本文へ移動
  1. トップ
  2. コラム
  3. 採用の情報と取引先向けの情報を、サイトの中で分けて置く
コラム

採用の情報と取引先向けの情報を、サイトの中で分けて置く

この記事の要点

会社のサイトには、取引を考える会社と、働きたい人の 2 つの読み手が来ます。知りたいことが違うので、メニューと問い合わせの入口を分け、会社の強みのように両方に要る情報は両方に書きます。採用のページは正確で最新の内容に保ち、募集を終えたら閉じます。

会社のサイトには、取引を考えている会社の担当者と、その会社で働きたい人の 2 つの読み手が来ます。どちらも同じ会社のことを調べに来ますが、知りたいことは違います。取引先が知りたいのは、何を扱い、どんな条件で取引でき、誰に相談すればよいかです。働きたい人が知りたいのは、仕事の中身、一緒に働く人、待遇、応募の方法です。だから、メニューと問い合わせの入口は読み手ごとに分けます。そのうえで、会社の強みのように両方に要る情報は、両方のページに同じ数字で書きます。

2026 年 3 月に点検した商社のサイトでは、採用のページのほうが整っていました

2026 年 3 月 24 日、繊維製品を扱う商社のサイトを、公開されているページだけで点検しました。サイトの作り直しを提案する前の下調べです。採用のページには、先輩社員の紹介と部署の紹介があり、募集要項まで順にたどれました。点検した項目の中で、いちばん整っていたのが採用のページでした。

取引を考える会社の側から見ると、事情が違いました。

  • トップの最初の画面は会社の標語だけで、何を扱う会社かがすぐには分からない
  • 取引先向けの入口は、お問い合わせへのリンクだけ
  • 製品のカタログは公開されておらず、会員向けの別のサイトがあることも分かりにくい
  • 最低の発注量、納期、支払いといった取引の条件が、どのページにも書かれていない
  • 社内のデザイナーの人数という強みが、採用のページにしか書かれていない
  • 一般の方向けの別のサイトへの案内がトップで目立ち、取引先と一般の方の行き先が混ざっている

最初の画面の言葉とフォームの項目については、同じ点検の記録を外から見える所だけでサイトを点検した記事にまとめています。この記事では、採用の情報と取引先向けの情報の分け方を書きます。

2 つの読み手が、会社のサイトで確かめたいこと

取引を考える会社の担当者

  • 何を作り、何を扱う会社か
  • 製品の仕様と用途、カタログ
  • 最低の発注量・納期・支払いの条件
  • 相談したら誰が返事をするか
  • 社内の稟議に出せる会社の情報

その会社で働きたい人

  • どんな仕事をするのか
  • 一緒に働く人と部署の様子
  • 給与・勤務時間・休日などの待遇
  • 募集している職種と応募の方法
  • 説明会や面接の日程

同じ会社の情報でも、読み手ごとに置き場所と書き方が変わります

点検した商社で目立ったのは、デザイナーの人数の扱いでした。採用のページでは「この人たちと働ける」という意味で書かれていました。取引先にとっては、売り場に合わせた商品を企画できる力の裏付けになる数字です。同じ事実でも、読み手によって意味が変わります。片方のページにしか書いていないと、もう片方の読み手には伝わりません。

置き場所を決めるときは、情報を 1 行ずつ並べ、どちらの読み手に要るかを書き込みます。

情報 取引先向けのページ 採用のページ
何を作り、何を扱うか 製品・用途・仕様まで詳しく 仕事の中身につなげて短く
社員の人数・職種ごとの人数 体制として書く 一緒に働く人として書く
取引の条件(発注量・納期・支払い) 書く 書かない
待遇・勤務時間・休日 書かない 募集要項に書く
問い合わせの窓口 取引の相談の窓口 応募と説明会の窓口
会社概要・沿革・所在地 同じ会社概要のページへリンク 同じ会社概要のページへリンク

会社概要は、どちらの読み手も見るページです。ここを 2 つに分けると、住所や設立の書き方が食い違う元になります。会社概要は 1 つにして、両方の入口からリンクします。会社概要のページで信用を落としやすい所は、会社概要の記事に書いています。

メニューと問い合わせの入口は、読み手ごとに分けます

分け方は、採用の情報の量で決めます。

募集が年に数件で、先輩社員の紹介も数人分なら、同じサイトの中に「採用情報」のメニューを 1 つ置けば足ります。取引先向けのメニューと並べず、右の端やページのいちばん下にまとめると、取引を考える会社の目に入る順番を邪魔しません。

募集する職種が多く、説明会や社員の紹介を季節ごとに入れ替えるなら、採用のための別のサイトにする方法もあります。この場合も、会社概要と会社の強みの数は、本体のサイトと同じものを使います。

