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コラム

社内のミスは重さで 3 つに分け、軽いものは直した人が理由を残す

この記事の要点

ミスのたびに同じ重い手順を求めると、少人数の会社では手順そのものが回りません。当社は 2026 年 6 月 28 日、品質の手順書でミス(不適合)を緊急・重大・軽微の 3 つに分けました。重大以上は番号を付け、なぜなぜ分析から効き目の確認まで追います。軽微なものは見つけた人が 1 週間以内に直し、理由を記録して週に 1 回まとめて確かめます。

ミスのたびに原因の分析・承認・数十日の様子見を求める手順は、少人数の会社では回し切れません。重さで分けて、重いものだけを番号を付けて原因から追い、軽いものは直した人が理由を残す形にしておけば、記録を続けられます。

当社は 2026 年 6 月 28 日に、品質の手順書の中で、社内のミス(不適合)の扱いを緊急・重大・軽微の 3 つに分けました。手順書は、品質マネジメントの国際規格 ISO 9001 の要求事項に沿って書いたものです。認証を受けたという意味ではなく、社内の品質の決まりとして整えました。この記事は、その手順書の記録です。

下書きの手順書は、軽いミスにも重い手順を求めていました

同じ日に書いた下書きを、3 つの観点で読み直しました。規格の要求事項に合っているか。少人数で続けられるか。当社の事業や社内の仕組みの実態に合っているか。観点ごとに AI に読ませて指摘を出させ、私が確かめて、その日のうちに改訂版を承認しています。

3 つの観点がそろって挙げた最大の問題は、ミスの記録をどこに置くかが二重になっていたことでした。社内システムに記録の画面ができていたのに、手順書は文書のファイルに記録を残すと書いていました。ほかに、次のところを変えています。

項目 下書き 改訂版
軽微なミス 重いミスと同じく、原因の分析・承認・30〜60 日の様子見 見つけた人が直し、理由を記録し、週に 1 回まとめて確かめる
原因の分析 なぜなぜ分析と、製造業向けの特性要因図 なぜなぜ分析だけ
記録の置き場所 手順書と同じ文書のファイル 社内システム(文書のファイルは補助)
内部監査 1 年を 5 回に分けて行う 年 1 回まとめて行い、外部の内部監査員に頼む
マネジメントレビュー 全員で 2〜3 時間、材料は別の様式 代表が中心で 1〜2 時間、材料は議事録の冒頭に書く

規格の言葉では、ミスの原因を取り除いて再発を防ぐ処置を是正処置と呼びます。下書きは、その処置を全部のミスに同じ重さで求めていました。

ミスを 3 つに分け、最初の対応の期限を決めました

区分 当てはまるもの 最初の対応 再発を防ぐ処置の完了 代表への報告
緊急 事業の停止・法令の違反・データの漏えい・契約の解除につながるおそれ 即日(4 時間以内) 7 日以内 すぐ。代表が直接対応する
重大 成果物の大きな不備・大幅な納期の遅れ・お客様からの苦情・内部監査での不適合の指摘 24 時間以内 30 日以内 当日中
軽微 記録の一部の不備・手順の軽い不遵守・社内の確認での軽い指摘 見つけた人が直す 1 週間以内 週に 1 回の確認で

最初の対応は、お客様への影響をまず止めるための一時的な処置です。納期が遅れたならお客様にすぐ連絡して新しい日程を出す、成果物に不備があればお客様に届かないよう止める、といったものです。原因を取り除く処置とは分けて考えます。

重大以上は、番号を付けて、原因から効き目の確認まで追います

重大以上のミスを扱う流れ
  1. 起票する社内システムに記録し、NC-年-連番の番号を付ける
  2. 影響を止める区分ごとの期限内に、最初の対応をする
  3. 原因を探る最初の対応から 3 日以内に、なぜなぜ分析をする
  4. 処置を決める分析から 2 日以内に計画を立て、代表が承認する
  5. 効き目を見る処置のあと 30〜60 日、同じミスが起きないかを見る
  6. 広げて閉じるほかの仕事にも同じおそれがないかを見て、完了にする

2026 年 6 月 28 日の当社の手順書から

原因は、なぜなぜ分析で探ります。「なぜ」を最大 5 回繰り返し、手順や仕組みで直せる原因まで掘ります。手順書には、次の例を載せました。

  • ミス: 成果物に、仕様と違う機能が入っていた
  • なぜ 1: 仕様書を見ずに作ったから
  • なぜ 2: 仕様書が最新の版になっていなかったから
  • なぜ 3: お客様からの変更の連絡をメールで受けたが、仕様書に反映し忘れたから
  • なぜ 4: 変更を受けたら仕様書を直して確かめる、という手順が書かれていなかったから
  • なぜ 5: 変更の扱いを、誰も決めていなかったから
  • 原因: 仕様の変更を扱う手順が無いこと

