業務の数字を 1 画面に集めようとすると、最初に画面の形を考えたくなります。当社が実際につまずいたのは、画面の手前でした。工程の呼び名が 97 通りあって数えられない。同じ稼働率でも、式しだいで出る数字が変わる。Excel の集計で件数が 2 倍になる。1 人しか直せない仕組みが 15 以上ある。
そこで当社は、売上・案件・作業の数字を集めるとき、画面より先に次の 6 つを順に決めています。段ごとに、決めるきっかけになった記録を書いた記事があります。
- 入力の入口誰が、いつ、どの端末で、何を入れるかを決める
- 呼び名と番号工程や品番の呼び名をそろえ、仕組みどうしをつなぐ番号を決める
- 計算式画面に出す数字を、1 行の式で決める
- 記録の残し方記録を消さず、誰がどう直すかを決める
- 検算集計を 2 通りで作り、使う道具で照らし合わせる
- 1 人に頼らない形仕組みの中身を書き出し、一覧で全体を見渡せるようにする
1. 入力する人の手間を、画面より先に決めます
画面に並ぶのは、誰かが入れた数字です。入力が止まれば、画面には古い数字しか残りません。だから当社は、見る画面より先に、入れる人の手間を決めます。
- 日報や案件の入力を、フォームでなくチャットにした理由: 現場の方の日報などの入力を、スマートフォンのチャットにした理由。最初の項目は 5 つ以内に絞ります
- 紙の作業指示書をタブレットに移した 3 週間で、現場から出た要望: 紙を持っていく動きを、「私が作業します」のボタンに置き換えた記録。現場の声で「金型待ち」を足しました
- 現場の画面のログインを、社員番号と 4 桁の暗証番号にした理由: 共用の端末で、打つ手間と安全をどう釣り合わせたか
- Notion が回らなくなった会社で、道具を選ぶ前に決めたこと: データごとに、入口・置き場所・出力先と責任者を書いた表。道具はその後に選びます
- 最初に作る機能を、見積・請求から「電話の後の登録」に変えた理由: お客様の名前・内容・担当・期限の 4 つだけで登録できる入口を、最優先にした記録
- 活動記録・作業記録・日報の 3 つの入力を、1 つの「記録」にまとめた理由: 同じ 1 日の仕事を 3 回入れさせない設計。要件は 97 件から 59 件に減りました
- 案件の振り返りと「止まっている」の報告を、5 問以内のチャットで受ける: 自由に書く欄を絞り、数えたい答えは選ぶ形にした問いの決め方
入力の入口は、いつもチャットが正しいわけではありません。項目が 5〜7 つあり、数字を何か所も入れる記録では、入力欄を並べた画面の方を勧めたこともあります。
2. 工程や品番の呼び名と、仕組みどうしをつなぐ番号をそろえます
数えるときに困るのは、同じものに違う名前が付いているときと、つながるはずの記録が別の番号で動いているときです。
- 工程の呼び名が 97 通りあった指示書から、17 の分類を作った手順: 呼び名を直さずに抜き出し、分類にまとめる手順。品番ごとの工程の一覧(マスターデータ)が無いと、次の工程が自動で出ないことも書きました
- 部署をまたぐ仕事の流れを図にすると、手配の漏れる場所が見える: 部署ごとの帯に分けて流れを描く 5 つの手順。漏れが起きるのは、部署の間の受け渡しでした
- 中小企業白書 2026 の数字で見る、業務の見直しで最初に手を付ける場所: 業務プロセスの見直しの中身でいちばん多いのは、業務フローの可視化・見直しでした
番号のつながりの話は、6 段目の Access の記事にも出てきます。見積もりは材料費と加工費に分かれているのに、受注で単価 1 本になり、生産の番号と売上の番号がつながっていない。これでは、製品ごとの利益が見えません。
3. 画面に出す数字は、計算式を 1 行で決めてから作ります
「稼働率」や「納期遵守率」は、名前だけでは中身が決まりません。何を何で割るか、休みの日をどう数えるか、分母が 0 件のときに何と出すか。式を決めずに画面を作ると、数字を見た人が説明できなくなります。
- 稼働率・遅れ・納期遵守率の計算式を、画面より先に決めた理由: 経営ダッシュボードの進行管理で比べた 3 つの式と、選んだ式の弱いところ。目標の手前で追う数字を KPI と呼びます
- 残業の上限と有給の年 5 日を、月末より前に知るための勤怠の数字: 上限の 8 割で知らせる条件と、有給の 5 日に届かない見込みの出し方
- 経理の数字を集める画面は、会計ソフトから読むだけにした理由: 数字は会計ソフトから毎晩読み取り、いつの時点の数字かを画面に出します
- 事務所の大きな画面に映す数字と、映さない数字の分け方: 経理と人事労務は、集計の値だけを映す線引き
- 見て終わりの画面にしないために、ダッシュボードに足した 5 つのこと: 放っておかれた案件と目標までの残りを出し、異常だけを目立たせる
- 営業の目標を、売上・商談・活動の 3 つに分けて毎日の記録とつなぐ: 今日の動きで増やせる数字を目標に入れた理由
4. 記録は消さず、誰がどう直すかを決めておきます
在庫や品質の記録は、あとから「いつ、誰が、何をしたか」をたどれることに意味があります。そのためには、記録を上書きしない決まりと、直せる人の決まりが要ります。
