サイトや SNS の数字を 1 か所に集める前に、チャネルごとに「自動で取れる数字」「条件がそろえば取れる数字」「取れない数字」を分けます。取れない数字を無理に自動にしようとすると、仕組みを作る時間ばかりかかります。手で入れる欄を残しておけば、仕組みは先に使い始められます。
2026 年 4 月 24 日の朝、私は社内で「特定の会社に対するマーケティング施策(Web/X/Instagram/BASEショップ)を一元的に集約するツールが欲しい。作って」と頼みました。続けて頼んだのは、次の 3 つです。
- 「自動でやったことを集約して欲しい」
- 「フォロワー数とかの推移も見たい」
- 「先方へのレポートも自動で作っておいて欲しい」
最初の画面は、頼んでから 15 分ほどでできました。そのあと「施策ログの詳細とかを書けるといいし、工数も入力するならしたい」「アイデアもメモしておく場所が欲しい。今後のミーティングで検討するからさ」と足し、昼前には「データは WordPress、X、Instagram の API を使って取得して欲しい。」と頼みました。この記事は、そのときに分かった、チャネルごとの取れる数字と取れない数字の記録です。
チャネルごとに、API で取る数字と条件
| チャネル | API で取る数字 | 条件・つまずき | 当社の扱い |
|---|---|---|---|
| Web(WordPress) | 記事の数、分類ごとの記事の数、コメントの数 | ページごとの閲覧数は、閲覧数を数える部品を入れていないと取れない | 閲覧数は Google アナリティクス 4 から取る形にした |
| X | フォロワー数、投稿の数、最近の投稿 | 投稿ごとの表示回数まで取るには、有料の利用枠が要ると判断した | 費用をどう持つかを、決める課題として残した |
| フォロワー数、投稿の数、最近の投稿 | ビジネスかクリエイターのアカウントでないと取れない | 切り替えていないアカウントは取らずに飛ばす | |
| ネットショップ(BASE) | 取らない | 公開の API に、フォロワーの数が無い | 手で入れる欄を残し、CSV の取り込みを考える |
API の設定が済んでいないチャネルは、取り込みを飛ばして、画面は壊さずに表示する作りにしました。このとき、設定していないチャネルには見本の数字が出たままになります。見本の数字のままレポートを出すと、作った数字を先方に渡すことになります。レポートを出す前には、どのチャネルが本物の数字かを確かめます。
翌日、アクセス解析・検索・LINE・YouTube まで広げました
4 月 25 日には、同じ考え方を当社の経営ダッシュボードのマーケティングの画面の設計に広げました。取る数字に足したのは次の 4 つです。
| 取り込み元 | 取る数字 | 設計で決めたこと |
|---|---|---|
| Google アナリティクス 4 | 訪問の数、ページごとの閲覧の数 | サイトの閲覧数はここから取る |
| Search Console | 検索の言葉ごと、ページごとのクリックと表示の回数 | 数字は数日たって確定するので、直近の数日分は取り直す |
| LINE 公式アカウント | 友だちの数、配信したメッセージへの反応 | 直近の 7 日分は、後から変わる前提で取り直す |
| YouTube | 登録者数、動画ごとの再生の回数 | 1 日に使える量の上限があるので、取る回数を決める |
Search Console の検索の数字は、画面で選べる期間が最長 16 か月です。前の年と比べ続けたいなら、取り込んで自分の側に残しておく必要があります。1 か所に集める理由の 1 つは、ここにあります。
取れない活動は、手で入れる欄を残しました
打ち合わせ、記事を書いたこと、キャンペーンの企画のような活動は、どの API にも出てきません。そこで、施策の記録を手で入れられるようにし、日付・チャネル・かかった時間・担当・結果のページを残す形にしました。
自動で集める
- フォロワー数と投稿の数
- 記事の数とコメントの数
- 投稿ごとの表示の回数(取れるチャネルだけ)
- サイトの閲覧の数と、検索の言葉ごとのクリック
手で入れる
- 打ち合わせ、記事を書いたこと、キャンペーンの企画
- かかった時間と担当
- API に無いネットショップのフォロワー数
- 次の打ち合わせで話したいアイデア
集めない
- X で返信した人の名前
- LINE でメッセージを読んだ人を見分ける番号
- 1 つの反応を、決まりなく複数の施策に割り振った数字
かかった時間を入れる欄は、先方に出すレポートで使います。期間の中でかけた時間の合計と、チャネルごとの配分を、所見の段落に入れる作りにしました。数字が伸びたチャネルと、時間をかけたチャネルが違っていれば、次の月の時間の使い方を見直す材料になります。
反応を集めるときに、返信した人の名前や、メッセージを読んだ人を見分ける番号は保存しない、と決めました。各サービスの規約で保管が認められていないことがあり、個人の情報にあたるおそれもあるからです。数えるのは、施策ごとの反応の数です。
施策と反応を結び付ける手順
数字を集めても、どの施策の結果かが分からなければ、次に何をするかを決められません。4 月 25 日の設計では、施策と反応を次の手順で結び付けることにしました。
- 施策を登録何を、いつ、どのチャネルでするかを施策として登録する
- 目印を付ける投稿の URL、動画の番号、配信したメッセージの番号、公開したページの URL を施策に登録する
- 反応を取り込む各チャネルから、目印ごとの表示の回数と反応の数を取り込む
- 施策ごとに合計施策ごとに表示の回数・反応の数・反応の率を合計する
- 人が割合を決める1 つの反応を複数の施策に分けるときは、人が決めた割合だけで分ける
最後の段は、自動にしないと決めた所です。1 本の投稿が 2 つのキャンペーンにまたがるとき、半分ずつに分けるのか、片方に寄せるのかは、仕組みには決められません。自動で按分すると、もっともらしい数字ができてしまいます。
集め始める前に決めること
- 集めるアカウントが会社のもので、担当者が辞めても使い続けられる
- Instagram をビジネスかクリエイターのアカウントに切り替えてある
- 有料の利用枠が要るチャネルと、その費用を誰が持つか
- API の鍵を会社で管理し、担当者個人のアカウントに結び付けない
- 毎月の打ち合わせで見る数字を、チャネルごとに 1〜2 個に絞った
- 設定していないチャネルの数字を、レポートに出さない手順がある
最後に、毎月見る数字を絞ります。フォロワー数のように取りやすい数字ほど画面に並びますが、会社の目標に近いのは、サイトからの問い合わせや相談の予約です。何を最終の数字にするかは、用語集の KPI と KGI で書いた考え方で決めます。SNS の画面で見られる数字の意味は、インサイトの項目にまとめました。