「なぜ 3」で止めると、処置は「次から気をつける」になります。「なぜ 5」まで掘ると、手順を作る、という処置が決まります。

処置のあとは、30〜60 日のあいだ同じミスが起きていないかを見て、効き目を確かめます。効き目が無ければ、原因の分析からやり直します。最後に、同じ原因がほかの仕事にも無いかを見ます。これを水平展開と呼びます。

社内システムでは、記録の状態を、起票・原因の分析・処置・効き目の確認・完了の順に進めます。番号は社内システムが自動で付け、完了にした操作は記録に残ります。起票と編集ができるのは管理者で、社員は閲覧ができます。

軽微なものは、直した人が理由を残し、週に 1 回まとめて見ます

軽微なミスは、記録の番号を付けずに扱います。見つけた人が 1 週間以内に直し、何を直したかと理由を、社内システムの週ごとの確認の記録か、変更の記録の説明に残します。私が週に 1 回それを確かめます。

ただし、次のどれかに当たるときは、軽微に見えても重大として扱います。

  • 同じミスが、1 年以内に 2 回以上起きている
  • お客様への知らせが要る
  • 原因が、会社の手順の不備にある

同じ軽いミスが繰り返されるときは、手順の側を見直します。週に 1 回の確認は、繰り返しを見つける場でもあります。

手順書は文書のファイルに、記録は社内システムに置きます

手順書のような文書は、版を付けて文書のファイルで管理し、改訂のたびに履歴を残します。ミスの記録、内部監査の記録、マネジメントレビューの議事録は、社内システムを正しい置き場所(正本)にしました。記録の置き場所が 2 つあると、どちらが新しいのかが分からなくなるからです。重大以上の記録は完了から 3 年、軽微なものの記録は 1 年残します。

内部監査で不適合の指摘が出たときは、指摘の画面から、そのままミスの記録として起票できるようにしました。指摘と記録が結び付くので、同じ指摘を 2 回起票することもありません。

文書の古い値を全部の資料から探して直した記録は古い値の記事に、決めたことに理由を残す書き方は判断の記録の記事にあります。

手順は、書いた日に回す人の目で読み直します

当社の下書きも、少人数で続けられるかという観点で読み直して、はじめて重すぎる所が見えました。読み直すときは、次の点を確かめます。

社内のミスを扱う決まりを作る前に確かめること
  • ミスの区分を、重さで 2〜3 つに分けた
  • 区分ごとに、最初の対応と再発を防ぐ処置の期限を決めた
  • 区分ごとに、誰にいつ報告するかを決めた
  • 番号を付けて追うのは、どの区分からかを決めた
  • 軽いミスでも重く扱う条件(繰り返し・お客様への影響・手順の不備)を決めた
  • 原因の分析を、手順や仕組みで直せる原因まで掘る決まりにした
  • 処置のあと、何日見て効き目を確かめるかを決めた
  • 記録の置き場所を 1 つに決め、文書とは分けた
  • 記録を残す期間を決めた

当社の社内システムは、AI と作り、使いながら機能を足してきました。経緯は事例にあります。社内の決まりを仕組みに載せるところから手伝う形は、AI伴走支援で扱っています。

よくあるご質問

ISO 9001 の認証を受けていなくても、この手順は使えますか?
使えます。当社も、手順書を整えた時点では認証を受けておらず、社内の品質の決まりとして使っています。ミスを重さで分け、重いものだけ原因から追う考え方は、認証の有無に関係なく、どの会社の業務にも当てはめられます。
軽微か重大か、迷ったときはどうしますか?
手順書では、同じミスが 1 年以内に 2 回以上起きた、お客様への知らせが要る、原因が会社の手順の不備にある、のどれかに当たれば重大として扱うと決めています。どれにも当たらず迷うときは、重い方で扱い、原因が分かってから区分を見直す進め方をおすすめします。
なぜなぜ分析は、5 回必ず繰り返すのですか?
手順書では「最大 5 回」としています。回数より、会社の手順や仕組みで直せる原因に届いたかを見ます。人の注意不足で止めてしまうと、同じミスを防ぐ処置が決まりません。
ミスの記録は、どのくらいの期間残しますか?
重大以上の記録は、完了してから 3 年残します。軽微なものの記録は 1 年です。番号を付けた記録は社内システムに置き、手順書のような文書とは置き場所を分けています。

関連事例

出典・参考にした資料

  1. 日本品質保証機構(JQA)「ISOの基礎知識」
  2. 日本品質保証機構(JQA)「ISO 9001(品質)概要」

この記事を書いた人

小野 隆士ドットシンク株式会社 代表取締役

システム開発会社の会社員、Web 制作の個人事業主、不動産営業、Web 制作会社の役員を経て、CRM 事業を軸にドットシンク株式会社を起業。自社の営業と事務の仕事に AI を使い、そのやり方を AI研修と AI伴走支援でお客様の会社に持ち込んでいます。デジタル庁 デジタル推進委員(2024 年 7 月任命)。

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