- 社長が書いた鋼材の在庫アプリの要件を、作る前に読んで確かめたこと: 作る前に決める 10 の項目。残った材料に新しい番号を付けるか、同じ材料を 1 行にまとめるか、などです
- 品質の記録の用紙はあるのに書かれていないとき、作業の記録に組み込む: 品質マニュアルから記録の一覧を作った記録。検査の値の入れ方と、数量の数え方も見直しました
- 決めたことに、理由と採らなかった案も残す記録の書き方: 設計の判断を 1 件 1 枚で残す書き方と、会議の宿題に「ボールを持つ人」を書く表
- 請求の漏れと入金の遅れを、受注ごとの 4 つの状態で見つける: 作業中・未請求・請求済・入金済で追い、請求から 30 日で遅れを知らせる
- 残業の申請と承認を、スマートフォンで回すときに決めた流れ: 現場の方が入れるのは 4 つだけ。承認は 1 段で、代理の人も決めます
- 価格や仕様を変えたら、全部の資料から古い値を探して直す: 約 50 のファイルを、古い値の言葉で検索して点検した手順
5. 集計は 2 通りで作り、使う道具そのもので照らし合わせます
数式もプログラムも、書いた人が確かめたつもりでも間違えます。当社では、Excel で件数がちょうど 2 倍になったことがあります。それ以来、集計は 2 通りの作り方で作り、納品先と同じ Excel に計算させて、全部のセルを照らし合わせています。
- Excel の集計で件数が 2 倍になった原因と、決めた検算の手順: 全角と半角の条件を 2 本足して起きたこと。互換のソフトの検算をすり抜けた理由と、丸め方のずれも書きました
6. 1 人しか分からない仕組みを、書き出して一覧にします
業務の数字を集める仕組みも、作った人しか分からなければ、その人がいなくなった日に止まります。お客様の Access の業務システムでも、当社の社内システムでも、最初にしたのは全体の一覧づくりでした。
- 1 人しか直せない Access の業務システムで、最初に確かめたこと: 15〜20 の仕組みを前に、確かめた順番。属人化した仕組みは、作り直す前に中身を書き出します
- メニューが 30 近くに増えた社内システムを、7 つの分類に組み直した記録: AI と作った当社の社内システムで、機能の木と一覧を作った話。完了と聞いていた機能が 1 つ、作られていませんでした。経緯は当社の社内システムの事例にもあります
- 47 件の案件を 1 枚の一覧にしたら、15 件の状態が分からなかった: 当社の案件の一覧の作り方。分からない案件は「要確認」と書きます
- 勤怠アプリに会社の休日を登録する手順書で、操作より先に書いたこと: 年に 1 回の作業を、担当が替わっても同じようにできる手順書の章立て
- 受け取った資料と作った資料を、案件ごとのフォルダで分ける決まり: 受け取った資料は相手の付けた名前のまま置き、作った資料は日付から名前を付けます
段ごとに、当社が決めていることの一覧
| 段 | 当社が決めていること | 決めた元になった記録 |
|---|---|---|
| 入力の入口 | 入れる項目は最初 5 つ以内。現場の動きをボタン 1 つに置き換える。道具より先に、データの置き場所と責任者を決める | 経営ダッシュボードの設計、プレス加工の会社様の作業指示、建設会社様の簡易登録 |
| 呼び名と番号 | 呼び名は直さずに抜き出してから分類し、画面では番号で選ぶ。部署の間の受け渡しを図に描く | 工作寸法指示書 133 件の工程の呼び名、機械の会社様の業務の流れ |
| 計算式 | 数字ごとに式を 1 行で書き、画面の説明にもそのまま書く。数字がいつの時点のものかを出す | 経営ダッシュボードの進行管理・人事労務・経理の設計 |
| 記録の残し方 | 記録は上書きせず、直すときも履歴を足す。直せる人を決める。判断は理由と採らなかった案まで残す | 鋼材の在庫アプリの要件、品質の記録、設計の判断の記録 |
| 検算 | 2 通りで作り、使う道具に計算させて全部のセルを照らす | アンケートの集計で件数が 2 倍になった件 |
| 1 人に頼らない形 | 仕組みの一覧と中身の書き出しを、作り直しより先にする。年に 1 回の作業も手順書にする | Access の業務システム、当社の社内システムと案件の一覧、休日の登録の手順書 |
経営ダッシュボードで用意していること
当社の経営ダッシュボードは、現場の方がスマートフォンのチャットで質問に答えて入力し、集計とグラフは自動で作るクラウドサービスです。営業・進行管理・マーケティング・経理・人事労務の 5 つの商品から、必要なものを 1 つから選べます。社外の会社に導入した事例は、まだありません。使う場合の想定は、モデルケースに載せています。金属加工の工場、法人向けのサービス会社、複数の教室を運営するスクールの 3 つです。
社内の業務の仕組みを AI と作り、毎月少しずつ AI に任せる作業を増やす進め方は、AI伴走支援のページにあります。業務の数字のどこから集めるかは、30 分の無料相談で、今お使いの Excel や紙の記録を見ながら一緒に決めます。



