、社員が見て次に動けるものに絞った
大きな画面に映す数字は、多ければよいわけではありません。見た人が、次に何をすればよいか分かる数字に絞ります。数字を 1 画面に集める考え方は、用語集のダッシュボードと事務所の大型モニター表示にまとめました。当社の経営ダッシュボードで工場や営業の数字を集める場合の想定は、モデルケースに載せています。金属加工の工場と法人向けのサービス会社の 2 つです。