問い合わせの入口も分けます。点検した商社では、取引の相談と商品についての質問が同じフォームに入っていました。どの問い合わせから返事をするかを決めにくい作りです。取引の相談、採用の問い合わせ、一般の方からの質問は、返事をする人が違います。フォームを分けるか、フォームの最初で種類を選んでいただきます。

点検した商社の応募は、求人サイトに移って受け付ける形でした。求人サイトで会社を知った人は、自社のサイトで仕事の中身や働く人の様子を確かめに来ます。自社のサイトの採用のページは、その確かめに答える場所です。

採用のページは、正確で新しい内容に保ち、募集を終えたら閉じます

採用ページには、取引先向けのページにはない決まりがあります。職業安定法は、労働者を募集する人が広告などで募集の情報を出すとき、うその表示や誤解を生む表示をしてはならず、正確で最新の内容に保たなければならないと定めています。広告などの方法には、インターネットでの提供も含まれます(施行規則)。募集を終えた職種や、変わった給与を載せたままにしないことは、法律の決まりでもあります。

検索の結果にも関わります。Google は、求人の情報を検索の求人の表示に使うための書き方(求人情報の構造化データ)を公開しています。応募を締め切った求人は、掲載の期限を過ぎた日にする、ページを消す、構造化データを外す、のどれかで終わらせるよう求めています。

ページの題も見直します。点検した商社の採用のページの題は「新卒採用」だけでした。これでは、どの会社の、どの職種の募集かが検索の結果で分かりません。題には職種、会社名、勤務地を入れます。題の決め方はページの題と説明文の記事にあります。

採用のページを公開する前と、募集が変わったときに確かめること
  • 募集要項の給与・勤務時間・休日が、求人サイトに載せた内容と同じ
  • 締め切った職種が、募集中のまま残っていない
  • ページの題に、職種・会社名・勤務地が入っている
  • 会社の強みの数字が、取引先向けのページと同じ
  • 応募の問い合わせ先が、取引の相談の窓口と分かれている
  • 会社概要へのリンクが、取引先向けのページと同じページを指している

採用と取引のどちらの問い合わせも、受けたあとに誰が返事をするかが決まっていれば取りこぼしません。問い合わせの記録をサイトの中の 1 か所に残す仕組みは、当社のAI顧客管理マーケティングシステム構築でも作っています。

よくあるご質問

採用の情報は、会社のサイトとは別のサイトにしたほうがよいですか?
募集する職種が多く、先輩社員の紹介や説明会の案内を頻繁に入れ替えるなら、別のサイトにする方法があります。募集が年に数件なら、同じサイトの中でメニューと問い合わせ先を分ければ足ります。どちらにしても、会社概要と会社の強みの数は、同じ言葉と同じ数字を使います。
求人サイトに募集を載せていれば、自社のサイトの採用のページは要りませんか?
求人サイトで会社を知った人は、自社のサイトで仕事の中身や働く人の様子を確かめに来ます。点検した商社も、応募は求人サイトで受け、自社のサイトには先輩社員と部署の紹介を載せていました。募集要項を自社のサイトにも載せるなら、求人サイトと同じ内容にそろえます。
会社の強みは、採用のページと取引先向けのページのどちらに書けばよいですか?
両方です。点検した商社では、社内のデザイナーの人数という強みが、採用のページにしか書かれていませんでした。取引を考える会社にとっては企画の力の裏付けになる数字です。書き方は読み手に合わせて変えても、数字は同じものを使います。
取引の相談と採用の問い合わせを、同じフォームで受けてもよいですか?
受けられますが、返事をする人が違うので、フォームの最初で「ご相談の種類」を選んでいただくか、フォームを分けます。点検した商社では、取引の相談と商品についての質問が同じフォームに入っていて、どれから返事をするかを決めにくい形でした。

出典・参考にした資料

  1. e-Gov 法令検索「職業安定法」第五条の四(求人等に関する情報の的確な表示)
  2. e-Gov 法令検索「職業安定法施行規則」
  3. Google 検索セントラル「求人情報(JobPosting)の構造化データ」

この記事を書いた人

小野 隆士ドットシンク株式会社 代表取締役

システム開発会社の会社員、Web 制作の個人事業主、不動産営業、Web 制作会社の役員を経て、CRM 事業を軸にドットシンク株式会社を起業。自社の営業と事務の仕事に AI を使い、そのやり方を AI研修と AI伴走支援でお客様の会社に持ち込んでいます。デジタル庁 デジタル推進委員(2024 年 7 月任命)。

代表のプロフィールを読む